地球温暖化問題の解決には何が必要なのかー気候変動をめぐる政策手法と国際協力から考察する。
アメリカの1人あたり年間CO2排出量は20メトリックトンで先進国中最高、途上国のインドはその約10分の1である(世界人口の約16%を占める先進国が世界の66%以上の温室効果ガスを排出している)。異常気象災害の被害者の80%が途上国の人々である。このまま先進国が温暖化対策を先送りすると、平均気温の上昇幅は今世紀中には少なくとも2℃かそれ以上となり、島国や低地国は今世紀末には水没する。しかし、途上国の人口の25%は1日所得100円の極貧にあえいでおり、経済開発は不可避である。本書は2010年世界開発報告の要約・普及版で、付録として巻末に「気候変動の科学」、「気候変動下での生物多様性の保全」の詳説がある。
東京大学気候システム研究センター(CCSR)のセンター長である中島映至氏がホストとなり、毎回気候研究に携わるゲスト研究者を迎え開催されるCCSRサイエンスカフェ。本書は、このサイエンスカフェの様子を再現した記録集である。気候科学に携わる研究者ー温暖化を測るひとびとの研究の舞台裏を見学しながら、「考えるヒント」を探っていく。
水の惑星・地球に点在する乾いた大地「砂漠」。世界の砂漠を旅する著者が、気候と植生の関係から砂漠の成り立ちに迫る。砂漠や乾燥地の気候を理解するための基礎事項を整理し、そこで発生するさまざまな環境・社会経済問題に対処してゆくために重要な自然の見方を提示した。改訂版では、最近のミレニアム生態系評価によって、より客観的になった砂漠化面積の見積もりを更新。文章・図表現の正確さを徹底したほか、初版で暗く不鮮明だった写真を改善している。
狂いはじめた自然が誘発する、大災害・食糧危機・健康被害・生態系崩壊から南北の政治対立までー。あらゆる局面に発生する思わぬ惨禍は、現代人の豊かな生活追求と産業化社会によって招来された怖ろしい結末なのか。地球温暖化問題の核心を明快に説き、明るい環境の未来のための対策の全てを提示する。
自然地理の中でも、地形については難しいという話はあまり聞かない。地形と気候・水文とを比べてみると、地形は具体的に見ることができるが気候は簡単には見られない点が大きな違いではないかという気がする。では、気候や水は見えてこないだろうか。これは実際に見ている景観についての分析や解釈の問題になる。風景そのものを気候あるいは水文の立場で分析・理解する、さらに風景の中に隠された見えない部分を気候・水文から解きほぐす、このような調査・研究があってもよい。本書では、この視点に沿った16編の論説を集めた。
南極・北極ってどんなところ?近年、地球温暖化によって注目されつつある極域。探検時代の話から温暖化現象まで、地球規模の研究成果に基づき紹介。図表も豊富で、視覚的にもわかりやすく解説。
もう手遅れなのか。最新スーパーコンピューターが詳細に描き出す、驚異のスピードで変貌する地球の姿。
近年、世界的に異常気象に伴う自然災害が各地で発生している。その大きな要因のひとつに、地球温暖化に伴う気候変動が指摘され、その自然災害の中でも水災害は甚大な被害をもたらす大きな脅威となっている。本書では、この気候変動がどのように大気・海洋気象に影響して水災害をもたらすか、そのメカニズムを探ると共に、防災についても過去の実例から検証した。防災科学研究所の十年にも及ぶ気候変動と水災害研究の成果をまとめた初の成書。
生き物と水、そして海との絆を再考し地球の生態系に変動をもたらした高度文明への警鐘。
本書は、身の回りの気象・気候(小気候)を調べるための最新の方法について、著者たちの経験にもとづいて紹介するものである。単純な解説にとどまらず、その観測値からどのようなことが読み出せるかなど、実際の観測値をもとにした具体的な実例を示した。気象観測機器の入手方法や、関連資材の加工方法に関する解説も行っている。気象庁関係のデータについては、観測網の解説と共に、刊行されている資料(電子資料も含む)の解説やその入手方法などを詳しく紹介し、気象庁以外で気象観測を行っている機関の気象観測についての情報にも多くのページを割いている。歴史時代の気候復元を行う際の調査手法についても触れた。