古今東西の名作のなかに人生との関わりを見つけ出す愉しさ。200を超える引用作品に誘われて、のびやかに展開する緻密な芸術論の世界。
憧憬と排撃の両極に揺れ動くファシズムの美学を見据え、美と権力の統合という芸術に内在する政治性を文化の今日的課題として捉え、建築・絵画・彫刻・写真などに幻視された芸術家たちのユートピアを検証。
いま、鮮やかに甦る巨匠、千利休の全貌。桃山茶湯の大成者が求めつづけた世界とは何か。悲運の芸術家の生涯をドラマチックに追う。収録図版230余点。
中医学の一般的知識、薬膳の素材、薬膳による病気の予防と治療、料理法などを具体的に解説。東・西医学に通ずる専門医が著すわが国初の「薬膳」の書。
近年の哲学思潮の中でニーチェへの再評価は目覚しい。世紀末を迎える現在ニーチェの唱えたニヒリズムの思想は、現代人の心の奥に潜む絶望感と深く呼応するばかりか、現代社会への鋭い警鐘としても充分先駆的である。
眼下のフォルムは感動的に美しい。これは、空撮の名手ゲルスターが長年撮り続けた航空写真を集大成したものである。地球の顔にも“喜努哀楽”の表情がある。
なぜ、人間は白鳥をシンボル化したのか。古代ギリシア・中世・19世紀ヨーロッパの神話・芸術へ熱いエネルギーを照射し続けた、その姿態が放つ多様なメッセージを集積する。
恩師、友人らが哀惜の文をつづり芥川也寸志自身が語るライフ・ヒストリーの未公開対談や作品論、記録も加え、その華麗、多彩な才能と独創的な活動をふりかえる。付 年譜、主要作品・主要映画音楽作品リスト。
日本近代彫刻に不滅の名を残す碌山・荻原守衛。時代と人生の葛藤のなかで創造への飛躍をとげた青年美術家の、ヒューマニズムあふれる芸術と思想に光をあてる。
海外での研鑽を終えて帰国した守衛を待ちうけたものは-。恋と苦悩のうちに開始された制作活動。絶作〈女〉を頂とするその作品群に刻まれた波瀾の生涯を描く。
10時間半に及ぶ心臓の大手術を乗り越えた玉川良一が、芸能生活40年をふり返り、素敵な芸能界の仲間たちの楽屋ばなしや、大スターたちの知られざるエピソードを赤裸々に綴る。
本書は、世紀の解体者、創造者、そして風俗壊乱者ダリの1930年代における極めて重要な芸術論集である。「偏執狂的批判の方法」は、ポスト・モダンの思想地平を予言したばかりでなく21世紀芸術の手引となるに違いない。
メセナ、フィランソロピー,企業文化etc.芸術文化と社会の新しいかかわり方が注目される現在、芸術の下部構造、パトロンの歴史、国別の文化支援の比較、Ciや冠コンサートの分析等を通して、90年代文化の底流を探る。
「壁」なき世界の文化状況を走査する椹木野衣、衝撃のデビュー。世界は、それを手当り次第にサンプリングし、ずたずたにカットアップし、飽くことなくリミックスするために転がっている素材のようなものだ。90年代の文化理論。
今、注目の環境作品。人類学的方法からの、音楽、建築etc.ジャンルをこえる試みをポスト・モダンの潮流に位置づける。
さまざまな人生遍歴の末、独自の文学世界を創造したラフカディオ・ハーンー。本書は、徹底した作品解釈により、ハーンの業績を芸術・批評・哲学という三つの側面から考察。新たな評価を試みた画期的な論考。