“芸術家小説”とは何か。その元祖、また典型と言われるドイツ・ロマン派の作家ルートヴィヒ・ティーク『フランツ・シュテルンバルトの遍歴』の分析を通じて、「埋もれた作家」ティークとその作品の重要性を明らかにする。ヨーロッパにおける芸術・芸術家と文学の関係を巡る清新な新研究。
マネや印象派の画家たちを逸早く評価した、19世紀後半の文豪ゾラの美術批評は、当時のフランス美術社会を縛っていた体制(アカデミー)への批判であった。“芸術社会学”の視点から初めて考察する、ゾラの美術批評の世界。
20世紀初頭-絵画の模倣から独自性へと、写真家が模索し、苦悶した足跡。写真か絵画か!ピクトリアリズム、芸術写真の名作全公開!
ウィンナ・ワルツの極め付けのBOXセット。最初期のランナーからシュトルツ自身の曲まで、ウィンナ・ワルツの全容が一望できる。これ以上のものは今後も出てこないかもしれない。
約半世紀前にアメリカのカーティス音楽院で学び、日本人で初めてRCAと契約した国際的ヴァイオリニスト江藤俊哉の残した録音がまとめてCD化された。全盛期の江藤の凄さを知るCD4枚組。
ロベール・カサドシュの芸術(30CD)
フランスのピアニスト、ロベール・カサドシュの音源を集めた英スクリベンダムのボックスが、セルとのモーツァルト第23番を追加した形で再登場。かつてフランスSONYからリリースされ、日本でも人気を博してた音源のコレクション。
シューリヒト指揮フランス国立放送管弦楽団とのブラームスのピアノ協奏曲第2番のほか、世評高いモーツァルト、ラヴェル、ドビュッシー、ベートーヴェン、サン=サーンスから、バッハ、フォーレ、フランク、ヴェーバー、ショパン、ラモー、スカルラッティ、そして自作に至るまで数多くの音源を収めた内容は充実したものとなっています。
ピアニストとしてのキャリアは50年に及び、世界各地で演奏会を3,000回以上開催し、レコーディングも多数実施、あいだを縫うかのように熱心に作曲もおこなって、7つの交響曲、3つのピアノ協奏曲、数多くの室内楽曲など69作品を遺し、さらに教育活動にも熱心に取り組んで、モニク・アース[1909-1987]や、クロード・エルフェ[1922-2004]、チャールズ・ローゼン[1927-2012]、息子のジャン・カサドシュ[1927-1972]らを育てています。
なお、Casadesusという姓はスペインの人名で、一般的なフランス語読みでは「カザドシュ」となりますが、本人は最初のSは濁らせず、最後のSも無音にしないというスペイン語風な要素を取り入れた形で「カサドシュス」という読み方を希望していましたが、ここでは日本で普及している「カサドシュ」としておきます。
【カサドシュ一族】
音楽家ファミリーとしてのカサドシュ家の歴史は、スペイン帝国からフランス帝国に移住してきたカタルーニャ人の祖父ルイス・カサデスス[1850-1919]によって始まります。
カタルーニャのフィゲラスに生まれたルイスは、ヴァイオリン、ギター、マンドリンを演奏する音楽好きでしたが、小規模な内戦が頻発するカタルーニャに見切りをつけ、フランスに移住する道を選択。
ルイスはパリで、タイポグラファー、会計士、家具職人などとして働き、フランス人女性のマティルド・セネシャル[1850-1907]と結婚、13人の子供をもうけています。まだまだ乳幼児死亡率の高かった時代ですが、13人のうち10人が成人、8人が音楽家になるという家庭環境でした。
子供が増えると、ルイスは趣味と実益を兼ねて、夜間にカフェ・コンセール楽団の指揮者を務めるようになり、また、すべての子供たちに音楽教育を受けさせてもいました。
音楽家になった8人の兄弟と、彼らの子供世代(ロベールなど)、その子供世代(ジャン=クロード)、さらにその子供世代などという具合に約40名ほども連なって、クープラン・ファミリー以来となる大きな音楽家・劇場人一族を形成。下記は、最初の10名の兄弟と、その子供世代&孫世代&曾孫世代の主な人物となります。
■「フランシス」・ルイ[1870-1954]:指揮、作曲
■リュシアン・ルイ・オーギュスト[1872-?]
■「ロゼット(ローズ)」・アリーヌ・ポリーヌ[1873-1944]:ピアノ
■アメリア・ルイーズ・マティルド[1874-?]
■ロベール・ガブリエル・ギヨーム[1878-1940]:ピアノ、歌手、作曲、俳優
■アンリ・ギュスターヴ[1879-1947]:ヴァイオリン、指揮、作曲
■マルセル・ルイ・リュシアン[1882-1914]:チェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ
■「セシール」・ルシー・ジョゼフィーヌ[1884-1962]:ピアノ
■「レジーナ」・ジュリア・ルシール[1886-1961]:チェンバロ、作曲
■「マリユス」・ロベール・マックス[1892-1981]:ヴァイオリン、作曲
ー■ロベール[1899-1972]:ピアノ、作曲(ロベール・ガブリエル・ギヨームの子)
ー■ガビー[1901-1999]:ピアノ(ロベールの妻、ガブルエル・ロテ)
ー■カトリーヌ[1902-1985]:ヴァイオリン、作曲(アンリの子)
ー■ジャクリーヌ[1903-1976]:歌手、女優(アンリの子)
ー■ラファエル[1911-1986]:俳優(レジーヌの子)
ー■クリスチャン[1912-2014]:俳優、舞台監督(アンリの子)
ー■クロード[1913-1997]:チェロ(マルセルの子)
ー■ジゼル[1914-2017]:女優(アンリの子)
ー■マティルド[1921-1965]:女優(マリユスの子)
ー■ベルナール[1923-1994]:歌手、音楽学、詩人(アンリの子)
ーー■ジャン[1927-1972]:ピアノ(ロベールの子)
ーー■ジャン=クロード[1935- ]:指揮(ジゼルの子)
ーーー■カロリーヌ[1962- ]:歌手(ジャン=クロードの子)
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パリ近郊の風景のなかでうまれた日本画。「舞妓の麦僊」として知られた才能の開花を追う。天賦の画才と師の下での修行、さらに西洋絵画から学ぶために渡欧そして創作意欲をかき立てる美しい娘との出会いへ。仏文学者が往復書簡から書き下ろした麦僊画論の真髄。
地域的アイデンティティと独創性の相剋。フィジーの若い画家達の葛藤と創作の日々を人類学者が克明に綴る。絵画がうまれる場に立ちあえる本。収録図表約130点。
テルデック時代のモーツァルトの録音をCD7枚にまとめたBOX。いずれもアーノンクールらしい刺激に満ちた演奏で、中でも声楽曲は高い評価を得ていた。またピアノ作品ではグルダとコリアの共演が話題を呼んだ。
文化・文政という江戸文化成熟期に生きた粋人たちと、儒者であり詩文・書・画に長じた文人亀田鵬斎との交遊をめぐり、「粋」の遊境にあそぶ。大田南畝(蜀山人)、谷文晃、酒井抱一、大窪詩仏…、江戸のよき時代を生きた人々の風景を散歩する。
ヨーロッパ各地に、今も100年前の姿をそのままとどめる名邸を、外観からドアノブまで徹底撮影。アール・ヌーヴォー芸術の神髄を立体的に描き出す傑作写真集。