標準語においては、年齢や地位の上位者に対しては二人称代名詞で言及することができないが、下位者に対しては言及することができる。この体系を「上下対称詞」と呼び、王朝文学、軍記物語、『捷解新語』等の外国語資料、散切物、小説、雑誌、国定国語教科書、新聞記事等、それぞれの時代の言語資料を調査。また、各地の方言の考察も行った結果、公家や武家の公的言語として継承されてきた上下対称詞の体系が、明治期からの学校教育等を通じて標準語として全国に確立されたという結論に達した。さらに海外周辺国の対称詞についても言及し、系統論的な問題も提起する。対称詞を歴史社会言語学的観点から分析する。
進化を引き起こす原動力は何なのかーこれは、ダーウィン以来ずっと論争の的となってきた問題である。本書では、過去150年間に提唱されたさまざまな進化論を振り返り、近年のゲノミクスや発生生物学の知見をもとに、進化における突然変異の重要性を明らかにする。表現型の進化を遺伝子や分子レベルの進化からひも解くことで、進化機構の本質がみえてくる。分子進化学の発展を牽引してきた著者の集大成であり、この分野を専攻する学生や研究者、進化理論に興味のある読者にとって必読の書である。
日本語では、主語がしばしば言語化されずに発話がなされる。いわば、非言語状態で概念化がなされないままの主語と、発話された述語との組み合わせでコミュニケーションが行われるのである。西洋の言語ではなく、そうした日本語の本質にそって、言語行為や文法についての考察を行った。さらに小説、映画、演劇、落語などに至る広いジャンルに及んで調査分析をして、日本語教育、国語教育のために具体的、実践的に考察を行った。
本書は、大室剛志教授が2021年3月に名古屋大学を退職されたことを祝し、親交のある研究者、および教え子を含む名古屋大学関係者が寄稿した35篇からなる論文集である。論文の内容は多岐にわたっているが、名古屋大学英語学研究室が目指す、共時的研究と通時的研究の実証面と理論面における有機的融合を体現した論文が多くを占める。大室教授への思いを込めて、言語の本質を共時・通時の両面から探ることの重要性を説いた1冊である。
歌びとたちの、ことばに託す意図と効果を考察。萬葉集歌の詠出に際し、歌びとたちはいかなる意図を働かせてそのことばを選択したのか、当該の表現を用いて何をどのように訴えようとしたのか、またその効果はどうであったか、について考察をめぐらせた。萬葉初期から末期まで、ときに平安期以降の和歌表現をも視野に収めながら、ことばと表現に焦点を当てて論じる。
本書では、英文ドキュメンテーションのうち最も基本的な分野であるビジネスレターと、近年、国際ビジネス通信の主要な手段になりつつある電子メールの作成にポイントを絞り、その正しい書き方と効率的な作成方法について解説した。
論文データを基にしたコーパス解析で、特に使用頻度の高い単語を収集。動詞+前置詞などのよく使われる単語の組み合わせ(コロケーション)を出現回数とともに掲載。コーパス対象のデータベースが3000万語から約3倍の1億語に拡大。antagonistやclusterなど初版発行後、頻度が大きく変化した単語を新規収載。名詞の冠詞情報も収載。