俳句という器に盛り込まれるものは何か。古典の造詣に裏付けられた思索、俳句の現場に立ち会い新たな俳句の生成を見守り続けてきたその情熱。俳句の今日と明日を“思想”する醍醐味を満喫させる中嶋情況論の決定版。
春日井建、三島由紀夫を鎮魂する『銀河』、入水した平家の公達に沖縄戦の死者を重ねた『伊勢佐木町』、歌人としての己れに死と禁忌、性と巫呪を焚き込めた表題作など、超現実の彼岸に誘う眩暈の14篇は、上田秋成、泉鏡花、折口信夫ら、バロック=マニエリスム文学系譜の最も豪奢な達成である。稀代の幻想歌人が精緻な言葉で織り上げたタペストリー。
悪魔に魂を売ったとまで噂された不世出の天才ヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニの遺した幻の楽譜がたどった奇しき遍歴ー忽然と現われた「ヴァイオリン協奏曲第4番」発見の謎を、豊かな学識としなやかな想像力、瑞々しい感性で描く。
本の中に埋もれた“歌”に耳を澄ませばー戦後と戦前を往還しつつ、“歌”の“訴え”を探索する読書の旅「北海道新聞」日曜文芸欄の人気連載コラムが1冊に!短歌がいざなう“今”を考えるためのブックガイド。戦後70年の今だからこそ読みたい153冊!