旅が現在ほど容易ではなかった時代、また一生海を見ないことが珍しくなかった時代、音楽家、作家、画家たちは、この果てしなく海の広がる「水の都」でどんなインスピレーションを授かり、光輝く「南の国」はいかなる影響を彼らに与えたのか?貴族の庇護、ゴンドラの死のイメージ、陽気な祭の即興、迷路を思わせる運河と路地…。モーツァルト、ゲーテ、ワーグナー、そしてヴェネーツィア出身のヴィヴァルディら八人の人生と芸術を辿りつつ、この街の魅力を描く。
知らず知らずのうちに刷り込まれている「常識」。だけどその中にはいくつもの「ウソ」が含まれている。自慢気に話していると間違っていると指摘され、恥をかくことに。新常識を身につけるための1冊。
いま若者を中心に静かに、しかし熱い支持を得ているカポエイラ。その魅力のすべてを明らかにする。
私たちの生活のなかで、芸術、文化、スポーツ、観光など、文化的活動の役割はますます重要になりつつある。これら文化的活動の特徴を明らかにし、これからの社会にふさわしい「人間生活の改良の道具」をめざすのが文化経済学である。本書では、文化的価値や文化資本の概念など、文化経済学のもつ、経済学の他の分野にはない特徴を明らかにしながら、文化の経済的側面にみられる様々な性質を解説する。そして、それらの成果をベースにして、現実世界の多様な文化現象に分析のメスを入れ、文化にかかわる公共政策の必要性を提起するとともに、文化経済学の進むべき道を展望する。
34年ぶり。ついに期間限定で帰ってきたフォークルだが、はしだのりひこがいない。あの震えた声もフォークルでは重要なポイントだった。しかし、この作品はいい。ノスタルジックでノスタルジックでない。(6)の加藤、こんなにギターが上手かったのか!
「伊福部昭のSF交響ファンタジーか、どれどれ」とCDをスタートさせたら、鳴り出したのはバリバリのトロンボーンによる「ゴジラ」。その後も出るわ出るわ、キングギドラやキングコング。つまるところは、伊福部映画音楽メドレー。イキのいい演奏が楽しい。
人類に発生した「心」の起源に迫る野生のサイエンス。人文諸学の再構築を目的とした芸術と人類学の創造的な融合。前人未到の表現空間が今、ここに拓かれる。
櫟健介と妻・知子、息子の究介の一家が住むアパートの大家が殺された。完璧な密室だった現場、遺産相続問題、それぞれ動機を持つ住人たち。櫟ファミリーがたどり着いた意外な犯人の姿とは!?生活感溢れる描写と二転三転する展開が魅力の長篇「二つの陰画」、さらに同シリーズの短篇2作、作品ノート、単行本未収録のボーナストラックも収録。仁木悦子ならではのアットフォームな世界を堪能できる、名探偵コレクション第2弾。
本書のいちばんの特徴は、ワイルダーの映画人としてのキャリアが作品ごとにまとめられていることである。これは他書に類を見ない構成で、読者に対してー映画ファンに対して非常に親切だ。あの映画の製作の陰には、こんな苦労話があったのか。この映画のスタッフやキャストは、こんなことを考えていたのか。そういうエピソードがわかれば、彼の映画を鑑賞するうえで非常に役に立つ。第二の特徴は、ワイルダーの言葉をそのまま載せていることである。一九七〇年代のなかばにワイルダーと知り合ったチャンドラーは、二〇〇二年にワイルダーが九十五歳で亡くなるまで三十年近くにわたり、折に触れてインタビューをつづけてきた。そして録音魔のチャンドラーは、彼の肉声を残らず記録し、忠実に再現した。第三の特徴は、インタビューの対象者が本人だけでなく、じつに多いことである。チャンドラーは本書のために数々の人々にインタビューし、彼らの言葉を通じてワイルダーの人柄を浮き彫りにした。
芸術とは論じるものでなく、行なうものだ。この持論に基づき、六〇年代のネオダダ、千円札事件から八〇年代の超芸術トマソン、路上観察へ。絶えず人々を挑発し続けてきた著者が、ついに到達した侘び寂の境地にて最も根源的に「芸術」を再定義する試み。既成概念に風穴を開ける、赤瀬川流脱芸術の原点を示す名エッセー。
失踪した矢竹謙吾が砂村宛に送った英文書。一見ただの商用文だが、そこには驚くべき意図が…英文謎解きが見ものの傑作長篇「青じろい季節」と、その後結婚した砂村夫妻を主人公にした短篇「縞模様のある手紙」。さらに、驚愕の結末が待ちうける文庫本未収録作「一本のマッチを擦る時」、著者の夫・二日市安氏の特別寄稿、著者の大ファンで翻訳家でもある仁木めぐみ氏の解説も収録。
当時、中堅として確固とした地位を築いていた3人による録音。N.ルビンシュテインの追悼の意を込めた作品を、華やかさと切々とした歌とをあわせ持って、まことにスケール大きくまとめている。
広すぎる、多すぎる、くたびれるーたしかにその通り でもだからといってモナ・リザ見物だけではあまりに悲しい 定番コースとはひと味ちがう、美の迷宮の秘密の急所を教えます。
「分かりやすい」「楽しく学べる」に力点をおいた、まったく新しいタイプの病理学テキスト。看護師として知っておくべき知識を分かりやすく解説。簡潔な文章、豊富なカラー写真とイラスト、ふんだんに散りばめられたコラムが、臨床医学の「なぜ?」を解決してくれる。
カリスマ女性画家、フリーダ・カーロの壮絶人生を辿っていくアート・ドキュメンタリー。人生の苦しみを芸術として表現した彼女の絵画作品を紹介しつつ、関係者や研究者の証言、プライベート映像からその足跡を追う。
本書では、日本大学芸術学部という特殊な教育・研究機関をさまざまな角度から検証していく。少子化の影響で、全国各地の大学を取り巻く環境が厳しくなっている現在、日芸という存在は教育界に何を問いかけるのだろうか?同時に、二一世紀を迎えた日本に何を問いかけるのだろうか?「ニチゲー」とはいったい何なのだろうか?それらを明らかにしていくのが、本書の目的である。
新しい乳児保育の本ができました。この本は、私たちの乳児保育の天地創造に当たる当時のハンガリー乳児保育方法論研究所のはじまりから説きおこして、著者たちの仕事の今日を解いているばかりではなく、今日を越えて未来をも示しているとも言えます。
2006年夏。再生を果たした『明日の神話』。メキシコの地で原爆をテーマに描かれたこの作品には、まぎれもなく岡本太郎からの強力なメッセージが込められている。彼はいったい何を叫んでいるのか。修復完成以前から『明日の神話』と向き合い、その再生を見守ってきた者たちは、誰ひとりとして、この作品を単なる反戦のメッセージとは受け取らなかった。彼らは何を感じ、何を思ったのだろうか。岡本太郎「明日の神話」修復960日間の記録。