旅が現在ほど容易ではなかった時代、また一生海を見ないことが珍しくなかった時代、音楽家、作家、画家たちは、この果てしなく海の広がる「水の都」でどんなインスピレーションを授かり、光輝く「南の国」はいかなる影響を彼らに与えたのか?貴族の庇護、ゴンドラの死のイメージ、陽気な祭の即興、迷路を思わせる運河と路地…。モーツァルト、ゲーテ、ワーグナー、そしてヴェネーツィア出身のヴィヴァルディら八人の人生と芸術を辿りつつ、この街の魅力を描く。
20世紀以後の主要な芸術(芸術運動や理論を含む)が、どのようにして西洋と日本で生成してきたのかーそれを考察することが本書の主眼である。考察する際の方法論には、筆者が提唱してきた「交通論」を用いる。交通論は、過剰の交通装置としての、つまり異交通装置としての芸術概念から、芸術を捉え直そうとする。本書では、目次に掲げたテーマに即しつつ、西洋と日本の間や、人間と芸術の間を交通論で読み解き、現代芸術の見方に新しい視点を提供する。
ドラキュラを自宅に招待する、という前代未聞の試みをする「ぼく」。ニンニクと十字架、そして家中にある“太陽”に関係する物を隠し、ドラキュラを歓迎する準備は万全のはずだったが…知的で怪奇な表題作「太陽ぎらい」。いたずらっ子が一家に巻き起こす大惨事を描いた奇妙な味の物語「子供の情景」から、SF的短篇「遠い星から来たスパイ」、幻想小説「観光客たち」まで、お洒落で機知に富んだ小泉喜美子の幻想世界を網羅する十二作を厳選。機知・洒脱・憂愁・戦慄…海外小説と日本の伝統文芸のエッセンスの配合から生まれた、幻想ミステリ傑作選。
昼の精神(科学的研究)と夜の精神(文学的想像力)を往還し、“聖なるもの”を探求し続けた知の巨人エリアーデ。宗教論、象徴論、宇宙論、芸術論、文学論ーその活動の全域を一望する恰好の入門書。
あのGEBの奇才ホフスタッターが、音楽、アート、ナンセンス、ゲーム理論、人工知能、分子生物学、…をめぐり、マジックとロジック、諧謔と厳密を駆使して思考の限界に挑む。
バッハの『フーガの技法』からシュタイナーの芸術論まで、音楽と絵画に潜む「ディオニュソス的なもの」が浮上する。人は自己の内面に出会ったとき、芸術家になる。
偉大な芸術家の描いた風景をながめてみてください。ひとつとして同じような描きかたがないでしょう?光、色、形…彼らが風景のなかに見つけたものは、ひとりひとりちがいます。この本のなかにでてくる風景を見つめたら、あなたはどんな気持ちがしますか?芸術家のように目の前の景色に目をこらし、感じた気持ちを風景画のなかで表現してみましょう。
ホロヴィッツの往年の名演が小品を中心に集められている。彼がどんなピアニストであったかを知るには最適の3枚組。誰にも真似のできない表現。超絶技巧(例えば自作の「カルメン」変奏曲)だけでなく、清濁併せ飲んだ上での気高さや強さに圧倒される。
「伊福部昭のSF交響ファンタジーか、どれどれ」とCDをスタートさせたら、鳴り出したのはバリバリのトロンボーンによる「ゴジラ」。その後も出るわ出るわ、キングギドラやキングコング。つまるところは、伊福部映画音楽メドレー。イキのいい演奏が楽しい。
モーリス・ベジャール率いる二十世紀バレエ団の代表作である「ボレロ」「アダージェット」「愛が私に語るもの」を収めた1枚。ジョルジュ・ドンがソリストを務めている。
ギター界の巨星、セゴビアの没後15年記念の2枚組。スペインのギター曲からセゴビア自身の編曲によるクラシックの名曲に至るまで41曲を収録するが、どの作品にも非常に繊細かつ微妙に彩色が施されていて、思わず一音一音に集中して聴き入ってしまう。
フルートにとってロマン派の時代は“不作の時代”なんて言われているが、たしかに技巧に走りすぎたキライはあるものの、こうした名手によって演奏されると生命が宿る。ロマン派はフルートに輝きを与えたのだった。その主旨とは別に、アルゲリッチとの共演は聴きもの。
失踪した矢竹謙吾が砂村宛に送った英文書。一見ただの商用文だが、そこには驚くべき意図が…英文謎解きが見ものの傑作長篇「青じろい季節」と、その後結婚した砂村夫妻を主人公にした短篇「縞模様のある手紙」。さらに、驚愕の結末が待ちうける文庫本未収録作「一本のマッチを擦る時」、著者の夫・二日市安氏の特別寄稿、著者の大ファンで翻訳家でもある仁木めぐみ氏の解説も収録。
当時、中堅として確固とした地位を築いていた3人による録音。N.ルビンシュテインの追悼の意を込めた作品を、華やかさと切々とした歌とをあわせ持って、まことにスケール大きくまとめている。
幾何学の宇宙教室ージオメトリック・アート。まさに魔術トリック。日本初公開の図像を含め250点余を収録。不思議なかたち満載のビジュアルブック。