本書は、2次元網膜画像から高次中枢における3次元形状の認識に至るまでの全体的な「視覚情報処理のシナリオ」を鮮かに描き出している。このシナリオは、原始スケッチ、2・1/2次元スチッチ、3次元モデルという三つの処理段階に分かれるが,このような著者独自の術語が示すように、きわめて独創的な理論体系が展開されている。
本書は岐阜県文化財指定の飯沼慾斎筆の『草木図説稿本』(岐阜県本巣郡在住・江崎美奈子氏蔵)全27冊に収められている1618図の中から80図を選び、慾斎の配列に従って1冊としたものである。
『残菊物語』『元禄忠臣蔵』『山椒大夫』…ゴダールやリヴェットによって神話化され、世界各地で繰り返し上映されている溝口健二の映画。生誕百年を記念する熱い心と冷静なまなざしが、反歴史的な神話的興奮を超えてその全体像を多角的に描き出す。
カナダ先住民自身による表現は、世界経済のグローバル化や国家政策、欧米のアート市場と深く関わりながら、「版画」という技術との出会いにより現代アートとして花開いた。世界でも稀に見るコレクションの数々を、丹念な研究成果に基づきじっくりと紹介する。
世界最古の家畜とされるイヌと人とのかかわり合いを考古学資料から丹念に検証し、時に運搬用、ある時は食用とされるなど、時期や地域ごとに大きく変化してきたその関係性と歴史を鮮やかに描き出す。