討ちいりは、じつのところ押し込み強盗と変わらない。衣に鎖を付けるなどした重装備の赤穂浪士が夜討ちを強行、寝巻き姿の吉良勢に襲いかかったのだ。ために十三歳の茶坊主をはじめ多くの者たちが惨殺された。吉良家随一の剣客清水一学は、じつは上野介とその愛妾との間の落とし子であった。町家の娘との激しい恋に心を残しながらも、一学は懸命に上野介を守って、熾烈な最期をとげる。吉良上野介は赤穂の者の手にかかって殺されたのではない。そのような不名誉をうとみ、周到に準備された秘策によって、みずから生命を絶ったのである。構想から二十年、真相を解く大作。
この物語のさまざまな描写の目的は、アフリカ人に対する哀れみと共感の心を喚起すること、つまり残酷で不当なシステムの下におかれた彼らの不正と悲しみを示すことにある。なぜそうしなければならないかといえば、彼らがわれわれのあいだに立ち混ざって存在しているからである。このシステムの残酷さと不当さは、彼らの最良の友人たちが、このシステムの下でなお彼らのために試みうるどんな善意の活動も無駄にし、圧殺してしまうほどのものなのである。こうした目的でこの物語を書いてきて、著者として心から言えることだが、自分自身の落ち度からでなく、奴隷制の合法的な諸関係の結果としてさまざまな試練や困難に巻き込まれてしまった人々に対して、私は悪意ある感情など抱けない。著者の経験によれば、しばしばもっとも気高い精神や心の持ち主がこういったことに巻き込まれているのだ。この物語の描写から推測されうるような奴隷制の害悪は、筆舌に尽しがたい全体の半分も言葉になしえていないということを、こうした人たちが一番よく知っている。
各地に建設され話題となったユニークな建物を100件選び出し、地域別に構成。簡単な解説を付与。
昭和四十八年一月十五日の正午、青年地球誕生の一筆を起こした幣立神宮宮司・春木秀映はいま九十六歳の現役神官として、天下万民の幸福、世界の平和を祈りつづけています。それから四半世紀、青年地球誕生待望論が燎原の火の如く燃えはじめ、国内外からの反響高まる一方です。また、各方面から幣立神宮についてのレポートも多数出ていますが、その中には誤った認識を与えかねないものもあり、正しい理解のための資料として活用できることも念頭に入れ、青年地球誕生二十一世紀へのメッセージを送り出すことにしました。
戦国時代の合戦場、馬上で白刃を振るう武将、刀で渡り合う武士というイメージは後世に作られたものだった。では、戦場で日本刀はどのような役割を果たしたのか。日本人が白兵戦を嫌い、「飛び道具」志向であったことを明らかにし、特異な風習「首取り」の意味と刀との関わりを解明する。日本刀への幻想を振り払い、戦国合戦の実像が浮かび上がる。
「メリーゴーラウンド」や「飛行塔」の起源は?人々に愛され続けてきた「遊園地」は、時代とともにどう変容したのか。東の浅草「花やしき」から、西の「宝塚」「甲子園」まで。懐しいヴィジュアル資料満載。
本書は、直売向けの野菜生産者をおもな対象に、栽培技術とともに栄養価や機能性なども含めて、初心者にもわかりやすく解説したものである。したがって栽培法ではポイントとなる技術を図解するとともに、他の野菜や失敗しないための注意点、農薬をできるだけ使わない工夫や、おいしくつくるポイントなどにも意を注いだ。
白熱した銃撃戦、鋭いかけひきが繰り広げられる中で、プロの誇りと哲学をもった男たちの非情な世界が展開されていく。作家ギャビン・ライアルの名を不動のものとした、冒険アクション小説の傑作。英国推理作家協会賞受賞作。
ゴッホ、セザンヌ、雪舟、鉄斎から、骨董、旅、食生活まで、残された文章を道標に、小林秀雄の美の遍歴を追体験する旅。「難しかった」小林秀雄が、ぐっと身近に感じられる一冊。
人と人との対面的状況における行為のパターンを詳細に分析・体系化し、相互行為の場における儀礼的要素を抽出しつつその社会的機能を究明する。日常生活の微視的分析をもとに人間の社会的行動原理を基礎づけたゴッフマン社会学の主著。
大正初め、小さな湯の町に客を集めるためのアトラクションとして少女歌劇が誕生した。そして八十八年ー。いまや花月雪星宙の五組となり、東西二つの大劇場を中心に、海外でもしばしば公演している。レパートリーの幅広さ、ファンの熱心さータカラヅカほどユニークな劇団もないだろう。なぜタカラヅカは永年に亘り、大勢の人々の心を掴みえたのか?そしてこれからの課題は?演出家として数々のヒット作を生み、現在は歌劇団を率いる理事長が卒直に胸の中を明かす。
荒れ狂う洪水の波に愛する人を奪われて、ついに狂気の人となった男は、人工都市の創造者として君臨する青銅の騎士像との対決に向かっていった…。幻想の都ペテルブルグが生みだした数々の物語の原点となった詩劇『青銅の騎士』と、モーツァルト毒殺説やドン・フアン伝説の逸話を見事に凝縮させながらヨーロッパをかけめぐる「小さな悲劇」四編を本邦初の組み合わせにして、全集翻訳以来30年ぶりに新訳。
モナリザから新生児まで、爆笑・哄笑から苦笑・失笑まで、笑いは人間の存在証明だ!笑いとユーモアをおかしく説いた真面目な本。
カフェー、ダンスホール。店頭のショーウインドーと煌めくネオンサイン。20世紀はじめ、都市には異国のにおいがする空間が現れる。西洋化・高層化・電化をキーワードに、盛り場のモダニズムとその「時代の気分」を描く。