原石鼎の生涯と作品を精緻に辿り、石鼎ルネサンスを期す。鬼城との往復書簡、色紙、俳画、古地図など図版、さらに谷崎潤一郎、保田輿重郎から須賀敦子の石鼎をめぐる挿話まで、興味滾滾。“市中の隠”の在り方をも合わせ問う評伝。
巡り来る永遠の夏の日に。昭和二十年、“敗戦の夏”前後。集団疎開した四万温泉の村。日増しに濃くなる戦争の影。同級生との友情、葛藤、諍い、そして別れー。皇国少年少女たちのあの夏の日々を、そして成長の日々を、類いまれな記憶力と無垢なまなざしで回想。形而上作家と畏怖される閨秀の自伝的、いわば“地下室の手記”ともいうべき魂のドキュメント。
従来論じられることの少なかった『作家の日記』『論文・記録』を軸に据え、ドストエフスキィの精神の深奥に分け入る果敢なる試み。作家の文学・芸術観、人間論から、ロシア論、西欧論、さらに、宗教論、社会思想、政治・経済論、宇宙論までを、文学空間の拡がりにおいて開示する渾身の書き下ろし。「精神のリレー」を継承する第一走者の疾走を目撃せよ。