言葉と視覚から読むブレイクの「女」の世界。セックスを徹底的にディスコースに入れた芸術家ブレイクの本質に迫る話題作。
イタリアに対する文化的劣勢の克服を願っていたドイツ人文学者たちにとって、デューラーは希望の星に映ったにちがいない。画家が共同体の名誉を高め、広く喧伝するに学者以上に有効な存在であることを彼等はイタリアにおける先例から熟知していた。彼等はデューラーに待望久しい文化的英雄としての可能性を看て取った。いまやデューラーの使命はイタリアにおいて己の技量を認めさせることにあったといえる。このような状況下の第二次イタリア旅行において、デューラーがどのように効果的に技量を誇示したのか、が本書の主たるテーマとなる。
『ファウスト』『悦楽共犯者』『対話の可能性』など、コマ撮りを駆使した特異な映像で知られるチェコのシュルレアリストが自ら構成した、世界初の造形作品集。本邦初公開の図版をカラーで収録。
18世紀、一艚の船に画家と気象学者と博物学者が乗り込んだ。ホッジズ、ウェールズ、フォルスター親子。彼らが南氷洋で出会ったのは近代科学と近代芸術の発生の瞬間にほかならなかった。船の名はリゾリューション号、いや、キャプテン・クック(1728-79)その人だった。
葛飾北斎は、日蓮宗や妙見菩薩、老荘思想など、複雑な信仰の持ち主だが、数多くの転居や画号の由来から、ある貫徹した信念にたどり着く。生き方と信仰をめぐる6つの謎を解き、北斎芸術の本質をさぐる旅へいざなう。
私は、単純な裸婦を描くことによって野蛮の豪奢を暗示しようと思ったのです。19世紀末、近代都市「パリ」-そこはゴーガンにとっては「文明の悪」であった。そして野生と簡明さを「楽園」に求め、南の島タヒチへ。野生の幻影を追い求めた芸術家の魂。
「自然との共生」は今日すでにイデオロギー化しつつある。本書は自然の概念を「外なる自然」のみならず、感情や衝動などのわれわれの「内なる自然」とも解し、西洋近代の美学芸術理論のうちに、人間の自然支配への反省に基づく内外の自然との和解の理念を探ろうとしたものである。自然との共生のルーツともいうべきこの思想は、カント、シラー、アドルノなどの美学芸術理論のうちにすでに含まれていることを論証する。
カウンセリングと「その後」を、クライエント自身が検証する、心理療法研究における視点の転換。真に来談者に寄り添う心理療法をめざすセラピストに捧げる書。
舞台芸術をささえる一つの要素でもあり、実演家も関わっている芸術団体の実態を、1,390件の回答により、収支構造などを含めた活動の概要として集計。
北海道美唄市。閉山となった炭鉱の学校跡地に、まったく新しい芸術空間が生まれつつある。同市出身の世界的彫刻家・安田侃が目指すのは、時空を超えた自然と人と彫刻の融合。アートによる地域再生の現場を、写真家・村井修の写真を中心に初めてまとめた。村野藤吾賞受賞。
なぜ、殺されたのか。なぜ、生き延びねばならなかったのか。革命の夢と大テロルを潜り、恐怖の詩神スターリンと対話した、芸術家と表現の運命。謀殺か、自殺か、病死か。ようやく公開された裁判記録や検事調書を解読し、もろもろの証言や作家自身の遺作に耳をすまして、その死の真相に迫る。
印象派の巨匠ルノワールの新しい発見!全世界から選抜したルノワール真髄の作品を豊富に収録し、その生涯と芸術の奇跡を余すことなくとらえたファン待望の画論集。