保安官のトラビスはスピード違反の車を捕らえた。運転していたのはエリザベス・アボット、二十八歳。茶色い瞳が印象的な、なかなかの美人だ。助手席には五、六歳の少女がおびえた様子で座っている。トラビスが質問を浴びせるうち、不意に、その女性は息を詰まらせてハンドルのほうに倒れこんだ。顔面蒼白で脈拍も速いートラビスは病院に急行し、彼女は盲腸炎とわかって手術を受けた。この町に引っ越してきたばかりで、まだホテル住まい。結婚したことはなく、近くに親戚もいないと言うエリザベス。トラビスはエリザベスに強く惹かれたが、彼女は不審な点だらけだ。幼い娘を連れて越してきたというのに家具やおもちゃなど持ち物が何もないのもおかしい。それに、この女性が未婚のまま子供を産んだのだろうか…。
“見た目”を変えれば見る目が変わる。愛される女性の作法。
法に触れるようなことも平気でする、危険な男ー。それがハンナのニックに対するイメージだった。警察官であるハンナは、この一年、署内でたびたび声をかけてくるニックの誘いを振り切ってきた。だがその日は、なぜか彼の誘いを受け、テキーラに酔った勢いで、こう口走っていた。「わたし、夫を必要としているの」と。生まれてすぐ養子に出されたハンナのもとに、実母から、まだ時間が残されているうちに会いたいと書いた、手紙が届いたのだ。母親が私立探偵を使って居所を捜しあてたとき、まだ結婚していないハンナは、老い先短い母を心配させないよう、週末、四百ドルで夫の役を務めてくれる男性を探していたのだった。「喜んで力になるよ」ニックはそう申し出て、ふたりはハンナの母が住む町グレンウッドへと向かった。
クレイグ・ヘインズは疲れていた。警官である彼は、六年前に離婚してから、男手だけで三人の息子を育てているのだが、特別捜査に携わっているため忙しく、家の中は荒れ放題で、息子たちとの関係もうまくいかなくなっている。彼は一刻も早く住み込みの子守を見つけたいと思っていた。一方、ジル・ブラッドフォードは住む場所を探していた。離婚の痛手を癒すため、友人のキムの家に身を寄せていたが、そのキムが間もなくハネムーンから帰ってくる。新婚夫婦の家に居候するわけにもいかず、ジルにとって、住み込みのナニーは願ってもない仕事だった。クレイグとジルの利害は一致した。ふたりはひとつ屋根の下で暮らすことになるのだが…。
ある町で不可解な連続怪事件が起きた。新聞社に勤める雅輔は、先輩の万華、捜査主任の鳥居警部補と共に事件解決に乗り出す。その事件に「魔」の匂いを嗅ぎつけた雅輔はついに「能力」を発動させる。
時実新子に師事した著者が日々の迷いなどを洗練された語彙で表現した現代川柳集。
メディアが誘導する亡国の迷路!失われた「日本の美徳」。日本の病巣を、鋭くえぐる渾身のメッセージ。
オリーブの咲き誇る七大陸を舞台に繰り広げられる、「伝説の金のハト」対「魔王サウザウ」の命をかけた戦い。悪に打ち勝つために、正しく生きるために不可欠な精神とは何か?動物と人間と妖精と人魚が心を一つにして戦う、壮大なバトルファンタジー。
「いい男」の条件とは、肩書きでも、見た目でも、年収でもありません。一番大切なことは「人を思いやる心」です。新宿2丁目で20年に渡って、実に様々な人たちと接し、男性と女性両方の目を持っているからこそ、真実を知っています。仕事でも恋でも「いい男」に出会えるヒントがあります。
東京ベイエリアの廃墟のビルで、顔は美しいままなのに首から下は黒焦げという奇妙な死体が発見された。被害者は俳優の嶋津諒平。金に汚く女ぐせの悪かった諒平を怨む人間はあまりに多く、恋人だった歩美にもその捜査の手がのびて来る。マスコミの取材攻勢と刑事の執拗な追跡のなか、惨殺体を造り上げた犯人を探しだそうとする歩美は…。深層心理に潜む『怨念』を描く渾身の書下ろし長篇サイコ・サスペンス。
「動くな!騒ぐと命はないぞ!」いきなり銃を顔に突きつけられ、キャリーは凍りついた。八年ぶりに故郷に戻り、銀行に足を踏み入れたとたん、強盗に襲いかかられたのだ。すると突然ハンサムな保安官が現れて、キャリーはさらに驚愕した。かつての恋人ゲイジにこんな形で再会するなんて!彼女の心臓は恐怖とときめきで早鐘を打ったが、ゲイジは銀行強盗さえ気にならない様子で、怒りをにじませて言った。「あのとき、きみは僕の心をずたずたにしたんだ」。