知識偏重のツメコミ教育は、子どもからみずみずしさを剥ぎとった。それは、現代管理社会が生みだした歪みの一つと指摘される。いま、豊かさを体現できる社会を考えるとき、おとなや学校、そして社会は、子どもに何ができるのか。絵画や音楽、文学を素材に、自由に想像し、表現することをめざす教育現場でのさまざまな試みのなかには、未来に向かう「感性の教育」が萌芽している。
ミケランジェロがサン・ピエトロ寺院の建造を無償で引き受けたのはなぜか。デューラーは「メレンコリア」をどのような意図で制作したのか。美術史に埋もれた幾多の謎を、精緻な考証を基に新たな視座を大胆に提示しつつ、豊富なエピソードを混えて楽しく解き明かす。
文字の姿の美しさを幸福のひとつに数える著者が、しなやかな視点でことばの姿と文字のかたちの諸相を楽しく綴った著者一流の日本語論。
イコノロジーからポストモダン論まで。現代諸芸術の生成に影響を与え、あるいはその鑑賞・研究に寄与する諸理論を考察。
世紀末から20世紀初頭、ハンガリー民族固有の問題を正面に据え、ハンガリーのアール・ヌーヴォーともいえる建築群を生み出した、レヒネル・エデンの初めての作品集。
あらゆる事象を探究している博学多才な著者が、あまたの古文献を駆使して日本と中国書道史に挑む。今まで見すごされていた、書道史にまつわる風俗や文化の定説を疑い、しなやかな観点と想像力で、正史外史の謎をやさしく解き明かす。
本書は、神経細胞・シナプスの生理学の開拓者であり、抑制性シナプス電位の発見により1963年ノーベル医学生理学賞をうけた著者が、生理学の枠を大きくこえて、古生物学、考古学、動物行動学、心理学、哲学にまでわたる知見を縦横に駆使して書きあげた、人の脳の進化の壮大な物語である。
観ることの充足よりも感ずることの孤独を知った稀有の画家MIZ`U(水島哲雄)の初期から最近作までの代表作を一堂に集成。トルソーからフラッグ(旗絵)まで、色彩の楽譜とも言うべきMIZ`Uの絵画空間を再現する最新作品集。
18世紀から19世紀初めまで100年間、禁令が出されるほどに流行した染物、トワル・ド・ジュィとは何だったのか。東方への憧れからつくり出され、神話の世界やフランス革命、気球飛行までも意匠化した大胆、華麗で多様なデザインの数々を紹介する。