音楽学者、音楽教育家、声楽家、さらにNHK交響楽団の副理事長、国立音楽大学の学長と多彩な生涯を送った、有馬大五郎の論文、論説、所信、エッセイと全700余篇のなかから100篇を選んで1冊にまとめた。ウィーン大学で学んだ著者は、当然西洋音楽を正しく日本に紹介するという課題をもつが、第二次大戦をはさんで研究、思索の対象としたのは、“日本人の音楽、音楽文化”とその在り方であった。
誠実で先見性に富み、信仰心篤く永久平和を熱願した石原莞爾が、なぜ侵略戦争の元凶といわれ、下剋上の張本人にされるのか、なぜ謀略家の烙印を押され、軍閥の中心人物と目されるのか。石原莞爾生誕百年に当り、誤解された将軍の実像を知ってもらい共に考えてもらうために、あらゆる角度から資料を提供する。
本書は、人々に慈しまれ、愛されて今に受け継がれてきたハーブの数々を、祝祭典やキリスト教の行事のなかに探ります。
“消耗品扱いの要員”という言葉をご存じだろうか。女だてらに未踏惑星探査を任とするわたしもその一員。この25世紀、任務遂行中に不慮の死を遂げやすい惑星探査要員には、身体的に瑕疵をもち、損失をさほど惜しまれない人員があてられるのだ。そのわたしが、帰還率ゼロの危険な惑星メラクィンの探査を命ぜられた。ついに年貢の納めどきが来たかと思いきや…期待の俊英が放つ、謎と波瀾横溢するアドヴェンチャーSF。
任務から還った者のない惑星メラクィンへ決死の探査行に赴いたわたしは、実際の星を見て驚いた。それは地軸の傾きから大気組成まで、あらゆる点で地球によく似た惑星だったのだ。なぜここがそんなに危険なのか。そもそも、地球の近接宙域にこういう惑星がどうして存在しうるのか?疑問と怖れをいだいて地表に降下したわたしの前に現われたのは、ガラスの体をもつヒューマノイドだった!ゲーム感覚あふれる傑作冒険SF。
バブル絶頂期の東京。元ディスコの黒服だった堤彰洋は、薄汚い地上げ仕事に従事していた。大金を動かす快感に酔いしれる彰洋は、次第に金に麻痺し、深みにはまってゆく…。80年代の青春の暴走と破滅を描いた、馳星周の新たな地平。
盗んではいかん。-祖父と交わした約束は無残に打ち捨てられた…裏切られ嵌められ、身動きがとれなくなり、コカインとセックスに溺れる彰洋。そして終わりのときがやってくるー。残酷なまでに描き切った若き「持たざるもの」の一瞬の光芒。
六本木のディスコで黒服のバイトをしながら満ち足りぬ日々を送っていた彰洋は、偶然出会った幼馴染の麻美に不動産屋の美千隆を紹介される。時はバブル真っ盛りの八〇年代後半。おれはおれの王国を作りたいんだー若くして成り上がった彼の言葉に魅せられた彰洋は、二十歳そこそこで大金を動かす快感に酔いしれていく。
土地の値上がりは続く。限りなく体温が上昇する感覚に中毒した彰洋らは、嘘を塗り重ねてマネーゲームに奔走するとともに、コカインにも溺れていく。「嘘をついてはいかん。人を騙してはいかん。人の物を盗んではいかん」という熱心なクリスチャンだった祖父の教えに唾をかけて…。もう後戻りはできなかった。
実娘が初めて明かすー二十世紀最大のスターの素顔。