20世紀の大指揮者クレンペラーの最晩年の姿を通して人間における音楽のもつ意味を浮かびあがらせる好著である。哲学者キェルケゴールのいう美的・倫理的・宗教的領域への深まりをクレンペラーの具体的な演奏を通して明らかにする著者渾身の作。
プルーストが人生のすべてを捧げた文学には、美術、音楽、歌劇、建築をはじめ、古典から流行まで、作家が見聞きし味わった芸術のエッセンスが注ぎ込まれている。鑑賞と創作に身を浸し、芸術と人生の関係を追究し、プルーストが作中にちりばめた芸術批評は、われわれに何を物語っているのか。日仏を代表する研究者と現代作家が、『失われた時を求めて』の真髄に迫る。
戦前期日本プロレタリア文化運動の生成・発展過程と、その中で生まれた運動のあり方を「模範的共産主義者」蔵原惟人とその後継者らを軸に考察。戦後日本共産党運動の源流としての文化運動という新たな視座も提示。
解剖学は、人体を把握し、描き出すための重要な鍵となる。本書のために撮り下ろした250点以上の写真と100点以上のデッサンを通じて、人体の内部を視覚的に解説するこの本は、あらゆるレベルの芸術家の画力を向上させるだろう。人体を描いた絵画を理解し、その現代的な鑑賞方法を学びたいと願うすべての人にとって、理想的な参考書である。
人間がいなくなった後でも、アートは可能か?『現代美術史』(中公新書)をまとめ上げた著者が未来に問う、まったく新しい人間と自然の美術史。
その見事に統制された社会性と緻密な巣づくり、そして蜂蜜によって、はるか昔から人類を魅了してきたミツバチ。人類は、ミツバチを養蜂するのみならず、様々な文化において、ミツバチから発想を得たものを多く生み出した。本書は、ミツバチの生態に迫りながら、人類史におけるミツバチの重要性を明らかにする。
本書は剣道時代に昭和63年5月号から平成元年8月号まで連載された『剣道藝術論』をまとめて平成元年刊行。このたび一部内容を修正して、さらに書き下ろしの「我が人生の回想録」を加えて新装増補改訂版として復刊。
日本芸術が世界で最も輝いていた時代は天平時代から鎌倉時代においてである。平安・鎌倉の文化は神道と仏教が統合し、宗教性に裏打ちされた芸術を創造した。古典からマニエリスム、そしてバロックへと形を変えながら、西洋史の時代を超越して、日本の芸術は見事な展開を見せた。時間軸のみで捉える歴史観ではなく、様式の形式、すなわち文化的達成度の比較から彼我の歴史を見直す。
「精神分析は単なる臨床理論ではなく、人間理解の基礎となる理論である」「文化芸術的素養がない臨床家が、人の役に立つ臨床をすることは難しい」という観点からまとめられた精神分析的臨床家たちによる文化芸術論。2人の臨床家の呼びかけに、北山修をはじめ多くの執筆陣が原稿を寄せた。映画や文学、美術、モーツァルト、ジャズにロック、ポップカルチャーから、フロイトの古美術収集やユングの自転車旅行まで、「精神分析」で捉えるカルチャーとアートの世界をめぐる知の饗宴。
初心忘るべからず。能を集大成し、芸術の域にまで昇華させた世阿弥。芸の神髄を明晰かつ緻密に論じる世阿弥の伝書五種。
第一章では芸術家自身が暮らした家やアトリエなどを公開している美術館を、第二章では生まれ故郷や長年親しんだ町など、ゆかりの土地に建てられた美術館を紹介。芸術家の息吹に満ちた空間で、極上の時間を!芸術家26人を身近に感じる30館。
アートは「最先端の思考」と「感性の技術」。シリコンバレーのCEOたちが実践。イノベーティブな発想を生む感性の鍛え方がわかる。「現代アート」を通じて、アート思考を訓練する方法。社会をサバイブする真の知性、感性とは何か。
アートと地域のコラボレーション。アートプロジェクトの変遷を見渡し、表現と交流が循環する可能性を探る。
ロシア・ウラル地方の鉱山で発見されて皇帝の名を与えられた宝石「アレクサンドライト」、妖しい光を放つチェコの紅柘榴石。神秘的な石に魅せられた人間が誘い込まれる物語とは…。冷酷な地主にさからえないおかかえ劇団の女優と腕のいい美容師「髪結いの芸術家」が命がけの駆け落ちをはかったその先に待ち受けていた運命とは…。物語作家として名高いレスコフの持ち味が存分に発揮された新訳作品集。