フルートにとってロマン派の時代は“不作の時代”なんて言われているが、たしかに技巧に走りすぎたキライはあるものの、こうした名手によって演奏されると生命が宿る。ロマン派はフルートに輝きを与えたのだった。その主旨とは別に、アルゲリッチとの共演は聴きもの。
日本列島津々浦々、南から北へ、隈なく櫻を追って愛機が走る。明るい櫻、元気な櫻、暗い櫻、妖艶な櫻…名木と謳われる全国の一本櫻から百本を厳選。風景写真の第一人者竹内敏信の心眼は日本人の魂の櫻を、さまざまな表情で余すところなくとらえている。一人一冊、日本人の心にふれる必携の現代櫻絵巻。
ランパルに次いでフルートの黄金時代を築いたゴールウェイの偉業を8巻15枚のディスクで俯瞰するシリーズのvol.1。ケルティックの笛の音が、カラヤン時代のベルリンの首席奏者、類稀なきソリストとしての経歴まで一貫する、稀代の音楽家の快演を堪能。
ひさびさのゴジラもの(91年)と東映アニメの名作(63年)が並んでも実に調和がとれていて奥深い展開が連関しているのはさすがというほかない。どちらも2003年晩夏の録音。情景全体、空の動きと人や動物の脈動さえも描き出されている。偉大なる音楽家ゆえの作。
「復活」は録音時の歪みがわずかにあるとは言え、オーケストラをこれだけきちんと磨き上げ、豊麗に鳴らしたオーマンディの手腕にはあらためて感服した次第。前半のブラームス、ワーグナーとも同様に瑞々しく新鮮な響きに浸ることができる。ヴァーレットの独唱も良い。
最高の音で楽しむために!
都会の中にビオトープを創りたいという望みは、新しい庭園を生み出すという最終目標を掲げることでもあります。ホタルが飛ぶことで最大の難関はクリアし、せせらぎに雑魚(川の小魚たち)が遊ぶようになって、ほぼ骨格は出来あがりました。維持管理で重要な議論の一つは、雑草をどうするかということでした。雑草は除去するのが従来の庭園技術ですが、ビオトープという考え方からすると自然に委ねるべきものです。せせらぎを中心とした渓谷のような自然を生み出そうとするとき、雑草はどうするのか話はまとまりません。このような議論と実践の中で少しずつビオトープ庭園の姿が出来上がってきて、まとめたのが本書です。
ルートヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエについて、今日彼の功績について語るとき、30年前にしたのと同じ判断を下すことはないだろう。特に、彼がもっとも合理的な合理主義者で、正当建築手法の「最も正統な」尊師である、という考えだ。そのかわり、我々には彼のことを、もっとも詩趣ある一人、そして確かにもっとも影響力あった一人と認められよう。かくして、彼は芸術と芸術史の両方に重要となるのだ。さらに、たとえ我々にとって、彼が自己の建築と同一化した道徳的かつ哲学的訓令にもはや説かれるものではないにせよ、彼がそれを表したのは思想においてであることと、作品に具現するさいに用いた彼の強さと献身ぶりとによって、我々はモダニズムという事象を理解でき、その緊急切迫していたことに共感しうるのである。こうした考えに基づき、日本の読者諸氏に対し、20世紀西洋文明におけるもっとも忘れ難い創造個性の一人のポートレートを、本書は紹介する。
芸術家で科学者でもあった万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチ。レオナルドの人間性に照明をあて、その個性や狂気を読み解く新しい試み。人間レオナルドを解明する待望の書。
フーコーの提起からアガンベンやエスポジトの議論まで、「生政治」の閾を「芸術」の側面から鮮やかに照射する。私たちを取り巻く問題圏をその近代的な根源にまで遡る。