約束の人を待つ間に流れる時間と揺れる想い。足音をかき消す雨、水面に映るはかない月、色鮮やかな祭花…。『雨月物語』の「浅茅が宿」をモチーフに、誰かを待ち続ける女の姿を美しく幻想的なイメージでつむいだ、一九九三年『夜会』上演作品「花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に」完全版シナリオ。
泰淳夫人の色、詩人の色、秘密の色…『富士日記』『犬が星見た』『日日雑記』など秀れた文業を残した武田百合子の本当の色とは?鎮魂の思いを込めてその生涯を様々なアングルから探る傑作評伝。
「僕とセックスフレンドになろう」と、ワシントンへの留学から戻ってきていた同期生の木田博基に誘われた精神科医の小早川哲雄。恋人に去られ、にもかかわらず新しい恋に踏みだせずにいた哲雄は、深く考えることなくその誘いを了承する。しかし仕事を共にし、肉体を交わすことによって、ふたりの心は次第に近づき離れがたくなっていく…。病院を舞台に傷ついた男たちのロマンスが開幕。
劉備と同盟を結び、曹操との決戦に挑んだ孫権軍。だが、曹操が持久戦の構えを見せ、戦況は膠着状態に陥っていた。脱走兵や敵に寝返る兵が相次ぎ、東呉軍は次第に追いつめられていく。ついに周瑜は、脱走兵を装った決死隊を送り、一気に劣勢をくつがえす奇策をとった。だが、決死隊に選ばれた黄蓋には、以前から曹操軍の間諜が接触していた…。
自然美のあくなき追求は、草本でありながら風雪に耐えた老大樹の風格に仕立てる「小菊盆栽」や「懸崖」、「木付け」、「造形」など、小菊の生命力と美を最大限に引き出す芸道となって受け継がれています。また大菊を、摘芯を繰り返し直径四m以上の輪棚に二千輪以上の花を咲かせる「千輪」は、追随を許さぬ世界に誇る技術です。本書では、これらの様々な仕立て方を組み合わせて自然美の景を創る「総合花壇」を加え、いままで一般には未公開であった奥技を余すところなく収録しました。