灯油の原料を求めて大海に出た捕鯨船の船長エイハブの壮絶な白鯨との死闘。それを物語る唯一の生き残りの乗員イシュメールの魅力的な語り口。苛酷な宿命の下での自然と神、卑俗と聖性、博愛と弱肉強食等の混沌とした人間的葛藤の奥に、男だけの世界の濃密な関係が息づく。近代の文明の行き詰った危機に改めて注目される古典を朗唱にふさわしい平明な新訳とした文庫版。全二冊。
世間に流布している「皮かむりは一人前の男ではない」という強迫観念。「包茎は癌になる、女性にもてない、早漏になる…」といった包茎にまつわる俗説。そんなまちがいだらけの包茎知識にまどわされるな!実際に包茎手術を受けたことでアイデンティティ・クライシスに陥った青年が包茎手術にともなう後遺症の危険性を訴える。また、医療現場からは泌尿器科の専門医が包茎の基礎知識から実際の手術方法までを説明しながら包茎=無害であることを証明し、性教育のベテランが日本では避けられてきた肉体と性器の肯定学習の必要性を説く。いままで語られてこなかった包茎の正しい知識をガイドする。
「恋に落ちるのに、大して時間は必要ないんだな…」大学生の久保山良二は、キャンパスで知り合った魅力的なガールフレンド・若林知香に夢中である。ところが良二は、知香が夜中に限っていつも家を留守にしていることに気付く。不審に思った良二は、ある夜、知香を尾行してみることに。そこで良二は、知香の父親が伝説的な大泥棒であること、そして父親の死後、知香がその跡を継いで泥棒グループの親分をつとめていることを知ってしまった!昼は女子大生、夜は大泥棒ー破天荒なキャラクターたちが大活躍する、傑作学園ミステリー。
二丁の銃と大剣で悪魔たちを容赦なく斬り殺していくデビルハンター、ダンテ。悪魔が恐れおののく様子から“Devil May Cry”と呼ばれるこの男をひとりの女性が訪ねてきた。彼女の名はベリル。自分の体の傷と因縁を持つ、魔の彫像『獣の首』を探してほしいという依頼だ。しかしこの彫像が、自分の過去の記憶と繋がりを持つことになろうとは…。永遠の仇敵を倒すため、ダンテは立ち上がる!大人気ゲームのオリジナルノベライズ、登場。
ついに中国に抜かれた!気鋭の科学ジャーナリストが迫る技術大国ニッポンにぽっかり空いた「大きな穴」。
紀州雑賀荘を根拠地とした地侍集団「雑賀衆」。早くから大量の鉄砲を使いこなす戦術に長けていた彼らは、その技術を駆使して自らの領土を防衛するばかりでなく、石山本願寺や戦国大名の傭兵として各地を転戦した。信長・秀吉・家康などの天下人権力とは一線を画し、独立性を最後まで保ち続けた雑賀衆とはどのような人々だったのか。鈴木孫一や佐武伊賀守という領袖の真実の姿をはじめ、戦国をたくましく生き抜いた雑賀衆の興亡の奇跡を描く。
薬を使わず腸をきれいにするには毎日の正しい「排泄」こそが大切。家庭で出来る「コーヒー・エネマ」(腸内洗浄)は、肝臓の代謝機能を復活させ、体全体の治癒の能力を高めます。
自転車通勤歴7年のヒキタは、妻と一人息子を養う38歳のサラリーマン。テレビ局のディレクターとして仕事三昧の日々を送っている。そんなヒキタの趣味は銭湯巡り。会社帰りや散歩の途中で見つけた銭湯でほっと一息つくのが何よりの楽しみなのだ。東京都内に残る銭湯の魅力を「自転車ツーキニスト」こと疋田智が、小説風エッセイでご紹介。庶民文化研究の第一人者、町田忍博士の蘊蓄コラムが付録についた、憩いの銭湯読本。
裏社会は生き馬の目を抜く戦場である。一瞬の判断ミスや煮え切らない態度が命取りにつながる。逮捕されるならまだしも、恨みを買い、後ろからブスリとやられることもありえない話ではない。そこで土壇場での機転、前もって危険を回避する知恵、交渉で相手を丸め込む技術などが必要不可欠になってくる。「土壇場で弱いやつは使い物にならない」「交渉力が必要な時代になった」などと声高に叫ばれるようになったが、裏社会の住人にしてみれば、なにを今更というところだろう。本書では、あまりに実用的な「裏」の交渉テクニックを紹介。ヤクザや事件屋、詐欺師、ヤミ金業者といった人々がどうやって稼いでいるのか?その強引にして華麗な手口を、ご堪能あれ。
廃屋に住む貧乏じいさんの家を狙う少年ギャング団のおかしくも残酷なたくらみを描く「廃物破壊者たち」。バーで拾った女と自分の故郷へ小旅行にでかけた中年男の姿がもの悲しい「無垢なるもの」。遅々として進まない官僚的事務手続きを皮肉たっぷりに笑いとばす「働く人々」など、21の傑作短篇を収録。喜劇、悲劇、ホラー、不条理とヴァラエティ溢れる作品に、当代一流の翻訳者陣が技量の限りを尽くして挑んだ新訳決定版。
小国が群立し絶え間ない戦火に脅かされる十五世紀末のイタリア。祖国フィレンツェの危機的政治状況のなか、マキアヴェリは官僚政治家としての第一歩を踏み出す。豊かな外交経験に裏うちされた現実的な歴史把握と冷徹な人間認識は、彼の名を不朽のものとした『君主論』に結実する。本書は、あらゆる道徳の仮面を剥ぎとり、力の概念による政治独自の運動法則をうちたてた名著の新訳に、近年の研究成果を盛り込んだ訳注を付した決定版である。
皇紀2600年(昭和15年)の万博とオリンピック、関東大震災のモニュメント、琵琶湖大運河、甲子園秘話、阪神国際飛行場、臨海の東京市庁舎、大東亜の「聖地」、国会図書館・最高裁判所のコンペ、大阪万博の初期構想…。実現しなかった夢のプロジェクトに「もうひとつの」国のかたちを読む。
欧米では木目仕上げが主流のピアノ。なぜ日本では「ピアノといえば黒」なのか?クラシック音楽の歴史も伝統もない日本。なぜ生産台数世界一になったのか?「ピアノといえばバイエル」。なぜ世界一権威のある音楽事典に載っていないのか?日本人にとって一番身近な楽器なのに、プロでも知らないことがたくさんのピアノ。日本人とピアノの不思議な関係をひもときながら、調律マン、セールスマンだからこそ伝えられるピアノの魅力を語る。
織田から豊臣、そして徳川へと天下人がまめぐるしく入れ替わった戦国時代、数多の大名や武将が歴史の表舞台から姿を消していった。覇権争いに敗れた各地の戦国大名から、鎌倉以来の守護大名、公家出身の国司、足利将軍家、そして、天下人に繋がりながら敗者となった人々まで、さまざまなタイプの戦国「負け組」の軌跡をたどり、彼らの敗因を探る。