1970年代のわが国では水域の富栄養化が進行し、海や湖沼で赤潮が発生して問題となったが、その後の水質改善の努力が功を奏し、水質は良好になってきた。しかしその一方で、栄養塩不足、つまり「貧栄養化」が原因と思われる海苔の色落ちや漁獲量の低下が報告されている。これが「貧栄養化問題」である。本書は、瀬戸内海、諏訪湖、琵琶湖といったすでに問題が指摘された水域における、これまでの水質浄化の取り組み、長年にわたって蓄積された水質データ、生態系の変化などから、「貧栄養化問題」の背後にあるプロセスとメカニズムを浮き彫りにする。
いま世界の海があぶない。海にあふれるプラスチックゴミ、拡大する外来生物、失われる海の多様性…。現場に精通した研究者・行政・NPO関係者たちが、いま何がおこっているのか、これからどうすればいいのか、その本質に迫ってゆく。
7世紀末から10世紀前半、中国東北部・ロシア沿海地方・朝鮮半島北部にまたがり展開した渤海国。唐や日本など周辺諸国との交易で栄え、当時の東アジア情勢において「海東の盛国」と称されるほどの古代国家であったが、資・史料的制約により、長らくその具体的な様相を詳らかに把捉することが困難であった。しかし、冷戦終結に伴い、旧渤海地域における考古学調査・研究が飛躍的に進み、渤海国の政治・行政制度、国際交流の諸相、文化受容の有り様などが明らかになってきた。30年に亘る考古学・文献史学の国際共同研究より得た知見から最新の研究成果を提示する画期的論集。
1584年。基綱が九州を平定し、太政大臣に就任した年。息子・堅絹を征夷大将軍に就任させることで、「幕府」という政の形に終止符を打った。そして新たに開いた政の府は相国府。相国として最初の仕事は外交ー対馬、琉球、朝鮮、そして、背後に存在する大帝国・明。“日本”としての舵取りに頭を悩ませる中、四国では動乱の兆しが…?ついに世界へと漕ぎ出した戦国サバイバル小説、最新刊!書き下ろし外伝×2本&もとむらえり描き下ろし漫画も収録!
明治43年1月、七里ヶ浜沖で12名の若者が亡くなった…。逗子開成中學ボート遭難事故の真実。あの時、何があったのか。あの後、何があったのか。フィクションだからこそ、闡明に著わせた真実とは。
東方との通商に乗り出し、地中海の制海権を握ろうとしたのは、ヴェネツィアだけではなかった。アマルフィやピサといった海洋都市国家が次々と現れ、なかでも最強のライヴァル、ジェノヴァとの争いは苛烈を極めた。ヴェネツィア共和国は、個人主義的で天才型のジェノヴァの船乗りたちといかにして戦ったのか。群雄割拠の時代を生き抜くヴェネツィア人の苦闘の物語。
篠遠喜彦が発展に大きく寄与したポリネシアの考古学と人類学。現時点での到達点と、今後に向けての指針を、さまざまな視点、手法を用いてまとめた、過去と未来をつなぐ一書ここに完成!!
東日本大震災の被災者支援をしている弁護士・防災士の著者が、津波からいのちを守るために、「これだけは知っておいてほしい!」ことを「3つのS」と「22のルール」にまとめました。巻末資料では、全国各地の災害痕跡についての資料も。みらい、まもる、はなたろうと楽しみながら、津波からいのちを守る方法を学ぼう!
食材としてではなく、キャラクター化された姿でもなく、腕で考える動物の面目躍如たる知的能力。
1585年。朝堂院の再建が始まり、朝廷の復興が一段と進んだ年。太平の世を見据えて国を豊かにするため、通貨作りや産業育成に東奔西走する日々。おかげで日本は空前の好景気に沸いていた。一方で明は深刻な不景気のさなかにあり、民衆の不満は今にも爆発寸前。しかもその原因は朽木の政にあって…?明と日本が争えば、西洋諸国からの介入は避けられない。敵は極東の大帝国“明”か、太陽の沈まぬ国“スペイン”か、それとも…?東アジアの安寧のため、基綱は複雑な舵取りを迫られる!世界と対峙する戦国サバイバル、待望の最新刊!
海上保安官の桃地政念は、調理・経理・庶務などを担当する縁の下の力持ち部門「主計」の専門官。海猿でもヒーローでもなく、メタボが気になる独身彼女ナシの中年だ。ヘリ操縦士である学生時代のマドンナ・高浜彩子に呼び出され告げられた「肝臓がんで余命一年」。シングルマザーの彩子は、息子の悠希が海上保安学校に入る予定で、舞鶴の病院に入院するという。彼女と過去の縁を持つ桃地は同校の教官として赴任するが、ある事情がクラスに重い影を落としていることを聞かされ…。命の現場に臨む海上保安官という仕事。明るく人間味あふれる桃地の、学生たち、そして愛する人との日々に感涙!