銀の美貌をもつ青年は、その第三の眼で男を見た。男は血に濡れた虎そのままに、死と硝煙の匂いの中に立っていた…。アフガンから欧州、そして氷の荒野へ、国家的謀略と欲望が渦を巻く中、青年は同じ傭兵として男の傍らにいることを選ぶ。それは彼の過去も精神も、肉体すらも贄として男に捧げる運命の序章であった…。初稿から10年、血と泥の中を這いずりながら己れの生き方を貫く人間たちを描いた花郎藤子の大作、ついに刊行。
画期的な外科手術で超天才に変貌していく青年チャーリイの恋と冒険、運命を描きだす感動のベストセラー『アルジャーノンに花束を』待望の戯曲版。
連綿と受け継がれてきた唐津くんちの全容を完全取材。勇壮な祭りの熱気と興奮、さらに祭りを支える人々のフォトドキュメント。
明治23年に9歳で北海道に入植したフキも、80歳近くになった。子、孫、曽孫たちも30人をこえ、それぞれの道を歩んでいる。昭和35年、新十津川村70周年祝賀会に、開拓功労者に選ばれたフキは、もんぺ姿で出席した。あらゆる困難をのりこえ、激動の時代をつねに前向きに生きぬいてきた女性の一代記、ここに完結。産経児童出版文化賞大賞、日本児童文学者協会賞、路傍の石文学賞。中学以上向。
自己と世界の両方向への変革の契機を孕む真の小説のあるべき姿を求め、古代から現代までの小説の歴史と変容を辿った魅力あふれる小説論。
ゴッホとゴーギャンの伝記を童話風にアレンジ。名画といっしょにたのしめる、初めての幼児向け画集・絵本です。幼児〜おとなまで。
性格や生き方にかかわる14のおもしろ熟語話。小学校中学年以上。
日本語の豊かさ、言語の可能性と面白さを縦横に発揮する機知にあふれた文体練習帳。
本書では、23グループのサボテンと39種の多肉植物を取り上げ、品種や生育環境から、水やり、用土、施肥などの栽培管理、植え替え、整形、繁殖などの作業テクニックまで、ヴィジュアルな構成で具体的に回答しました。
なぜ、広い世界に目を向けようとしないのか?-米国総領事ハリスの嘆きは、同時に井伊直弼の嘆きでもあった。もはや世界の趨勢を止めることはできない。徒らに攘夷を叫ぶことは、日本国自体を滅亡させることだった…。腹臣長野主膳、それに直弼の密偵として、また生涯を賭して愛を捧げたたか女を配し、維新前夜に生きた直弼の波瀾の生涯を描く、不朽の名作。
三十五万石彦根藩主の子ではあるが、十四番目の末子だった井伊直弼は、わが身を埋木に擬し、住まいも「埋木舎」と称していた。「政治嫌い」を標榜しつつも、一代の才子長野主膳との親交を通して、曇りのない目で時代を見据えていた。しかし、絶世の美女たか女との出会い、それに思いがけず井伊家を継ぎ、幕府の要職に就くや、直弼の運命は急転していった…。
300年の安定と繁栄を謳歌した江戸時代。このような社会がどうして可能だったのか。そしてそれは日本史上どのような意味をもつのか。近世思想史研究の第一人者が、自閉した近世史像を打ち破り、新しい日本史像へと迫る。
「ありとあらゆる遊びをするためには、人生はあまりにも短い。」これは、南博士が大好きな言葉だ。いや、べつに昔のえらい人の言った言葉ではない。南博士自身の言葉だ。さて、そんな南博士のいる大学にドアどろぼうがはいった。ムラタ青年は、犯人は透明人間だという。「エンヤコラ、ドッコイ」が口ぐせの、透明人間のドアどろぼう…。それは、あいつにちがいない。南博士は、走りだした-。小学上級以上向き。
突然の父の死により、北日本一帯を支配する木賊組のすべてが17歳になる烈の肩にのしかかる。跡目をめぐって組では内部抗争が起き、幹部の多くが狂刃に倒れる。重圧に潰されかかる烈の支えとなったのは、謎の多い若頭・黒羽周次の存在だった。ところが周次は組を追われかけ、同時に烈自身にも組員の卑劣な欲望の手がのびる。なすすべもなく蹂躙される烈の前に、ある決意を秘めて再び周次が現れたー。閉鎖された特殊な世界に生きる男たち。金を動かし、人を操り、より大きなもののために殉じていく。彼らの名を“極道”という…。