浮かびあがる人間模様。現代の愛、社会の断面。悩む人に寄り添う弁護士ー。
難病に襲われた母は幼い子を残して姿を消す。施設で出会った兄妹と友情を育む陽人。ところがその兄が人を殺してしまう。大人になり刑事となった陽人の前に美しい女性が現れた-。母子愛、友への慈しみの心、誰も悪くないのに生まれる悲しみ-謎解きを楽しみながら、涙を誘われる、愛をめぐる壮大な物語。
白いペンキ塗りの家から聴こえてくる優しいピアノの調べに、心惹かれる内気な高校生朝子。そこで出会った孤独な瞳の真樹と、まっすぐな性格の弟、誠。それぞれの繊細な想いが心に染みるピュア・ストーリー。
夫殺しを自首してきた妻。おしどり陶芸家と言われた夫婦に何が起こったのか。紫陽花釉を得意とする美貌の被疑者に魅せられ、その過去を追う検事の前に、やがて宿命にも似た真実が姿を現す…。
六月の日曜日、お母さんが語りはじめたのはせつない気持ちを持ち続けた女の子と紫陽花のおはなし。雨の日、しっとりと読みたい大人絵本。
冬から春、夏、秋まで、忘れてしまいそうな四季の移ろいを丁寧に綴った俳句集。阪神淡路大震災後、静岡に居を移して綴った静かな日々。四季の移ろい、工事現場の音が鮮やかに蘇る。
欲情のおもむくままに貪り味わう性の愉悦、禁じられた関係に燃える人妻の柔肌。愛欲淫靡の極致を描く性愛文学の秀作5篇収録。秘画満載。
冬、春、夏、秋の四季の変化を心に映ずるまま、表現した俳句集。
山田五十鈴は1917(大正6)年、大阪に生まれた。父は新派役者、母は元芸妓。1930(昭和5)年、十三歳のとき日活映画『剣を越えて』で女優としてデビュー。戦前戦後を通じて映画・演劇のスター女優として他の追随を許さない存在だった。その間、私生活では四度の結婚離婚、ひとり娘瑳峨美智子との死別など波瀾の人生を送った。2000(平成12)年、文化勲章を受章。女優道ともいうべき彼女の生き方を元松竹プロデューサーが詳細に描く。
鎌倉南署の刑事・大門京介と美貌の刀鍛冶・当麻博雪は一対の妖刀を巡る事件で出逢い、結ばれた。今は眠る刀を守りながら愛を深めている。そんな時、中年男性が刺殺される事件が発生し、京介は捜査で忙しくなる。一方、博雪は不思議な美少女につきまとわれて…。少女に優しく接する博雪に苛立つ京介。だが殺人事件は次の犠牲者を出してしまい、しかも現場に落ちていた凶器は博雪の守り刀で-。
紙問屋の息子・周吾との祝言を間近に控えたなつには秘密があった。「五年後の夏、紫陽花の前で再会しよう」生まれて初めてもらった恋文にはそう書かれてあった。なつが想いを寄せていた染色師の息子・喜三郎はその手紙を残して修行のために京都へ旅立って行った。親が決めた縁談相手に申し訳ないと思いながらもなつは約束の日、紫陽花の花の咲く寺へ向うのだが…。表題作他、少女の淡い恋、人の道にそれた激しい恋、昔日の恋などを描く書下ろし時代作品集。
教育現場に関する題材を中心に時に母としての顔も覗かせながら、忘れがたい小・中学校での教員生活の思い出を刻んだ短歌集。