童謡に一時代を画した作詩家の生涯の書。
孤児になったメアリは、ヨークシャーのムアに住む陰気で変わり者のおじさんの屋敷ひきとられた。その屋敷には十年間だれもはいならない花園があるという。ひとりぼっちのメアリは、いつしかその花園を見つけ、自分の手でよみがえらせたいと夢みるようになった。秘密で進められる花園さがし。自然児ディコンとの出会い…。つむじまがりでかわいげなく育った少女の心の成長を、ムアの美しい自然を背景に描いた名作。小学上級から。
宿業を背負って野に生まれた太郎坊は、修験者明蓮坊に助けられ京に出た。のち、吉野の奥山にいた師を追い、ともに磨崖仏を刻む。六角堂頂法寺の学恵に花僧への志を告げて新参僧となる。やがて立花の真髄をきわめ、法院となった。華道池坊を隆盛に導いた中興の祖専応の生涯を乱世の中に描く歴史長篇。
修練の果てに得た夢幻の美とわざ。名人・友枝喜久夫の能は、八十にして、なお、ういういしく、見る者に感動を与えずにはおかない。その魅惑の本質を吉越立雄と大倉舜二の写真を加えて、白洲正子が書き下すひさびさの能芸論。
時間が意識されるようになったのはいつごろか、相対論、量子論、宇宙論など現代物理学は時間をどうとらえているか、時間が後もどりしないのはなぜか、時間についてまだ解明されていない謎としてどんなものがあるか、そして時間とは何か?時間の不思議を説き明かす。
「闘え!だが殺すな!」天皇の厳しい命令を受けた猿飛佐助、霧隠才蔵、岩介たちの激闘ー。時代小説の鬼才が生を燃やし尽くした遺作。
自然のなかに神を見、神を敬い、共存してきた日本の先住民族アイヌ。荒地に追われ、言葉を奪われ、貧窮の暮らしを余儀なくされながらも民族の精神と文化を守り通したアイヌのシカッケマット(淑女)の半生が、豊富なイラスト、資料写真を交え綴られる。現代の人間のあり方も問う、心優しい告発の書。
「富士山はなぜそこにあるのか?」だれもそのことについて疑問をもたない。なぜなら昔からあるのだから。なぜそこに山があるのか?なぜそこに川があり、谷があるのか?私たちの、眼の前の風景、足元に隠された歴史。1万年・10万年、100万年の壮大なロマンがまだ眠っている。いまこうして歩く町並、車窓からみえる風景の中から、100万年スケールのシナリオを読んでみよう。
「女性に花を感じ、花に女性を感じる」美しきものを撮り続けて半世紀。秋山庄太郎の眼が捉えた生命の輝ける瞬間がここにある。
首相令嬢が身を包んだ夢の化学繊維「シャレード」の花嫁衣装が突如燃え上がった!二大繊維メーカーの攻防、女流デザイナーの火花を散らす戦いを背景に、キャサリンが謎に挑戦。(「燃えた花嫁」)。誘拐された女子大生・田中美子を奪還するためキャサリンの起死回生の奇策とは?大富豪・イングルマン夫人の遺産をめぐる息づまる攻防、逆転につぐ逆転、“誘拐物”の新境地。(「消えた相続人」)。