絶滅の危機に瀕する鳥、心ない人間に迫害される鳥、自然界の厳しさを教える鳥、野鳥の世界は、わたしたちの今を映しているようでもある。さまざまな様相を呈する野鳥たちの生態と、鳥と人とのかかわりを永年の野鳥観察をもとに描く。
本書では海にすんでいる仲間を紹介します。大形のクジラは、肉や油をとるために、オットセイやラッコは、その良質の毛皮のために乱獲されてきました。今はとることは禁止されていますが、海のよごれなどで、生息環境がわるくなっています。今、われわれと、われわれの仲間の共存を真剣に考えなければ、“青い地球”は、過去のものとなってしまうでしょう。
腹が減ってはいくさはできない。星の数より、めしの数…。新兵、古兵の区別なく、食欲も性欲も旺盛な兵と下士官のものがたり。男の料理・軍隊調理法など軍隊の食生活をあますところなく描いた体験的/帝国陸軍イラスト・エッセイ。兵隊屋敷の四季折々にふれて、分隊長殿が綴った汲めどもつきない兵隊ばなし。
光明皇后、最澄、三筆、三蹟漢字名筆の精粋を高度のカラー印刷技術で完全に再現。
賢治思想の宝庫。羅須地人協会時代の講義用草稿「農民芸術概論」をはじめ、手帳・ノート・メモ等、賢治の思想的営為を集成。
日本全国を歩きめぐり、実際に自分の目で見て、そこに暮らす人々に話を聞いて調査した民俗学者、宮本常一。彼が日本の村と海、それぞれに暮らす名もなき人々の、生活の知恵と暮らしの工夫をまとめた、貴重な記録。フィールドワークの原点がここにある。
五十歳で初めて子を授かった松坂熊吾は、病弱な妻子の健康を思って、事業の志半ばで郷里に引きこもった。再度の大阪での旗揚げを期しつつも、愛媛県南宇和の伸びやかな自然の恵みのなかで、わが子の生長を見まもる。だが、一人の男の出現が、熊吾一家の静かな暮らしを脅かす…。熊吾と男との因縁の対決を軸に、父祖の地のもたらす血の騒ぎ、人間の縁の不思議を悠揚たる筆致で綴る。
ぎゃーと一声叫んで、老猫のコロは私の腕の中でこと切れた。心臓の鼓動は途絶え、からだは次第にかたくなる。動物の死とは何であろうか。これが私の子供のころからの疑問であった。なぜ心臓が止まるのか。心臓が止まるとなぜ死ぬのか。後年、病のために研究者の道を絶たれた生命科学者が、自他の命を見つめつつ、生の喜び、苦しみ、心の安らぎについて静かに綴り、深い感銘を呼ぶ、初の科学エッセイ集。文庫書き下ろし。
カゼだ、病気だと安易に医者や薬に頼り過ぎるな。本書は一瞬、虚をつかれるがやがて「ウン、なるほど」と納得できる真の医学常識を“薬づけ・検査づけ”国民の一人であるあなたに捧げます。
「弘法さん」「お大師さん」として親しまれている弘法大師空海は、わが国を代表する宗教家、思想家である。密教ブームといわれる現代、改めてこの偉大な宗教家の人生と思想を見直さなければならない。死の哲学から生の哲学=生の肯定へと、その五色に輝く真言密教の「生命の思想」「森の思想」「曼荼羅の思想」こそ、宗教のあるべき姿が求められる現代、もっとも大きな意味をもつものであろう。
女の作った物語の中に閉じ込められた男と、男の作った時代の中に閉じ込められた女ー光源氏と紫式部。虚は実となり、実は虚を紡ぐ。本書は、物語を書く女の物語として、改めて始められる。