どろんこになったいたちのこどもたちは、みんなでうみへいって、かいぞくになることにしました。そこに、たくさんのともだちもやってきました…。
著者は1964年以来、たびたびイランの農村に長期滞在し調査を重ねてきた。農民たちは、地主に搾りあげられた極貧の時代から、国王の農地改革、ホメイニーのイラン革命、対イラク戦争を経てどのように対応していったか。共同体的規制の耕地制度、村の権力機構の解体過程を基軸に、農民たちの日常生活、沈黙、反抗、したたかな生き様を25年間にわたって記録する画期的な試み。
ここに収められたものは、野良から、炭焼小屋から、戦場に駆りたてられ、尊い生命を失った農民兵士たちの便りの数々である。「国のため、君のため」というきびしい軍律のかげに、ふるさとをしのび、農作業を心配し、親はらからの身を気づかう真情が綴られたこれらの手紙は、あらためて戦争の悲惨さと恐しさを私たちに訴える。
列車内や街角の騒音公害、化粧されたリンゴ、病的なまでの贈答合戦、老人ホームの日欧比較など、外国暮しの長い著者が、異なる発想で日本人の「食」「住」「慣習」を見直した貴重な提言の数々。
21世紀は〈地域〉に根をおろして〈地球〉に目を開く時代。いのちと暮らしを守る〈地域主義〉の思想がますます求められている。
幼児教育の現場で働く保育者として、子どもの発達を見つめてきた藤村氏と、社会教育の現場で働く公民館職員として主婦の問題を考えてきた伊藤氏が、お互いの問題を「育児」という場で照らしあいつつ考えた本。育児の力というものは天与のものではなく、現実の子どもを見、感じとっていくなかで学び、はじめて獲得できるものであり、そのためには「子どもを育てながら自分を育てていくこと」、そして、親も子も「人とのかかわりのなかで育つこと」が大事だということを、具体的な場面から、わかりやすく説き起こしている。
この本は、人間と動物の骨格のしくみをまったく新しい目でとらえたものです。こうして人間の骨格の実物写真を見ると、私たちの体がどのように動くかが手に取るようにわかります。鳥、爬虫類、両生類、魚、昆虫、哺乳動物などの骨格のさまざまな違いもはっきりわかります。
七つボタンは桜に錨ー最強の飛行兵は、どのようにして養成されたのか。若き血潮を燃え立たせ、大空の決戦に挑んだ「海軍飛行予科練習生」百科全書。
’80年代のウォーターフロントにかわり、’90年代を海洋空間(オーシャンスペース)の時代としてとらえ、日本の海洋空間について歴史と景観の面から概観し、巌島神社やヴェネツィアのように海の特性を生かしながら〈ワザ〉と〈タクミ〉の二つのキーワードを同時に満たすプロジェクトを提案。ヒューマンな調和をめざす。
都市開発ビジネスのメジャーリーグというべきアメリカ不動産業界は、数多くのスーパースターたちを生み出してきた。無名、無一文、あるいは遠く移民してきた彼らは、建築家として、デイベロッパー、不動産業者として、すべてを賭してチャレンジしてきた。このアメリカという活力ある社会を、まちづくりへの夢と苦闘のエピソードに満ちた、1980年代都市開拓史のヒューマン・ストーリーに託して語りつくす、価値ある1冊。
野望、駆け引き、裏切りー汚い戦争の陰の極秘協定。瀕死のフランス軍に起死回生の大逆転をもたらし勝利へと導く協定実現のために一人の男が殺された。殺人罪の濡れ衣を着せられ、名誉を傷つけられたシャープは、絞首刑台へ向かう。愛と名誉のために闘う若きヒーローを描く冒険小説。
艦は人なり。連合艦隊の栄光を支えた勇猛果敢な戦士たち。血戦に臨んでは不動明王のごとく、四周を睥睨する潮気のしみた面構えー砲煙弾雨の海を生きた逞しき男たちの哀歓の日々。
練習機「白菊」で沖縄決戦に飛びたった若者たちの記録。小学高学年以上。
海軍良識派一掃の嵐の中、志なかばにして海軍を追われ、失意のうちに軍需産業に身を投じなければならなかった海軍の逸材の苦悩の日々。いかなる難局に直面しても、冷静さとユーモアを失わず、狂いのない見通しと判断を持ち、また自らの才をひけらかさず、小事にこだわることなく人間愛を貫いた男の生涯。
1945年、ハルピンでソ連軍に抑留され、1953年に特赦で日本に帰還した著者が、シベリア各地のラーゲリを転々とした体験をもとに執筆した全エッセイを収録。極寒の地での激しい労働、栄養失調、同囚の密告などに耐えて生き続ける人間の姿と、何よりも厳しく自己自身の精神と魂のありようを静かに見つめ続けた希有な記録である。
幕末動乱の時代を風のように駆け抜けたラジカリスト松陰の魅力とは何か。なぜ彼の教育はいつまでも瑞みずしさを失わず、たえずわれわれに新しく語りかけるのだろうか。村塾で展開された人間教育の諸相-来学の動機、紹介者、通学と寄宿、教育費、出席状況、カリキュラムなどを、92名の門生たちのその後の活躍に関連づけながら見た。村塾教育の全体像を描いた画期的な一書。