浅草の映画館で、妊娠3か月の女性の死体が発見された。死因は青酸死。だが死体のまわりには、女の身許を明らかにするようなものはなにもなかった。事件の謎をとく鍵は、彼女が残した黒いハイヒールに!?複雑な男関係。都会で一人生きていくために少女から女へと変身しようとした彼女に何が起こったのか。人気最高潮の著者が放つサスペンス推理の傑作。オリジナル短編集(単行本未収録)
ビッグバン、分子誕生、そして生命の出現。バクテリアから高等植物へ、ゾウリムシからチンパンジー、類人猿から人間へ…生きとし生けるものの進化の壮大な旅は続く。進化の旅のロマンを美しい絵と共に読み解く。
江戸最大の別邸尾張藩下屋敷は戸山荘と称された。東海道を写す大庭園には四季を彩る花木やお花畑、流れる清流を溯れば水音を響かせる滝の飛沫が樹木を濡らし、所所に茶室が設けられ、池中の島には弁天堂が祀られるなど様々な趣向が凝らされていた。しかも、なぜか30数軒の町並みがあり、酒屋や薬屋・本屋などの店頭には本物の品々が並べられ、将軍たちも散策にたびたび訪れた。今、まったく姿を消した戸山荘の全像を復元・検証する。
男は長いことつき合っている女と二人だけで横浜に手作りのオルゴールを売る店を営んでいた。男には危い仕事をしてきた暗い過去があった。ある日、その仕事仲間の遺児が、男に企業の極秘書類を預けにきた。その日から、眠っていた男の血が騒ぎ出した。男は最後の仕事に命をかける。ハードボイルド長編。
自殺した同級生の葬儀に故郷秋田を訪れた作家がふりかえる自らの生の軌跡。友と聴いたクラシック、仲間と励んだ雪の中の野球…。万引事件や生家の破産を越えて胸に迫るのは懐しい思い出の数々。人生の終楽章を迎えて、自分を支えてくれた友人、父の愛、妻の献身に気づく。胸を打つ感動的な直木賞受賞作。
本書は、いま世界が抱えている重大問題を明快に解き明かし、21世紀への光明を与えてくれる本。
本書は論点にいささかの曖昧さ、不明な点がない。最近の歴史書にはめずらしく、プラトン、カントから始まり、ヘーゲル、マルクス、エンゲルス、ニーチェなどの大思想家たちをふまえ、重厚な歴史論を展開している。そして、われわれが今おかれている立場が歴史上でどのようなところにあるのか、またそこに生ずるこれからの問題は何かを実に明快に解き明かしている。
2020年代、惑星間空間における警察・保安機構として設置された航空宇宙軍は、地球からの自由を求めて勃発した第1次外惑星動乱を、圧倒的な力をもって鎮圧した。そして動乱終結から11年後、射手座方向から太陽系に急速接近して来る物体があった。SG(射手座重力波源)と呼ばれるこの飛来物を観測するため、航空宇宙軍は人類初の外宇宙観測艦ユリシーズを探査に向かわせたが…。ユリシーズ乗員が見たのは、汎銀河連合により滅亡の道を辿る人類の姿だった。航空宇宙軍史最大のクライマックスが始まる。
天を衝く摩天楼・地を這う砂漠の建築、アメリカ建築の意味するものは何かー。ライトからヴェンチューリ、ジョンソンにいたる、先進的アメリカ建築の多彩な展開を、アメリカン・ドリームの崩壊と、父性原理喪失の表象として捉え、精神分析学を援用しつつ検証する。全く新しいもう一つのアメリカ文化論。
『オズの魔法使い』を触媒にして時を越えて出会う孤独な人々の姿をファンタスティックに描く、書評子絶賛の話題作。
行動する物理学者が「原発は絶対必要」のウソを暴き、電力使用の実態を明らかにしつつ、多様な自然エネルギーの組み合わせによる脱原発社会への道を示す。
著名な銀行家ベルターの依頼は切実だった。最近、出生証明書が偽造されていたことが判明した、妻のポーラの過去を探ってくれというのだ。わたしは記録を調べ、ポーラが養子だったという衝撃の事実を突きとめた。が、彼女の育ての母親はまったく事情を語ろうとしない。やがてわたしの前に、埋もれていた過去の悲劇が浮かぶが…知性派探偵サムスンが、人々の記憶のなかから五十年前の殺人事件の真実をたぐりよせる第六作。
謎の重力波源は、回転するブラックホールの多重複合体と判明。だが、観測を続行するユリシーズは、重力波源との衝突の危機に陥る。それを救ったのは、作業体Kと呼ばれるサイボーグだった。未来におけるユリシーズの遭難を見たKは、過去に干渉して艦を救おうとする。やがてKはブラックホールに落ち、未来へと転生するが…。