生涯六十余戦負け無しの無敵の二刀流剣客、宮本武蔵。実在した一人の武芸者の、生死を分ける激しさ、苦しみや孤独、そして自らを恃む強い信仰ーそれらが、残された武蔵の数多くの作品群にまざまざと刻まれている!「兵法の理をもつてすれば、諸芸諸能もみな一道にして通さざるなし」(『五輪書』)と言い切る、剣豪なるが故の芸術の核心に迫る意欲作。
いま若者を中心に静かに、しかし熱い支持を得ているカポエイラ。その魅力のすべてを明らかにする。
年画は部屋に貼り、新年を祝い楽しむ印刷物。ここには幸福や豊かさを求める庶民の夢や願望が描かれている。中華の伝統文化と価値観・思想が凝縮され、幅広い階層に親しまれている。大衆の文化・娯楽として見過ごされてきた周縁の藝術、中国木版年画の魅力を、約一五〇点のフルカラー図版と絵解きで伝える。
芸術の社会化をめぐる思索と実践のあゆみ。いま私たちにとって芸術(アート)とは、そして福祉(ともに生きる幸せ)とは。アーツ・アンド・クラフツから現代アートまで。
県職員が現場で見た、芸術祭とまちづくりの融合。
「貨幣」はいかにして「芸術」になるのか。金から紙、そして電子マネーへと姿を変えてきた貨幣の意味を美術作品から読み解き、両者に共通のロジックを探る。類例のない思想史・経済学=芸術論。
フジタからリヒターまで。19作家38作品を通じて、国家、グローバリゼーション、新世界秩序に抗する芸術を読み解く。浅田彰、田原総一朗、針生一郎、Mr.らとの対談・鼎談も収録!
表現とアートセラピーは、生きるということが生の創造であることを尊重し、セラピーという援助的環境を通じ、私たち自身の、また私たちに関わりのある人びとの生の価値を高める方法に気づかせてくれる療法である。絵画、音楽、彫刻、演劇、文芸などの表現アートセラピーを通じて私たちは、芸術のもつ豊かさを体感し、内的体験の神秘、強烈な情動を象徴的に表現することができる。このように心理療法と芸術を統合するなかで、人びとのうちに眠る太古の精神世界ーシャーマニズムの癒しの力を再発見し、人間の原初的な生のリズム、体の動きを見出すことになるだろう。
1970年代、有機的な組替えやズラしによって、外の空気を浸透させ他を受け入れる作品を精力的につくり、あるがままをアルガママにする仕事をした「モノ派」、その運動の柱として知られ、国際的に活躍する李禹煥の著作を集める。そして著者自身の芸術について、セザンヌやマチスに始まり、ゲルハルト・リヒター、ペノーネ、若林奮、白南準ら現代芸術の旗手たち、古井由吉や中上健次などの作家たちについて、そして、ものと言葉について…自分と、自分をとりまく外の世界。その境界にあたらしい刺激的な見方を開く。
作品に映る近代日本の精神を考察。高橋由一から岡本太郎、寺山修司まで、芸術家たちが造形してきた近代日本の精神と、原発問題に象徴されるテクノロジーの暴走、一見かけ離れた両者の交叉点を哲学的に探る。
音楽堂でのシンポジウムを舞台に、小林康夫の問題設定のもとに安藤忠雄、中沢新一、鶴岡真弓、池内了、中村桂子、一柳慧、岡崎乾二郎といった各界第一線の識者がこれからの芸術の課題を問う。
都市に“トマソン”という幽霊が出る!?街歩きに新しい楽しみを、表現の世界に新しい衝撃を与えた“超芸術トマソン”の全貌が、いまここに明らかにされる。多くの反響を呼んだ話題の本に、その後の「路上観察学」への発展のプロセスと、新発見の珍物件を大幅に増補した決定版。
現代抽象絵画を代表する作家マーク・ロスコ(1903-70)。様々な色の矩形が浮かぶ独自の様式に至る以前、ロスコ自ら綴った草稿を編んだのが本書である。1940年代前半、自身の芸術がいまだ確立しない苦しみの中にあったロスコは、一時的に絵筆を置き、それに替えてペンを執った。そこに残されたのは、画家としてではなくオブザーバーとして造形芸術を語り、現代と古代のあいだをわたりながら記された、美術の〈リアリティ〉の系譜である。数年後に再び画布に向かった時、彼の作品は、現在ロスコの到達点として認められる純粋な抽象画へと変化を遂げる。挫折であると同時に、ロスコがロスコになる転回点ともなった時代の貴重なテキストー死後永らく埋もれていた草稿が今、60余年の時を経てその息子の手によって甦る。
芸術生成の新たなトポスミュージアムを全開する。「作品」は観客の眼を通じて初めて「芸術」として開花する。作品と観客出会いの場・ミュージアム等に見る、芸術と社会の新たな関係性。日本学術振興会人社プロジェクトの成果。
現在、富士山頂には毎年三〇万人近くが登り、ふもとを周遊する来訪者を入れるとじつに二千万人が訪れています。山梨県と静岡県は、関係する市町村と連携し、広い視野での保存管理計画「富士山ヴィジョン」をたて、地域の組織や住民も一体となって、文化や自然を守る様々な取り組みを行ってきました。本書は、登録五周年を記念して、これまでの活動を総括し、次世代に大切な遺産を伝えていくために、その歴史を振り返りながら、世界遺産富士山の魅力と生かし方を考えるものです。