幸せだった瞬間も、悲しかった瞬間も、すべて。「優生保護法」-。障害者が生まれることを防止し、女性が産むことを管理しようとした悪法が存在した時代、「母」はどのように生きたのか。「ぼく」はどのようにして生まれたのか。コーダである息子が未来に進むために描く、小さな家族の歴史。
左大臣時平のおもわれ人となった北の方は年老いた夫や幼い子とひきはなされ、宮中深くに囲われてしまう。母を恋い慕う幼い滋幹は、ひそかに母の元に通う。平安文学に材を取った、谷崎文学における母恋ものの代表作。小倉遊亀による口絵・挿画を完全収載。ほかに、短篇三作、正宗白鳥らによる時評を付す。
六五歳の母が認知症になったー記憶を失っていく母親の日常を二年半にわたり記録し、脳科学から考察。得意料理が作れない、昔の思い出に支配されるなどの変化を、脳の仕組みから解明してみると!?アルツハイマー病になっても最後まで失われることのない脳の可能性に迫る。メディアでも反響を呼んだ「認知症の見方を一変させる」画期的な書。
苦しみは暴力の後からやってくる!心と脳を蝕まれた母子にあらわれるフラッシュバック、自律神経失調、感情鈍麻、ひきこもり…。DV後遺症の理解から自分を取り戻す第一歩がはじまる!
娘に伝えたい母の料理と人生のこと。イギリス在住の日本人タニアさんが綴る心に響く温かなエッセイ。
幻想領、再び。不思議で、寂しげで、そして少し怖い“お噺”たち…1970年代に“大人の童話”の走りとなった定番の傑作選が耽美的装画の名品とともに待望の再臨!!
アテナ、アマテラス、マリアー処女でありながら母でもあるという特殊性を帯びた彼女たちは、なぜそれぞれの信仰において至高女神の地位を占めえたのか。旧石器時代の大女神から、これら処女母神への移行は何を意味するのか。時代も地域も異なる神話の共通点から、人類に普遍的な社会の原像を見出し、新たな神話の可能性を探る比較宗教学の挑戦!
中学生のときに見た祖父の葬儀。長じて学者として迎えた墓じまい。そして母の老いと看取り。かつてと現在で湯潅はこんなに変わってしまった。外注化する死に対して我々はどうふるまうべきなのか。自らの体験と学問を通じて、誰もが身につまされる別れを思索する。第68回日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。
自由奔放で身勝手な母に嫌気が差し、田舎を飛び出してひとりで暮らしてきた綾乃。そんな綾乃の家に、ある日突然、母の珠貴が押しかけてきた。不本意ながら始まった数年ぶりの母娘生活は、綾乃の同僚若菜くんや、隣の家の不登校少女すずちゃんを巻き込んで、綾乃の望まない形で賑やかになっていく。相変わらず自分中心の母に、綾乃の苛立ちは募るばかり。けれどある時、母の抱える重大な秘密を知り、綾乃は言葉を失うー不器用な母と娘が織りなす、心震える再生の物語。
認知症と診断された高齢者は、徐々に起こる認知機能の低下とそれにより生じる生活の困難を、どのように感じ、それにどう対応するのか。母が死の二年前まで綴っていた日記から、外界をどのように眺め感じていたかを、専門医である息子が探る。精神医学の常識を覆そうと始めた試みだったが、果たして、その先にみえたものとは?