名画の作者であり、飛行機械や自動で走る車などを構想した発明家・科学者として知られるレオナルド・ダ・ヴィンチは、後世の人々に「偉大な芸術家」や「万能の天才」と呼びならわされ、なかば崇拝とも言えるほどに神格化されてきた。しかし近年の研究によって、その人物像は「先人の知恵の集積」という大きな流れの中に正しく位置づけられつつある。芸術・科学・哲学といった多岐にわたる活動を統合した「生きた人格」として、レオナルドは今なお評価を更新され続けているのである。レオナルド研究の重鎮と俊英による著書をひと組にまとめた本書は、従来のレオナルド像を刷新し、手稿の丹念な読解によってはじめて可能になる、人間としての新しいレオナルド像を提示する。
ページをめくるごとに、パリのエスプリを感じる、古代から現代にいたるパリの芸術文化がつまった1冊。ルテティア(パリの古名)の時代から現在のパリ都市圏まで、2000年に及ぶ建築の歴史を含む、フランス芸術とも言い換えられるその膨大な総量から、本書では、拡大した現在のパリ都市圏の中で制作された作品に対象を絞った。
芸術・アートと哲学とを根元からとらえなおすコンセプト・アートを開く可能性を、吉本思想を零規準にして、著者は3.11以降格闘し探究して来た、その固有の体系化へのエチュードである。
「漢字」の成り立ちを通して中国の歴史と文化をかいま見る!!身近な約335字を取り上げて、成り立ちから解釈まで丁寧に解説。漢字に関わる図版を約300点掲載。中国の古今の文物と習俗に通じている翻訳者によるわかりやすい注釈つき。
豪華絢爛、絶対王政の絶頂期、大世紀。“太陽王”のイメージは、戦争によっていかに創りだされたのか?わが国で初めて明らかにされる、その創造の秘密とメディアの力。貴重な図版など約160点収録。
時に挑み、時に触れるーアメリカ人の母と日本人の父のあいだに生まれ、第2次世界大戦をはさんで東西を往来しつづけた20世紀の世界的彫刻家。周囲の人々の新たな証言とともに資料を駆使して波瀾万丈の生涯をたどりつつ、変幻自在な彫刻群のみならずランドスケープ、庭園、パブリックアート、舞台装置、家具・照明など多ジャンルにわたる作品の誕生を克明に解き明かしたノグチ伝の決定版。図版多数収録。
絵画、彫刻、文学、建築などの作品においても、理論や批評の言説においても、多面的かつ国際的な拡がりをもつキュビスム。「幾何学」的表現の誕生・深化から、二度の世界大戦を経て、歴史的評価の確立へと至る曲折に満ちた展開を、美術と“現実”との関係を軸に描ききる。
アートと地域のコラボレーション。アートプロジェクトの変遷を見渡し、表現と交流が循環する可能性を探る。
偉大なクラリネット奏者、クレッカーが見いだした秘曲の数々
2016年は偉大なクラリネット奏者、ディーター・クレッカーの生誕80年にあたります。彼はドイツのクラリネット奏者、音楽学者であり、また、1969年代に18〜19世紀の様々な管楽器作品を復活させるため、一流オーケストラの首席奏者や音楽大学の教授たちによる「コンソルティウム・クラシクム」を設立したことで知られています。モーツァルト時代の知られざる作曲家たちの数多くの作品を発掘し、これらを演奏することで新たなレパートリーを開拓してきました。
彼の作品の集大成は、2012年に7枚組のBOXとして発売されましたが、今回も彼の芸術を更に深く知るための4枚組です。情熱的なシューベルトの『軍隊行進曲』を含む、古典派からロマン派までの様々な秘曲が収録されています。(輸入元情報)
【収録情報】
Disc1
● ヴァーゲンザイル:小組曲
● アルブレヒツベルガー:八重奏曲(パルティータ第2番)
● ルドルフ・オーストリア大公:七重奏曲
● シューベルト:軍隊行進曲 第1番
Disc2
● ミスリヴェチェク:コンチェルティーノ
● ボニファッチオ・アジオーリ:六重奏曲
● フリードリヒ・ヴィルヘルム・グルント:五重奏曲 Op.8
Disc3
● マイアベーア:五重奏曲
● ルイーズ・ファランク:九重奏曲
● ユリウス・レントヘン:セレナーデ Op.14
Disc4
● ブルッフ:七重奏曲
● ハインリヒ・フォン・ヘルツォーゲンベルク:五重奏曲 Op.43
ディーター・クレッカー(指揮、クラリネット)
コンソルティウム・クラシクム
ケルン室内管弦楽団
ヘルムート・ミュラー=ブリュール(指揮)
録音:1969-1993年(ステレオ)
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「シェッファー四重奏団」の芸術(15CD)
室内楽マニアにはよく知られる「シェッファー四重奏団」は、クルト・シェッファーにより結成されたドイツの弦楽四重奏団。シェッファーはギュンター・ヴァントの友人で、ヴァントのもとでモーツァルテウム管弦楽団やギュルツェニヒ管弦楽団のコンサートマスターを務めた人物でもあり、その縁から、ヴァントと関係の深かったフランスの会員制通販レーベル「クラブ・フランセ・デュ・ディスク」でレコーディングを実施、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲やモーツァルト、シューベルトなどの見事なアルバムを制作していました。
「クラブ・フランセ」でのレコーディングに携わっていたのは初代メンバーで、上の画像、左から、クルト・シェッファー(第1ヴァイオリン)、フランツヨーゼフ・マイヤー(第2ヴァイオリン)、フランツ・バイヤー(ヴィオラ)、クルト・ヘルツブルッフ(チェロ)の4名となっています。
今回登場するセットは、その「クラブ・フランセ」録音を集めたものですが、ARS NOVAからはすでに、パスカル四重奏団、シュナイダー四重奏団、ハリウッド弦楽四重奏団、ブダペスト弦楽四重奏団、伝説のフランス弦楽四重奏団、グリラー弦楽四重奏団というマニアックなカルテット・ボックスがリリース済みで内容も良かっただけに、今回のセットにも期待が持てるところです。
クラブ・フランセ
フランスのレーベル「ル・クラブ・フランセ・デュ・ディスク」は、フランスの会員制通販出版社「ル・クラブ・フランセ・デュ・リーヴル」が1953年に興したレコード部門。
第2次大戦後、国土が戦場となって荒廃していたヨーロッパ諸国では、書店や出版社も大きな打撃を受けており、そうした状況の中、会員制で在庫リスクが少なく、販売諸経費の抑制も容易な書籍通販事業者の勢力が拡大。「ル・クラブ・フランセ・デュ・リーヴル」はそうした事業者の中で最も成功したものでした。
同社は、1930年代なかばにドイツからパリに移住してきたユダヤ系ドイツ人のパウル・シュタイン(1943年にジャン=ポール・ロピタールと改名)によって1946年にパリで創業。順調に会員数を伸ばした同社は、1953年、まだ高価ながらも世に広まりつつあったLPレコードの分野にも進出。クラシックとジャズを中心に制作をおこない、豊富な会員を対象とした予約システムを背景に、たとえばヴァントの『英雄』は3か月ほどで1万6千枚以上を売り上げるなど、新参ながら販売力のあるレーベルとして、音楽好きへの知名度も向上して行きます。
しかし、1968年にロピタール社長は、百科事典の仕事に経営資源を集中するため、レコード部門の活動停止を決定、ほどなくクラブ・フランセのプロデューサーも務めていたフィリップ・トーマスの経営するレコード会社「ミュジディスク」に全音源が売却されることとなり、ヴァントとの関係も終了。
「シェッファー四重奏団」のクラブ・フランセへのレコーディングは、1956年から1959年にかけて、パリのスコラ・カントルムでおこなわれていました。
「シェッファー四重奏団」
1945年に、シェッファー、マイヤー、バイヤー、ヘルツブルッフのメンバー構成で「ギュルツェニヒ四重奏団」の名前で活動を開始したシェッファー率いるカルテットは、1948年に「シェッファー四重奏団」と改名。
初代メンバーは、それぞれのちに有名になる実力派揃いで、全員が「コレギウム・アウレウム」や「カペラ・コロニエンシス」といった黎明期の古楽系団体でも活動しており、16〜18世紀の作品を集めた「初期弦楽四重奏曲集」という3枚組LPを制作してもいました(米VOXレーベル)。
しかし1960年には、シェッファー以外は「フィルハーモニア・フンガリカ」の面々と交代し、どちらかというと20世紀作品にシフトした活動傾向になるので、1960年以降は、名前は同じでも別団体と考えた方が良さそうです。
今回登場するセットは、すべて「クラブ・フランセ」の音源で、「録
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恩地孝四郎生誕100年記念出版。
新内、超アングラ芝居、浪曲、白人ジャズ、国際艶歌、支那趣味、大道芸にトコトンつき合った「平民芸術」の総集篇。
オザワを育てた、というよりオザワによって有名になったとさえ一般的にはいえるヒト、齋藤秀雄の演奏が集成された。にっぽん放送が番組収録したもののテープが主のためモノが多いが、丁寧なつくりのブックレットとあいまって貴重な資料がリリースされた。
今まで本や人の話でしか知らなかった齋藤秀雄像が、実像となって迫ってくる。張り詰めた緊張の中にも、歌心を失わない演奏。さらに特典盤では、練習風景やインタビューから、彼の人間像がくっきりと浮き上がる。私自身の自己反省も含めて、感動した。