“無意識的なるものとしての芸術とは、問題にしかすぎない。無意識的なるものの社会的解決としての芸術は、そのもっともありうべき答えなのだ。”独自の内言論で知られ、精神発達や芸術理解のメカニズムを、個人心理の枠組みからではなく、広く社会的・文化的な観点から考察を重ねた著者の初期の著作2篇を収録し、ソヴィエト心理学の基礎を築きながらも、スターリン体制下で黙殺された高名な心理学者の、その思想的エッセンスに迫る。
ランパルに次いでフルートの黄金時代を築いたゴールウェイの偉業を8巻15枚のディスクで俯瞰するシリーズのvol.1。ケルティックの笛の音が、カラヤン時代のベルリンの首席奏者、類稀なきソリストとしての経歴まで一貫する、稀代の音楽家の快演を堪能。
ひさびさのゴジラもの(91年)と東映アニメの名作(63年)が並んでも実に調和がとれていて奥深い展開が連関しているのはさすがというほかない。どちらも2003年晩夏の録音。情景全体、空の動きと人や動物の脈動さえも描き出されている。偉大なる音楽家ゆえの作。
「復活」は録音時の歪みがわずかにあるとは言え、オーケストラをこれだけきちんと磨き上げ、豊麗に鳴らしたオーマンディの手腕にはあらためて感服した次第。前半のブラームス、ワーグナーとも同様に瑞々しく新鮮な響きに浸ることができる。ヴァーレットの独唱も良い。
最高の音で楽しむために!
都会の中にビオトープを創りたいという望みは、新しい庭園を生み出すという最終目標を掲げることでもあります。ホタルが飛ぶことで最大の難関はクリアし、せせらぎに雑魚(川の小魚たち)が遊ぶようになって、ほぼ骨格は出来あがりました。維持管理で重要な議論の一つは、雑草をどうするかということでした。雑草は除去するのが従来の庭園技術ですが、ビオトープという考え方からすると自然に委ねるべきものです。せせらぎを中心とした渓谷のような自然を生み出そうとするとき、雑草はどうするのか話はまとまりません。このような議論と実践の中で少しずつビオトープ庭園の姿が出来上がってきて、まとめたのが本書です。
芸術家で科学者でもあった万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチ。レオナルドの人間性に照明をあて、その個性や狂気を読み解く新しい試み。人間レオナルドを解明する待望の書。
本書は、平成5年度から平成17年度の過去問を収録しています。
フーコーの提起からアガンベンやエスポジトの議論まで、「生政治」の閾を「芸術」の側面から鮮やかに照射する。私たちを取り巻く問題圏をその近代的な根源にまで遡る。
本書のいちばんの特徴は、ワイルダーの映画人としてのキャリアが作品ごとにまとめられていることである。これは他書に類を見ない構成で、読者に対してー映画ファンに対して非常に親切だ。あの映画の製作の陰には、こんな苦労話があったのか。この映画のスタッフやキャストは、こんなことを考えていたのか。そういうエピソードがわかれば、彼の映画を鑑賞するうえで非常に役に立つ。第二の特徴は、ワイルダーの言葉をそのまま載せていることである。一九七〇年代のなかばにワイルダーと知り合ったチャンドラーは、二〇〇二年にワイルダーが九十五歳で亡くなるまで三十年近くにわたり、折に触れてインタビューをつづけてきた。そして録音魔のチャンドラーは、彼の肉声を残らず記録し、忠実に再現した。第三の特徴は、インタビューの対象者が本人だけでなく、じつに多いことである。チャンドラーは本書のために数々の人々にインタビューし、彼らの言葉を通じてワイルダーの人柄を浮き彫りにした。