すっかり温泉旅行が趣味になった警視庁捜査一課志垣警部と和久井刑事が骨休めに訪れたのは、中伊豆の大滝温泉。夜、その洞窟風呂に入っていた和久井は、誰もいない闇の奥から女の笑い声が響いてくるのを聞く。翌朝、旧天城トンネルに全裸の女性死体。容疑者は四人。しかも全員が自分こそ真犯人だと主張。奇妙な殺人劇の幕が開いた。
名画とともにたどる世界の水と温泉の歴史。「水」水神、妖精、人魚、禊、聖なる川などの神話・伝説・儀式から現代のミネラル・ウォーターまで。「温泉」聖なる泉や古代ローマの浴場からヨーロッパ、アジア、日本、アメリカ各地の温泉(スパ)まで。
銀色の牙をもった龍が次々と人を食い殺していく。夢とも現実ともつかぬ幼いころの血塗られた記憶。紀伊山中の龍神村に生まれた龍神季美子は、大人になってからも、その龍に追いかけられる妄想から逃れられない。そんなある日、彼女と間違えて同僚が殺された。凶器は牙!そして季美子の前に奇妙な男が。
冬の城崎温泉、白い雪を深紅に染めて湯浴み姿の美男美女が倒れていた。男は死亡、女は重傷。女の手には民芸品の麦わら細工の小箱が。そして中にはTANGOと書かれたメモが一枚。だが、若い女とみえた被害者は青年だった!息子の変貌に驚く元教師の父は、かつての数え子志垣警部に相談。丹後半島から城崎へと、真相を求める旅に出た。
大学時代の友人浜田に誘われ紀伊勝浦温泉に出かけた日下刑事は、海の見える露天風呂から溺れる人影を目撃した。翌日発見された溺死体は東京からの観光客で、翌月にはその未亡人も殺害された。やがて容疑者に浜田が浮かび上がるが、そのアリバイは日下刑事自身によって完璧に証明されていた!表題作ほか、草津、熱海、伊豆長岡を舞台に十津川警部の推理が冴えるトラベル・ミステリー傑作集。
神田川に架かる両国橋で人が死ぬ-実在しない(?)橋での殺人予告が警視庁捜査一課の志垣警部のもとに届いたのを発端に、意外なところで猟奇殺人が発生!現場は青森県十和田湖畔。被害者の男は丸坊主にされ、唇は口紅で赤く彩られていた。そして第二の殺人は、座敷童子の出現とともに岩手県金田一温泉で起こった。
浴槽もすえられていない未利用温泉、地元の住民だけが使っている地域の共同浴場、個人宅の温泉、そして、ふだんは洗濯場としてのみ使われている温泉など、「有名秘湯」がひっくり返る「超秘湯」探訪記。
警察大学で犯罪心理学を教えている月形圭介は、友人の家を訪ねる途中、JR中央線荻窪駅近くの路地で死体を発見する。現場には何故か赤いワンピースを着たフランス人形が置かれていた。三年前まで警視庁捜査一課の刑事だった月形は、その後の捜査の経緯を聞き、被害者が大分県の出身であることを知る。一方、大分では由布岳の麓でやはり若い男が死んでいるのが発見され、こちらには古びたコケシが置かれていた。宝飾デザインの工房を経営する月形の母・澄江、外科医の妹・霧子も持ち前の好奇心で事件にのりだしてくる。
洞窟温泉の闇の奥から響いてきた女の笑い声。和久井刑事がそれを聞いた翌朝、付近の旧天城峠トンネルで全裸の女性死体発見!「伊豆の踊り子」ゆかりの天城大滝温泉にきていた志垣警部らが遭遇した殺人事件は意表の展開を見せる。容疑者とみられる四人すべてが、これは自分の単独犯行だと主張したのだ。
あらゆる建築を設計してきた鬼才が、ついに究竟の家にたどりついた。「宇宙遊泳する劇場銭湯」とは?「看板の家」とは?「巨大な竜」とは?不思議な建物をめぐる奇想天外ストーリー仕立てのエッセイ。初の書き下ろし。実在の(あるいは非実在の)建物をめぐる奇談の数々。
二階堂日美子の兄で神奈川県平塚市の南原病院の院長を務める柏木陽一は、秘書でナースの水沢春花と訪れた下北半島の薬研温泉で男の刺殺体を発見した。奇妙なことに死体の足元には一輪の深紅のバラが落ちていた。そしてその三ヵ月後、今度は川崎でダイオキシンの害を取り沙汰されていた工場の工場長が、さらに四ヵ月後には悪徳医師として週刊誌で告発されていた美容形成外科医が殺されたが、いずれも犯行現場には一輪の深紅のバラが置かれていた。次次と犯行を重ねる犯人に苛立ち、柏木は独自に調査を始めるが…。
猛吹雪の中、上高地の友人宅へ向かう警視庁捜査一課の夏目大介警部は、深雪に覆われた林道で立ち往生していた若い女を助け出す。彼女の目的地は白い濁り湯で有名な白骨温泉。その露天風呂に背広を着た男の他殺体が沈んでいた!秘湯ムード満点の雪の温泉地を舞台に、志垣警部対夏目警部の推理合戦が始まる。
日本語を起源とする多くの言葉が、世界各地で、辞書に収録されるまでに広く使われている。禅、俳句、黒潮、指圧、豆腐、醤油、人力車、交番、カラオケ…。これらはどのように外国に紹介され、受容されていったのか。日本的とされるものや事柄の文化的歴史的背景をたどり、何が変わり何が変わらないのかを興味深く描く、言葉と文化の事物誌。
温泉。おおお何という甘美な響きであろうか。これほどまでに日本人の心の琴線にツンツロリロリンと触れてくる言葉が、他にあるだろうか。ハラダ君率いる男子4名。その名も「大日本温泉三昧友の会御一行様」が繰り広げる浮かれ気分の珍道中。別府の砂湯、霧島のビッグな温泉、南阿蘇の湯治場でのクッキング、嬉野で見つけた究極の和風尽し、ナイースな長崎と…。脱力と悶絶の湯めぐりエッセイ。
隣国から謎のミサイルが飛来して…ストーカー女から料理のもてなしを受けて…飛び乗った新幹線が冷凍庫化して…元プロレスラーの嫁に浮気がばれて…突然、「おれ」を襲うユーモラスでありながらも、じわりと怖い出来事の数々。まさか、温泉のマッサージ椅子で磔になるなんて…「うひょー」「うおーっ」「わあっ!」思わず叫んでしまう、シーナ的オモシロ怪奇な13篇。
男は十和田湖畔で、頭を丸坊主にされ唇には紅を塗られて殺されていた。そして第二の殺人は、座敷童子が出るという岩手県金田一温泉の宿で起こった。ナイフを突き立てられながら一滴の血も流さず息絶えた女の側から走り去る座敷童子!伝説に彩られた猟奇殺人の真相を求めて、志垣警部は豪雪の東北へ。