本来自然界の一員である人間は、いかに生きてきたか、また現在どのような地点に到達しているのか。これらの問題に「食」という基本的営みを通してとりくみ、文明の未来まで考察する食生態学を体系づけた、世評高い名エッセイ。
『41歳寿命説』は、食・環境・生命など、われわれの生きている「現在」の条件を、長大な人類史と比較・対照して初めて得られた唯一の結論である。欲望と快楽に溺れた現代社会を待ち受けるものは、「短命化」という名の死神なのだ。あなたには「短命化」が避けられるのか。それとも「短命化」とどうつきあって行動するのか。
われわれの時代は、すべて、ここからはじまった。日本の今日的環境の中で起きるさまざまなことも、またここからはじまったのだ。私はアメリカという異国をそこに見たのではない。そこに私自身の、一つのルーツを見た。全西洋街道合衆国篇。
他人の死-それは麻薬。加害者が少なく、被害者が多いほど薬効は高い。問題はどちらの側にまわるかだ。狼と組んで噛みつくか?いやそのほうが、犬と一緒に吠えるより数段ましではないか。ことに適量を過ぎた時などはなおのこと。
真の自然観察者の眼には、山の厳しさも、山での愉しみも、動物や昆虫も、幽霊や不可思議な現象でさえも、皆ごく当り前の観察の対象となる。大らかな好奇心をもって、不思議に満ちた自然界・豊かな精神世界に遊ぶための本。
貧しいじいさまが、自分たちのことをわすれて地蔵に笠をかぶせてあげる。それを怒るどころか、よろこんでむかえるばあさま。そのおろかなまでの人のよさがほのぼのと心あたたまる昔話です。
ダイイングメッセージは華麗なカトレアの花…。ロサンジェルスの高級住宅街で起こった殺人事件は、密室で自殺した男の犯行なのか。物言わぬ花はいったい何を告げるのか。事件に巻きこまれた“私”推理行は、ありうるべからざる犯人の名前を指し示す。ミステリー最後の放れ業に挑戦した驚天動地の大異色作。
死は決して不幸な出来事ではない。それは、光りまばゆい天上界への故郷帰り。そして、葬儀とは、帰省を祝う幸福の儀式。幸せな『葬』を求めて空前のスケールで、新しい「葬」を提案する。
週末毎に集い、怪奇譚を披露しあう「深夜倶楽部」の面々。今夜は老俳優の番だー。夫と死別して病臥する妹を、亡夫に変装して見舞ってほしい、と学友から依頼された私は、大役を果たした翌朝、彼の娘から、女は二度目の若い妻だと知らされた。不倫相手の病死で、精神に異常をきたしたとも。そして庭に咲く彼岸花の一叢に立つ女を認めた時、学友は私に杖を振りかざした(死びと花)。七つの恐怖を収録。