若い歌手を初めて聴くのは実に楽しい。テノールとなるといっそうである。ナポリ帰りの上本訓久、粗削りながら地中海の青い空を感じさせる声に魅力がある。CD一枚で判断するのは尚早だが、ダイヤモンドの原石を掘り出した思いだ。精進を重ねて大成してほしい。
木漏れ日に染み渡る、その声。
これまで「ゲド戦記」「北極のナヌー」と、映画主題歌をつとめるチャンスに恵まれてきた手嶌 葵。
そして彼女は、再び新たな映画との出会いを果たした。
多くのヒット性を秘めたこの映画「西の魔女が死んだ」は、原作が100万部を超えるベストセラー小説で、監督は「8月のクリスマス」(2005)や「死国」(1999)の長崎俊一。
みずみずしい新緑に囲まれ、すべてを包み込んでくれるようなやさしく美しいこの映画の中で、手嶌葵はどんな表情の歌を見せるのか。穏やかな声とうらはらに、大きく心を揺さぶるその歌は、何かを解き放つように、私たちの胸に飛び込んでくる。過ぎる季節と、時を渡り大人へと成長してゆく少女の心の葛藤と切なさを、しなやかなヴォーカルで歌いあげる。
幅広く活動するギタリスト、SUGIZOの初のベスト盤。ソロ活動を開始した97年から10年間の歴史をまとめた作品で、リミックス音源や新録曲を含む“SUGIZOサウンド”の集大成が堪能できる。
『鉄腕アトム』の後番組として1967年に放送された作品。意外な展開と前衛的デザインで大人の既成概念に挑戦した、虫プロ唯一のスーパー・ギャグ・アニメ。若き日の巨匠たちが暴走している。
昭和演歌の名曲はもとより、ジャンルを超えたさまざまな楽曲をカヴァーしてきた彼女が残した作品をコレクトしたカヴァー・シリーズ第2弾。昭和の名曲たちが一味違った風合いで届けられる。
上田現最後のプロデュース作となった「カッシーニ」をはじめ、チーフタンズや坂本隆一らさまざまなアーティストたちがはせ参じて構築した夢のように美しい音世界にまず圧倒される4作目。しかし、最終的にその世界に命を吹き込んでいる歌声の母性的な深さと厚さには心底癒された思い。★
全29曲中25曲がなんとアルバム未収録! 衝撃のデビュー作「SHINE ON」をはじめ、ビクター在籍時のシングル8枚をコンプリート。超絶テクと分厚いサウンド、3ピースの限界越えともいえるアグレッシヴな演奏で、バンドの存在感を強く示すデビュー5周年スペシャル盤だ。
オリジナル・アルバムの紙ジャケ・シリーズに続いて、今回はライヴ盤ボックスだ。DVD『NHKビッグショー 桜田淳子 明日への序曲』と、市原悦子が母親役で出演していた『白い少女のバラード』のサントラ盤などを含む10枚組となっている。淳子によるセルフ・ライナー付きとなっている。男の子の観客でいっぱいのホールと容易に想像できる声援も聴ける。74年の『16才のリサイタル』から80年の『私小説』までの間、淳子の歌唱スタイルの印象は、変化を感じさせない。デビュー時からその丁寧な歌い方は完成されていたのだ。
5年弱の活動で、14点ものアルバムをリリースしたスピード感、それに合わせてメンバーが急成長していくさまをも、そのままパックした解散30周年記念のアルバム・セット。LP時に封入されていたポスターのミニチュアや、『キャンディ・レーベル』のジャケット、通称“パン持ちベスト”[3]での、SQ4チャンネル→SA-CDマルチ・チャンネル化など、徹底した“再現”へのこだわりは枚挙にいとまがない。その一方で、ファン・クラブによる「3つのキャンディー」をはじめ、レア音源やカラオケなどをボーナス収録する“提供”へのこだわりも嬉しい。スタッフにはミュージック・ファイル・シリーズの高島幹雄が参加しており、ブックレットの内容・資料性にも迫力がある。“70年代”という時代の空気をも追体験できる仕上げが、楽曲中心のベスト盤とはまったく異なる重みを生んだ。
ウクレレ、アコギ、ハーモニカなどアコースティック楽器を使った癒し系トリオ、Somaによる通算2作目。全国ツアーの中で感じた思いや景色などをそのままフィードバックさせ、温かさのある歌と曲で優しく包んでくれる。思わず顔もほころぶ仕上がり。
陸・海・空それぞれの密かなプライドって?毎週金曜は“カレーの日”?!装備や兵器の実力は?…意外な事実や素朴な疑問から巨大組織・自衛隊の“実像”が見えてくる。