近代日本が西洋芸術の受容と普及に努める過程で、音楽は静かに「きく」べきもの、「わかる」べきものー“鑑賞”するものーとなった。文化に深く埋め込まれ、音楽を超えて芸術に対する私たちの態度のなかに今も息づく、“鑑賞”の誕生と変遷の文化史。
「何だこれは?」既成概念を打ち破ることが、新しいものを生み出す原動力となるのだ。
“日本のゴッホ”の本質に迫る、画期的評伝!従来の「伝説」を排し、“日本のゴッホ”長谷川利行の本質に迫る、画期的評伝!
比田井南谷を嚆矢とする前衛書の探究。伝統を背負いながらモダニズムの波と対峙し、言語とイメージ、モノクロームと色彩の間で苦闘した書家たちの戦後があった。上田桑鳩、宇野雪村、大澤雅休・竹胎、千代倉桜舟、青木香流、森田子龍、井上有一。抽象表現主義、アンフォルメル、「具体」といった同時代の前衛美術との連絡や、かな交じり書への挑戦を通して「現代書」の理念を希求した表現の系譜を辿る。
古代壁画、中世の本草書、近・現代の花譜や植物学書などに見られる植物画の発展の歴史を、芸術と科学の接点において捉え論じた古典的名著!!歴史的に重要で芸術性の高いボタニカル・アート200点余を掲載。巻末に「植物画の基本技法」を併載。
ウイルスの時代を背景に交わされる美術家と思想家の往復書簡。文明と歴史、人間と自然、ブラック・ライヴズ・マターインフォデミックー世界への、広く深き思考の交感。
『ARTFORUM』誌ベストブック2009選出!ベトナム反戦運動、フェミニズム、反人種差別運動、美術制度批評…1960年代アメリカで、自らを芸術労働者と定義することでアクションを起こしたアーティスト・批評家たち。その先駆的でラディカルな試みの実相を鮮やかに描きながら、今日的意義を問い直すー。混乱の時代、芸術はいかに社会に応答しうるか?
従来の新劇がかつての勢いを失い、メディアや娯楽が多様化するなか、1970年代まで勢いのあったアマチュア演劇はどのように変貌したのか。今日各地で活動する、さまざまな劇団や演劇集団の実地調査をもとに、地元に密着した市民演劇の活動、地域社会や行政との関係を明らかにし、芸術と社会の新しい結びつきをさぐる。
男性中心社会だった朝鮮時代の女性は、自身の学問や、芸術の才能を表出することができなかった。このような社会背景の中で、師任堂は学問に親しみ、芸術的技能も研鑽した。だが、師任堂に対する認識の多くは「良妻賢母」「儒学者・栗谷李珥の母」止まりである。本書は師任堂の研究家が糸を手繰るように集めた様々な文献資料から「人間・師任堂」の真の姿を追った、申師任堂本の決定版。ドラマ「師任堂、色の日記」がもっと面白くなる歴史書!
芸術系大学が市民・地域産業・公共団体との連携・協働から、新しい時代の地域イノベーションを生み出している。東京藝術大学、金沢美術工芸大学、京都市立芸術大学、京都造形芸術大学などの事例を丹念に取材した労作。
ボレロ、ルンバ、アフロ・キューバンなどさまざまな音楽を発展・融合させた特異な歴史をもつ音楽大国キューバ。音楽実践が生活と親密に関わる国で営まれる芸術音楽とはなにか?フィールドワークを通してハバナに暮らす人々の語りを収集・分析することにより、人々の生活と音楽が結びつくダイナミズムを描き出す。
友人たちがわけもなく逮捕され、どこかへ消えてしまうことの恐怖。地下芸術家たちの日常は、しかしマグマのエネルギーを培っていった。封印された未知の世界に、生命を吹き込む巨匠の証言。
ロシアの風土に生きる人々の暮らし、笑い、活力そして、懐しさ。めくるめく色彩に満ちた、いまのロシアが、立ち上がるエッセイ集成。
壮大な「アートによる地域づくり」プロジェクトの全貌を、構想の仕掛け人が縦横無尽に語り尽くす。アート作品のヴィジュアルも満載。頁をめくるごとに「大地の芸術祭」の世界が立ち現れる!