1532年、各都市が覇権を争う戦国時代まっただ中のイタリアで刊行された『君主論』。イタリア統一を果たす上で、人を動かす強い君主に必要な行動と考え方、人々の心理構造を鋭く見抜き、500年にわたって世界中の経営者や政治家、リーダーたちに読まれつづけている。混迷の時代にあっても強く生き抜く知恵にあふれた、先人たちの人生と仕事の手引きとなりつづけた名著。
ルイジアナ州の気の良い大農園主に買われ、その家の天使のような娘エヴァとも友情を結んだトム。だが運命の非情な手はトムから大切なものを次々と奪っていく…。読者の心情を揺さぶる小説の形で、奴隷制度の非人道性を告発し、米国社会を変革した、アメリカ文学の記念碑的作品。
正直で有能、分別と信仰心を持つ奴隷頭のトムは、ケンタッキーのシェルビー農園で何不自由なく暮らしていたが、主人の借金返済のために、奴隷商人に売却されることに。トムが家族との別離を甘受する一方、幼子を売られることになった女奴隷イライザは、自由の地カナダへの逃亡を図る。
世界有数の金融機関を渡り歩いた著者の結論。金利を制する者はすべてを制する。アメリカと日本の金利差をつねに見る。投資信託の前にドル建て債券を買おう。住宅ローンは固定金利に借り換えよう。金利の知識がないと損をする!
「男がいた。元服したばかりの男だった」。流麗な和歌とともに語られる、恋と友情、そして別離ー。平安初期の仮名文学を代表する傑作として名高い歌物語集が、作家・川上弘美による新訳で瑞々しくよみがえる。在原業平とされる貴公子を中心にした百二十五段の恋物語。
須磨・明石から帰京した光源氏は勢力を取り戻し、栄華の頂点へと上ってゆく。藤壺の宮との不義の子が新帝となり、明石の女君は女の子を出産後に上洛。広大な六条院が落成し、地位も権力も手にするが、やがて陰りが見えはじめる。生と死、愛とかなしみー。「澪標」から「玉鬘」までを収録。
発展を続けるニューヨークに孤絶して建つ、古色蒼然たるグリーン屋敷。そこに暮らす名門グリーン一族を惨劇が襲った。ある雪の夜、一族の長女が射殺され、三女が銃創を負った状態で発見されたのだ。物取りの犯行とも思われたが、事件はさらに続き…。不可解な謎が横溢する難事件に、探偵ファイロ・ヴァンスが挑む。『僧正殺人事件』と並び称される不朽の名作が、新訳で登場!
締切りなのに書けない!編集者に言い訳、お詑びを書き始めた作家は、ついに小説の予定枚数分の弁明を書き上げてしまった…。笑えない題材こそ笑いの宝庫とばかりに、ありふれた身近な新聞の投書欄、旅行記、解説、新人賞応募原稿、ワープロ。当たるを幸い知的なパスティーシュに仕立て上げた傑作集。
ロスアンゼルスに一か月の滞在ののち、北上してサンフランシスコへ。さらに大陸を横断してニューヨークに向かう。東海岸線に沿ってアメリカ最南端フロリダのキーウエストに下り、今度は南部を横断し再びロスアンゼルスに戻る。全土200日、2万マイルに及ぶモーターホームでの漂流。現代の漂泊者であり、時代の観察者であり続ける著者が、目と心と体でとらえたアメリカの今。考察的旅の記録。
厳島の決戦を前に、重い心で海を見つめていた元就の耳に警固兵たちのどよめきが聞こえてきた。「大殿、丸に『上』の文字が見えまする」。村上水軍の旗じるしだ!「勝った。これで勝てる…われらの首がつながったぞ」。元就はだれにともなくつぶやきかけた。-毛利とくみしながらも軍門にくだることを拒み続け、信長、秀吉らとも互角にわたりあった「自由の民」村上武吉の生涯。
「私のもの」とは何か?代理母、女性の自己決定権、臓器移植など、所有と他者と生命をめぐり、社会・倫理を横断して考える。
イエス没後、『新約』成立までなぜ300年も要したか。なぜ相矛盾する四福音書が存在するのか。「異端」活動の果実を巧みに取り入れた「キリスト教主流派」が、聖なる「テキスト共同体」を創り出すまでを描く。
貨幣論の哲学的基礎づけに終始することなく、貨幣を手がかりとして近代社会の構造と文化の核心に迫る。ジンメルの多面的思索が縦横に展開された畢生の大作。その個人全訳成る。
なぜあの人はお客の心をつかむのか?20人のプロフェッショナルが語るサービスの極意。
アイルランドを訪ねた写真家の「私」が出会った女流画家プーカ。沖合に浮かぶ今は無人の島ブラスケットを見つめる彼女は、幼い頃島に流れ着き、一切の記憶を失って育った。彼女がキャンバスに描くのは、失われた時間と自分だけの物語。その姿は、同じ漂流者たる「私」の心をとらえるのだった。孤独な魂と魂が寄り添い、共鳴して…。無数の国境を横断し、人間の光と闇を見つめてきた著者初の長編小説。