一度愛し棄て去った土地をふたたび訪ね、無傷でいることはできない。なにかが失なわれていた。その不在こそが私の胸中の漠たる悲哀の源なのだ。-出雲をはじめ横浜、京都など日本各地を旅した八雲。そこで出会った様々な人々と風土に、八雲は来日当初とは異なる新たな印象を抱いた。激しい近代化の波の中で失なわれゆく明治日本の気骨と抒情を、深い愛惜の念で綴った感性あふれる名作品集。
「人も物もみな、神秘をたたえた、小さな妖精の国」と日本を初めて訪れた八雲は、感嘆の声をあげた。出雲の松江という「神々の国の首都」での彼の見聞記は、人々の日常生活の中に分け入って、深くその心を汲みとろうという姿勢で貫かれ、みずみずしい感動と相まって、見事な文学作品にまで昇華されている。旧い日本と新しい日本が交錯する明治20年代の風物や風習、人々の姿を鮮やかに描いた名著。
子どもも大人も楽しめるファーブル昆虫記決定版。入り口のないへやにどうやってはいったのか?10歳から大人まで。
最愛の妻が、実は昔であった雪の精だったという話(雪女)、うたたねしているあいだに、べつの人生を生きてしまった男の話(安芸之介の夢)、幽霊になって約束を果した侍の話(まもられた約束)、前妻の亡霊に呪い殺される若い後妻の話(やぶられた約束)など、日本に古くからつたわる怪奇物語19編。小学上級以上向。
『昆虫記』は、フランスの昆虫学者ファーブルが一生をかけて書いた、昆虫の観察記録とその思い出です。
ドイツ語は明快な言語。綴りと発音のシステム、名詞・冠詞・形容詞の対応、単語や文章のもつ、堅固で自在な「粋構造」。ほどよい文法秩序に示される、ドイツ語の性格を構造的に理解する。
平安時代末期に成ったこの説話集は、おそらく大寺の無名の書記僧が、こんなおもしろい話がある、ほかの人に知らせてあげたい、おもしろいでしょうといった気持ちで集め書かれたと言われている。本書は、大部の説話集の中から本朝の部のみをとり上げ、さらに訳者福永武彦の眼により155篇を選んだ。文学的香り高い口語訳により、当時の庶民の暮らしぶりを生き生きと再現している。
「小泉八雲」の日本名を持ちこの国の情緒と伝統を深く愛したハーンが、古典や民話を題材につづった怪談集。平家の亡霊に取り憑かれた盲目の琵琶法師「耳なし芳一のはなし」、吹雪の夜あらわれたまぼろしの白い「雪おんな」など、怪奇の中に美しい静けさの漂う名作17編を収録。
本書は、線形代数の基本となる「行列・行列式」の問題を多数収集し、問題を分野別に辞書式に配列して、答、時にはヒントをも付したものである。