垂直の線だけで構成された壮大なキャンヴァス、あの新しい絵画が切り拓いた精神的地平とは何か。20世紀半ば、西欧モダニズム絵画との対決から生まれたアメリカ抽象表現主義という偉大なステップ-。その代表的画家バーネット・ニューマンの革新性を、作品との徹底的な対話=批評を通して明らかにし、現代における芸術創造の詩学を追究する。
不気味な昆虫の群れにとりかこまれ、巨大な蜂に犯される。極限の悪夢を描いた表題作「月のない夜に」のほか、愛児を喪くした若い母親がかいまみた一夜の地獄「11月の子供」、狐狗狸さんに興じる女の子たちを襲った見えない影「ついてくる」など、精選モダンホラー全8篇。
年間売り上げ四兆円といわれる中央競馬会の森島理事長が何者かに誘拐された。犯人から届けられた要求は、一番人気の馬を一着にせよという奇妙なものであった…。ただ一人この事件をスクープした記者・本郷直人は独自に取材を開始、牧場・厩舎・調教師・騎手食用馬肉など、競馬界の驚くべき内幕が本郷の前に次々と露呈される。元競馬記者の著者が、競馬ブームの核心に迫る問題長編。
サイバースペースを生きる超領域的思考。情報工学の俊英が現代の尖端的知性と語る〈言語・機械・生命〉。
プログラムは文学になりえるのか。芸術としてのプログラミングからTEXまで、コンピュータサイエンスの巨峰が明かすそのプログラミング哲学。
明治45年、ロシアとの秘密条約調印を控え、明治天皇が、何者かに誘拐された。誰が?何の目的で?東京市長・尾崎行雄の密命をうけた冒険作家・押川春浪以下、鵜沢龍岳、黒岩時子、吉岡信敬、河野安通志ら、「天狗倶楽部」の面々は、はたして調印式までに、無事陛下を救出できるのか?横田順弥が新境地に挑む傑作冒険小説、書下し600枚。
華人社会の伝統音楽から流行音楽まで大中華音楽文化圏の本質にせまる。
現代美術のミューズをめぐる綺羅星のごとき芸術家たち、ベケット、エルンスト、デュシャン、ポロック、ダリ…。彼らとの愛の遍歴も含め、いまや伝説となった女性の華麗な生。
偏屈で漁師たちから恨まれている網元が、突堤の先端で射殺された。犯人は、どんなトリックで被害者を前から狙撃したのか。書下し表題作「見えない風景」ほか全5篇収録。放浪探偵・呪師霊太郎、映画探偵・相司卓間、そして謎の路上探偵…山田ミステリの名探偵が総登場でくりひろげる華麗な謎と論理の競演。著者初の本格ミステリ短篇集。
コンピュータ科学者、物理学者、生物学者、芸術家らが、それぞれの立場から21世紀科学の基本パラダイムを探る。うわさのメモリアル・シンポジウム“ATR会議”の全容を紹介。
内外古今の映画の中には、福祉への洞察にあふれた作品がいっぱい。そんな映画たちから考え学ぶことは多いはず。映画は福祉を知る宝の山。
キーンという金属音とともに、記憶力が異常な高まりを見せる奇病…。友人の発病がきっかけで、私は調査を開始するが、やがて患者たちは過去の記憶だけでなく、未来までも言い当てはじめた。金属音病の正体とは何なのか。「見事な出来栄え。息苦しくなるサスペンスで、息もつがずに読まされた…」江戸川乱歩が激賞したサスペンスSFの白眉「金属音病事件」のほか、単行本未収録「奇妙な夫」を含む全15篇。
八ケ岳東麓のすぐそば、標高1400メートルの山深い小さな山村に引っ越した街っ子アウトドアズマン田渕義雄。そこは日本の最長河川・信濃川の上流、千曲川の源流域にあたる。ミズナと白樺、山桜と大きなハリギリの、小さな森の中に彼の小屋はある。その小屋から、厳しい冬と優しい春、爽やかな夏と恵みの秋-それぞれの季節を、田渕義雄が、アナタに語りかける-。
宮廷の私室から生まれ、人間の精神を表す小宇宙にまで成長を遂げた室内楽の歴史。