本書の多くの論文は知的CAIにおける中心的な問題の一つである学習者モデリングについて論じている。まず、ITS(Intelligent Tutoring Systems)の分野が今日までに発展してきた過程を説明し、次に、将来挑戦すべきことを重点的に述べた。
精神医学、とりわけ精神分裂病の精神病理学において、著者の名は夙に有名であるが、とかく精神科医の余枝とみなされがちな病跡学の分野で、エピ-パトグラフィーなる概念を提出し、ムンク、カフカをはじめとする、多くは分裂病圏の天才人の精緻な分析によって、肥沃な領野を切り開いてきたことは正しく評価されていないのではないか。著者が「ムンクの解析を通じて臨床面へのさまざまな派生事項を学びとった思いがする」と述懐するとおり、その思索は実に病者の臨床と芸術家の病跡学的探求との往復運動の過程で育まれ、深化成熟を遂げてきた。本書はその芳醇な成果を、著者自身の入念な校訂を経て集成したものであり、精神病理学徒にとってもパグラーフにとっても、かけがえのない財産というべきものである。
流体力学(少なくとも、非圧縮粘性流体の運動)を一通り学んだ読者が、乱流理論の初歩から最前線の研究までを平易に無理なく理解するためのテキスト。乱流研究の2大目標、乱流の予測と制御、をにらんで、乱流の統計法則と流れの瞬間場のダイナミックスを主たるテーマとして取り上げ、これらに、流体の運動方程式の力学特性、および乱流モデルなどの数値計算法の解説を加えた。
『斎藤和英大辞典』をもとに、対訳中の英文からキーとなる英単語を見出しとして、日本語見出しと関連の英語表現が一覧できる対訳辞典。英単語から『NEW斎藤和英大辞典』の15万の文例・用例を参照。同一概念の語彙がまとめられているため、類語表現・シソーラス的な使い方をすることができる。
一片の排他性ももたない、inclusiveな表現は可能か?聖書翻訳の限界に挑戦し、宗教と差別思想、言語と差別表現の見えざる糸を露わにし、現代言語の趨勢に即した差別語の言いかえを大胆におこなった、まさに千年紀移行年にふさわしいことばの冒険。
本書では、日本語の要求表現の諸形式の状況的使い分け、平叙文の文末形式の話し手・聞き手の関与度による使い分け(関与表現の使い分け)に関して、実験結果に基づいてその様相を検討する。これらを聞き手への配慮と関連づけて論じ、他のタイプの言語行動も含めて、状況的諸要因がバリエーションに与える影響にどのような特徴があるのかを考察した。
本書は金融市場に携わる大学院初年度者や実務に携わる方々を対象にしている。資産評価理論で用いられる有用な主だった数学的ツールを直感的に取り扱うことを目的とする。数学の本ではないので、証明は必要最小限にとどめ、簡単に記述する。確率微積分やマーチンゲールについて勉強される方々は、専門的な本を読むことが必要であるが、本書を読むことがその助けとなるであろう。また、連続時間における資産評価モデルを学ぼうとするファイナンスの学生にも本書は適している。
ベルンハルト・リーマン(1826-1866)は、短い生涯に複素関数論、偏微分方程式論、リーマン幾何学、数理物理学など多岐にわたる数学の諸分野で画期的な業績を残した。…“直観的で、斬新なアイデアによって書かれた”リーマンのすべての主要論文を、豊富な訳注と詳しい解説を附して翻訳した「大数学者の全貌」。
第8巻は自閉症研究と実践のこの領域での、われわれの考えの進歩を反映している。1978年から2002年までに刊行された業績のうち8篇の論文が注意深く選ばれ、その著者らによる進展と達成の物語が読者に提供されている。かれらはそれぞれ異なった背景や理論をもっているが、しかしそのすべてが自閉症児にわれわれとのコミュニケーションを改善させるという共通のゴールをもっているのである。
京都市方言、ひいては京都語における「ハル敬語」に照準をあて、時代とともに変容する姿も含めて、包括的かつ体系的に記述。
ブルーノート・アーカイヴからの未公開資料を初公開。未使用アーティストショットやコンタクトシートも多数掲載。創設者アルフレッド・ライオンの幼少期からブルーノート創立までの歩み。創業前夜、隆盛期、冬の時代、そして再生へ。リード・マイルズによるジャケットデザインの変遷。著名アーティストからの多数のコメント。
文構造に即して考えるという立場から、次のような謎に取り組んだ。「のだ」、「はずだ」、「はずではない」、「はずがない」、「ものか」、「かもしれない」などの表現の本質。形容詞「ない」、可能表現としての「できる」、可能動詞、「から」と「ので」、「からといって」、副助詞「か」などの隠れた構文論的性格。文構造に即して、構文論的な謎の数々に迫る!
万葉集に挽歌として載せられた歌は、編者にそのように判断され配列されたものがほとんどである。歌の作者に「挽歌を詠む」という意識があったとは限らない。では、編者が挽歌だと判断したポイントはどこにあるのだろうか。編者の挽歌観を探ると共に、挽歌部に収載された歌の表現と、収載されなかった表現との違いを見極め、挽歌の成立とその本質を解明する。