山形かみのやま温泉の湯宿“古窯”の二代目女将が、折々の気持ちを書きとめた「古窯かわら版」。発行から三十三年を経た「かわら版」のエッセンスを一冊に集成。
「推理小説はペダンティックでなければならない」-スタイリスト・澁澤龍彦の面目躍如たるミステリー時評、さらには、E.A.ポオ、江戸川乱歩、小栗虫太郎、夢野久作、久生十蘭、中井英夫ら偏愛する作家たちへのオマージュなど、“ミステリー”に関する論考、エッセイを初めて集成!
第五句集『残響』から八年、清新な抒情を鮮やかに掬う俳人・星野高士が円熟を深めながら拓く新境地ー。“渾沌”は可能性の揺籃ともいえる。然り、私たちは渾沌の世に、明晰かつ洒脱な精神で紡がれた三八七句と出会うことだろう。
九州・福岡発、元新聞記者の林往期の思索。瞠目の初エッセイ集。文学・思想・歴史の“知”を探照灯として、人間、世界、文明の諸問題に相渉る、“燎原の魂”の気圏から発せられた珠玉の四十九篇。石牟礼道子、谷川雁、上野英信、渡辺京二らの系譜にも繋がる、俳誌「空」連載の慧眼の社会批評。
“風”の諸相を象った、思想する俳諧師の第六句集。鎮魂の詩作品「追憶の俳人たち」三篇も併録。俳諧精神の究竟、目眩く異界遊行。
「ここではないどこか」へ飛ぶことを願う魂ー新しい“うた”の誕生を告知する第一、第二歌集をまとめた決定版。詩人・蜂飼耳による書き下ろしエッセイ「遙かかなたを見る歌」、著者あとがき「乙女の匂いがなくなる年」収載の栞を附す。
『柿本多映俳句集成』(2019年刊)に「拾遺」として収められた、1500句を超える句集未収録作品から赫奕たる佳句を精撰。
遊行する精神、その句業の全軌跡。杏子のエッセイや先達の名句を自在に抽きながら、テーマ別に杏子俳句の背景を探索し、作品の魅力を緻密に、そしてスリリングに読み解く。
山顛に打ちたてる紙碑、珠玉の山岳俳句集。
吉本隆明が60年代初頭に「極限までひっぱられた平和思想」と絶讃した埴谷雄高のレーゼドラマが吉本新喜劇ばりのギャグで世紀末に異化されつつ鉄腕アトムの歌に乗って甦る。恐るべし月蝕歌劇団!没後一年目を迎えた故人への最上のレクイエム。
幽玄・さび・花・あはれ・余情ー記紀万葉以来の美意識、感受性、叡智を薬籠中のものとして、現代と遙かなる古代の岸辺を遊行する純粋孤絶の詩的空間。『浮舟』で現代女流詩人賞を受賞した閏秀が、魂の岸辺を噛む波の音に、ときに幻野に咲く草の木のそよぎに託した比類なき相聞、挽歌の世界。三井詩の到達点。