昼間の間だけ、老人を預かる新商売「託老所」とは。こみあげる可笑しさと、人生の恐さが交錯する傑作。日本推理作家協会賞受賞作。
おだやかに波のうちよせる入江の砂浜で、若い女の白骨死体が発見されたが、その胴回りは人間とは思えないほど細くくびれていた。アトリエで異常な性技に耽る画家の奇怪な告白「白昼艶夢」をはじめ、新興宗教内部の凄絶な心理闘争を描いて、新人コンクール第一席に輝いた傑作「巫女」、特異な題材で江戸川乱歩をうならせたデビュー作「くびられた隠者」等、幻の異色作家・朝山蜻一の傑作、代表作を網羅したふしぎ小説の決定版。処女作品集「白昼艶夢」を完全収録、単行本未収録作品5篇を含む全16篇。
賢治思想の宝庫。羅須地人協会時代の講義用草稿「農民芸術概論」をはじめ、手帳・ノート・メモ等、賢治の思想的営為を集成。
本書は、そのほとんどがこれまで発表されたことのない、300枚をこえる貴重な写真と、ロブスンの演説やノートからの抜すい、さらに簡潔で要を得た孫娘スーザンの解説から構成された、写真によるポール・ロブスン伝である。
出産をひかえた妻が、傷だらけで帰ってきた。心配するわたしに、妻は平気だといいはるが…。驚愕のスプラッター小説「怪我」、ようやく探りあてた妻の浮気相手は自分自身だった。ドッペルゲンガーに出会った男の生活「寝ぐせの男」、ふと思いたって久しぶりに訪ねた友人のマンションで見たものは。「元気でやってるかな」など、短篇の名手・中井紀夫が趣向をこらして描く奇妙な世界。オール新作でおくる、ふしぎ文学館・現代恐怖小説シリーズ第一弾。
借金で首が回らなくなった人たちの耳元に、悪魔が囁きかける…。某一流企業の課長だった坂本勝の場合、バブルの崩壊によって多額の借金を抱え、ほとんど破産寸前の状態であった。なにもかも失い、身動きがとれなくなった坂本の前に、ある日悪魔が現れた。彼らのいう通りにすれば、借金を完済して、おつりがくるというのである。保険システムの盲点を突いた完全犯罪とも思える巧妙きわまる詐欺事件に、はたして突破口はあるのか。腕利き保険調査員・小野智彦と、恐るべき頭脳集団との壮絶な知恵くらべの決着は。
ルネッサンスより800年前の奈良・天平時代に、ミケランジェロ級の大彫刻家がいた。七世紀の日本は、紀元前五世紀のギリシア、十六世紀のイタリアと並ぶ、世界的な美術の黄金時代だった。その天才群の中で、ひときわ輝く、「奈良の大仏」を作った公麻呂…。今まで、だれも問題にしなかった、天平時代の名作の作者を推理・特定し、西洋のミケランジェロなどと同じ水準の評価を、世に問う。江戸時代の『万葉集』再評価に匹敵する、世紀の野心作。
詩・小説・評論・絵画・映画・演劇・バレエージャンルを越え、時代を刺激する表現者ジャン・コクトー。特定の運動に与することなく幻視を追求した芸術家の足跡を辿る。
人の心の温かさ、優しさ。強さ、脆さ。人間っていいもんだなぁとしみじみ思う、感動の体験手記集。
あの金田一耕助が帰ってきた!本書には、名作「貸しボート十三号」の他、シリーズ後期の傑作「迷路荘の惨劇」の短篇版「迷路荘の怪人」等、全8篇を収録。
名探偵・金田一耕助の事件簿!本書には、傑作「ハートのクイン」をはじめ、「悪魔の降誕祭」「魔女の暦」等、読みごたえの百枚読切りを中心に、全7篇を収録。
この宇宙の物語は真実なのか、それともフィクションなのか…。火星文明の崩壊、砕け散った惑星マルデクを含めた太陽系の失われた歴史が、宇宙の知られざる歴史とともに今、私たちに語られる。
星影龍三は丸の内にオフィスを構える貿易商だが、推理力・洞察力に優れ、素人探偵として幾つもの事件を解決してきた。今日も彼は、愛用のパイプ・ヴァージン・ブライアを片手に、田所警部の持ち込んでくる数々の難事件に、明察神のごとき推理を披露するのである!『青い密室』は、犯人当ての傑作「薔薇荘殺人事件」をはじめ、「悪魔はここに」、「朱の絶筆」等、読者への挑戦を挾んだ遊戯性豊かな作品を中心に構成!他に、雪の上の足跡トリックに新機軸を打ち出した「白い密室」等、謎解きミステリの楽しさを満喫させる全8篇。
初登場時には女学生だった仁木悦子も、結婚して浅田悦子と名前が変わり、今では二児の母親となっている。しかし、持ち前の好奇心はまったく衰えておらず、子供達の協力を得て様々な事件に挑むのである。本書には、浅田悦子探偵譚を中心に、久々の兄妹共演作品「虹の立つ村」、後期の傑作「青い香炉」を含む全8篇を収録!巻末には付録として単行本未収録の犯人当て「月夜の時計」を特別収録、さらに貴重なエッセイと著作リストを加えて、仁木ミステリの魅力を余すところなく伝える、ファン必携の愛蔵版。