傑出した清朝文人の大胆な創造と高潔な思想。
いま失われつつある、アジアの手造りの多彩な造形を結集した好評シリーズ第3弾、完結編。書物・玩具・楽器などをオールカラーで紹介。最終の本巻では、目に見えない伝承を具体的に見せる造形活動の豊かさが、「学び」「遊び」「芸能」のなかに共通していることを“もの”で例証した。
モラルコードを持つ贋作者VS.権威ある(欲ばりの)専門家・画商。コロー、マネ、ティエーポロ、ブリューゲル…。彼がルーヴル、メトロポリタン、大英博物館に送り込んだ“名画”はホンモノかニセモノか。少年院を出てロイヤルアカデミー留学生、それから世界の美術市場を震撼した贋作者となった男の愉快な回顧と芸術論議。
マラルメの「ことばとイマージュ」が紡ぎだす創造的拡がりと芸術家群像。近代から現代へ、文学と美術と音楽の交歓。日本文化をも含む総合的地平で捉えたダイナミックな比較芸術論。
1933年5月、アドルフ・ヒトラーは、一世代のすべての文学者をドイツ国民の記憶から抹殺した。地位と名声のあるほとんどすべてのドイツ語圏の作家の本が、「退廃芸術」であるとして火葬されたのだ。この文学者たちへの弾圧は、単にその著書を火の中に投げ入れただけでなく、文学者自身をも逮捕・拘禁し収容所へ送るという過酷なものだった。ある者は獄中死し、ある者は亡命し、またある者は自殺した。この焚書の結果、今日にいたるまで1920年代の表現主義の作品は、ドイツでもかなり忘れ去られたままとなった。そして、戦後ドイツが東西に分裂したことが、文学者たちの運命をさらに複雑なものにした。なかには社会主義者として東側で生き延びた者もいた。その一方で、亡命したソ連でまたも粛清された者もいた。その作品の発表の機会が失なわれたまま、貧困のうちに西側で亡くなった者もいた。このナチスのもとで粛清された文学者たちのリストは数百人にのぼるが、本書は、戦後のドイツでも忘れられた存在だった「焚かれた詩人たち」三十数名の人生と作品を紹介する。
「大人の童話」を、作品の「画材と技法」その組合せを手掛かりに読み解いていく、新しいクレー論の試み。クレーの制作過程を具体例にした「絵画技法書」でもある。
海と空をつなぐ竜巻の驚異、夢幻の世界へと誘う蜃気楼、凍てつき牙をむく波涛…多彩な表情を見せる富山の海に生き、30年を費やして海のロマンを余すところなく撮り切った、渾身の写真集。
非西欧文化圏への衝撃ー近代化=世界的な西欧化のうねり。急速に変容しつつも固有性を失わない伝統的な文化のあり方を具体例に即して論じ、普遍的な美意識や社会構造の存在を示唆する。
旺盛な活動を行なった文人にして、魯迅の実弟。ナショナリストにして“漢奸”。「生を求める意志」を持ち悩み苦しむ現世的な人間=頽廃派をキーワードに、近現代の日中文化をつなぐ要注意人物、周作人の思想に迫る。
日仏修好通商条約締結150年を記念して、両国の著名研究者が会した国際シンポジウムを採録。19世紀半ば以来の多彩な人的交流や美術・工芸品の伝播を再検討し、そこに生まれた芸術の豊かな実りを俯瞰する。
小津安二郎を芸術家と捉え、その認識の深まり、哲学的認識の成長を追う。これまでの評論と一線を画す小津論。
ブラジル芸術を語る上で欠くことのできない日系人画家の存在。移民から百余年、日本ではあまり知られていない彼らの生と創造の有り様を、ブラジルという土壌に通底する「食人主義」概念ー他者を食らうーに照らして辿る。日系コミュニティ内にとどまらず、ブラジル近代芸術の潮流をコンテクストに据えた、かつてない論考。オズワルド・デ・アンドラーデ『食人宣言』全文初訳掲載。
日本の現代美術を怜悧な美学者が「表層」という視点から抉る。現代美術の新しい視点!