芥川賞を受賞し上京したものの、変わらず華やかさのない生活を送る田中。ある日、デパートで若い女性から声を掛けられた。「教えてください。どうして母と別れたんですか」。そうして、高校時代の三角関係を痛みを伴って思い出す日々がはじまる。三十年前の下関と今の東京を往還して描く、著者初の恋愛小説。
エンダーによる異星種族バガー皆殺しから3000年後、銀河各地へと植民地を広げていた人類は、ついに第二の知的異星種族と遭遇した。新たに入植したルシタニア星に棲むピギー族が、高い知性を持つことが発見されたのだ。バガーのときと同じ過ちを繰り返さないため、人類は慎重にピギー族と接する。そのころエンダーは、姉ヴァレンタインとともにトロンヘイム星を訪れていたが…ヒューゴー/ネビュラ両賞受賞に輝く続篇登場!
芸術の域にまで高められた「茶道」の精神を紹介しながら、伝統的な日本文化の独自性を詩情豊かに解き明かした名著。日本文化が大切に育んできた自然と人間の調和共生の関係は、環境破壊の進んだ今日、わたしたちに心の豊かさと新たな文明の指針を与えてくれる。
14歳のポールは、憧れの生徒ダルジュロスの投げた雪玉で負傷し、友人のジェラールに部屋まで送られる。そこはポールと姉エリザベートの「ふたりだけの部屋」だった。そしてダルジュロスにそっくりの少女、アガートの登場。愛するがゆえに傷つけ合う4人の交友が始まった。
友人グロリアの自殺をきっかけにして、作家ホースラヴァー・ファットの日常は狂い始める。麻薬におぼれ、孤独に落ち込むファットは、ピンク色の光線を脳内に照射され、ある重要な情報を知った。それを神の啓示と捉えた彼は、日誌に記録し友人らと神学談義に耽るようになる。さらに自らの妄想と一致する謎めいた映画『ヴァリス』に出会ったファットは…。ディック自身の神秘体験をもとに書かれた最大の問題作、新訳版!
辺境の惑星で処女懐胎したライビス・ロミーは、聖なるものの導きで邪悪なゾーンに覆われた地球へ向かう。だが、帰還中に事故が発生。その息子エマニュエルのみが記憶を失った状態で生き残った。地球に到着後、特殊学校で少女ジーナと出会ったエマニュエルは、彼女との関わりから、世界のあり方、自らの役割に覚醒していく。ディック自身の神秘体験をもとに書かれた『ヴァリス』の世界観を展開させた三部作新訳版・第二弾。
「わたしたちは神が命じたから、道徳的に行動する義務があると考えるべきではない。わたしたちは、道徳的に行為すべきことを、みずから“内的な”義務として考えるからこそ、こうした法則が神の命令とみなされるようになったのである。」最難間の書物をついに完全読解する。
LGBT、留学生、障害学生支援、そして大学生活の定番テーマ(授業、サークル、奨学金・アルバイト、留年・休学、運転免許、ハラスメント、カルト、就職活動)を論じた「大学生も楽じゃない」など、新たに4章を再構成+追加して2007年刊行初版を全面改訂増補。専門家も教職員も、保護者も学生本人も、気軽に読めて納得できる「大学生メンタルヘルスケア必携ガイド」。
中世イングランド、おたずね者となった弓の名手ロビンはシャーウッドの森の奥に隠れ住む。棒術の名人、吟遊詩人、飲んだくれの修道僧など個性豊かな強者たちを仲間に引き入れながら、強欲な役人や聖職者らを相手に痛快な戦いを繰り広げるロビンだが…。著者による挿絵全点収録!イングランドの義賊伝説を元にした痛快活劇。
小児・思春期領域に特化した向精神薬のハンドブック。わが国で使用可能なすべての向精神薬を収録し、各向精神薬について、前半は一般的な薬剤特性を要約し、日本人成人における標準的な使い方を明示。後半は世界の添付文書にみられる小児投与の際の留意点を国別に要約し、小児に対する使い方のポイントを紹介。エビデンスの少ないわが国の児童精神科領域の薬物療法に対して、日本人成人と海外小児の臨床エビデンスを即時に外挿して処方検討の手助けとなる有力な薬物療法支援ツール。