電気とオタクの街ー秋葉原。その交番に勤める権田は、筋金入りのオタク警官。対してコンビを組む長身イケメン警官・向谷は頭はからっぽだが、類い稀なコミュニケーション能力の持ち主。ひいては美脚の「足だけの幽霊」を連れてきてしまった。2人は「足子さん」と呼び、彼女の死の理由を探し始める。フィギュア盗難、抱きつき魔、迷子、メイド喫茶のいさかい…ご当地ならではの「謎」に凸凹警官が挑む、新境地人情ミステリ!
江戸の人材派遣業、口入屋。縁あってその女主人となったお藤だったが、武家相手の商売は行き詰まっていた。店を立て直すため、お藤が打って出た一世一代の大勝負は、周囲の反発を呼び、江戸を揺るがす事態に発展。さらに、かつての命の恩人によく似た男と出会い、心は揺れ…。商いは人で決まるー揺るぎない信条を掲げ、己と仲間を信じて人生を切り開くお藤の姿が胸を打つ、長編時代小説。
結婚して五年、定職にもつかず浮気と借金を繰り返す夫に絶望した絵乃は、身ひとつで家を飛び出し、離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」に流れ着く。夫との離縁を望むも依頼できるだけの金を持たない彼女は、女将の機転で狸穴屋の手代として働くことに。果たして絵乃は一筋縄ではいかない依頼を解決しながら、念願の離縁を果たすことができるのか!?
武家の庶子でありながら、家族に疎まれ寒村の寺に預けられた久斎は、兄僧たちからも辛く当たられていた。そんななか、水汲みに出かける沢で出会う村の娘・しのとの時間だけが唯一の救いだったのだが…。手ひどい裏切りにあい、信じるものを見失って、久斎は寺を飛び出した。盗みで食い繋ぐ万吉と出会い、名をたずねられた久斎は“無暁”と名乗り、ともに江戸に向かうー波瀾万丈の人生の始まりだった。
なぜ、侍は、首だけになってしまったのか?なぜ、少年は、ひとりぼっちになってしまったのか?なぜ、二人には記憶が無いのか?ともに諸国を巡るうち、明らかになる哀しい事実。直木賞作家が描く愛おしくも切ない恐ろしくも哀しい人の心。
ある東北の村から日本橋の酒問屋に招かれた、不思議な目を持った少女・イオ。酒問屋の跡取り息子・央介は、その目を見たことで激しい良心の呵責に襲われ、かつて自分が犯した罪を贖おうとする。やがて更生した央介とイオは、彼女の目を使って、江戸で起こる数々の事件を解決していくことになるが…。青年と少女の交流と成長を通して、「罪と向き合う」ことの意味を描いた、感動のファンタジー時代小説。
家族に疎まれ寒村の寺に預けられた武家の庶子・行之助は、手ひどい裏切りにあって村を捨てた。絶望から“無暁”と名を変え、ひょんなことから一緒になった万吉と江戸に向かう。悶着をきっかけにやくざの沖辰一家の世話になることになった無暁と万吉ー波瀾万丈の人生が始まる。信じるものを見失った無暁が、最後にたどり着く圧倒的な境地とは?
長唄の師匠であるお蝶は三味線の腕前と美声で気性も粋な弁天との評判。お蝶の兄嫁の沙十はたおやかな色白美人で観音のたたずまい。人呼んで“弁天観音”美人姉妹は、頼まれ事を抜群の機知で解決していく。にぎやかな日々の裏で、お蝶を狙う影が大きく動き始める。凛とした痛快時代小説。
錺職の老舗「椋屋」の娘・お凜は、女だてらに密かに銀線細工の修行をしている。跡目争いでざわめくなか現れた謎の男・時蔵は、江戸では見られない技で簪をつくり、一門に波紋を呼ぶ。天保の改革で贅沢品が禁じられ商いが難渋する店に、驚天動地の大注文が入る。江戸の町に活気を与えたいと、時蔵とお凛はこころをひとつにするがー。職人世界の粋と人情を描く本格時代小説。
安永四年、京都。当代一の絵師を目指す豊蔵と彦太郎は、ひょんなことで奇跡の出会いを果たす。喧嘩しながら才能を認め合い、切磋琢磨し腕を磨く若きふたり。鼻つまみ者の「ごんたくれ」と呼ばれた彼らは、求めた道の先に何を見たか?京画壇の華やかなりし時代、実在した二人の奇想の絵師をモデルに、芸術を探求する人間の性と運命を描き出した、傑作時代長編。
差配から住人まで全員が悪党の長屋に引っ越してきた新住人をめぐる騒動(「善人長屋」)、人の縁を取り持つ“結び屋”が出合った、見合い相手に不可解な態度を取る娘の哀しき真実(「まぶたの笑顔」)、つらいお店奉公に耐えかねた幼い丁稚に、大旦那さまが聞かせた不思議な話(「首吊り御本尊」)など、書籍未収録作品や書き下ろし作品を加えた時代小説アンソロジー。ほろ苦くも心を揺さぶる珠玉の六作を収録。
お店の守り神である木彫りの猫がなくなり、その行方を捜す「猫神さま」(西條奈加)、長屋で一番偉い猫の“サバ”が、夫婦の揉め事を解決する「包丁騒動」(田牧大和)、臆病な火消しの男へ按摩が与えた猫頭巾に込められた恐るべき謎「だるま猫」(宮部みゆき)など、愛らしくも摩訶不思議な存在である江戸の猫にまつわる短編六作を収録。令和を代表する女性時代作家の共演による珠玉のアンソロジー。
東海道箱根の関所には、曰くありげな旅人が訪れる。離縁され故郷に帰る女。江戸から夜逃げをした夫婦…。実直な番士武藤一之介は、親友の騎山市之助から関所に関する法外な依頼をされる。一之介は逡巡するも決断する。友の人生の岐路に際し何もしないのは裏切りも同然。たとえこの身に害が及んでも必ず友を助けなければならないー。関所をめぐる人間ドラマを描いた圧巻の人情時代小説。
思わぬなりゆきから箱根の関守となった若き小田原藩士・武一。彼の前には、切実な事情を抱える旅人が日々やってくる。西国へ帰る訳ありげな兄妹、江戸から夜逃げした臨月の女…やがて命を懸けて一人の男にこの国の未来を託さんとする者たちを知ったことで、武一の身にも人生最大の岐路が訪れるー!
高校生の滝本望は、お蔦さんの愛称でご近所に親しまれる祖母と、神楽坂で暮らしている。その神楽坂では、万引きが多発しているというので商店街全体で警戒していた矢先のこと、和菓子店の主人が逃げる犯人に突き飛ばされて怪我をしてしまった!正義感に駆られる望と友人の洋平は、似顔絵を描いて犯人を捕まえようと思い立つが…。商店街を騒がせた出来事を描く「よろずを引くもの」を始め、書き下ろしを含む全七編を収録。粋と人情、そして美味しい手料理が味わえる大好評シリーズ、待望の最新作!
訳ありの弥五郎は伊勢詣の世話役・御師の手代見習いとして修業中。ある日、侍に襲われる材木商・巽屋清兵衛を助けた縁で、用心棒を兼ねて清兵衛の伊勢参りに同行するはめに。「御師は盗人」と言い放つ変わり者の弥五郎だったが、伊勢を目指す人々と関わるうちに、心境に変化が。そして清兵衛の過去を知った弥五郎は…。時代小説界の気鋭が描く笑いと涙の道中記。
大きな橋から落下し、気づくと三途の川に辿り着いていた小学六年生の叶人は、事故か自殺か、それとも殺されたのか死因がわからず、そこで足留めに。やがて三途の渡し守で江戸時代の男と思しき十蔵と虎之助を手伝い、死者を無事に黄泉の国へ送り出すための破天荒な仕事をすることになる。それは叶人の行く末を左右する運命的なミッションとなった。
被害者の記憶を加害者に追体験させることができる機械“0号”。死刑に代わる贖罪システムとして開発されるが、被験者たち自身の精神状態が影響して、成果が上がらない。その最中、開発者の佐田博士が私的に“0号”を使用したことが発覚し、研究所を放逐された。開発は中止されたと思われたが、密かに部下の江波はるかが引き継いでいた。“0号”の行方は!?
高校生になった滝本望は変わらず祖母のお蔦さんと神楽坂でふたり暮らしをしている。そんなある日、お蔦さんが踊りの稽古をみている若手芸妓の都姐さんが寿退職することに。けれど婚約祝いの会が行われた数日後、都さんが突然失踪してしまい?!情緒と歴史が残る街・神楽坂を騒がす事件をお蔦さんが痛快に解決!望が作る美味しい料理もたくさん味わえる、大好評シリーズ第三弾。
江戸国からの阿片流出事件について、日本から査察が入った。団長は大御所議員の印西茂樹。江戸城で評定が開かれる中、印西は秘密裡にゴメスに接触し、江戸国の開国と明け渡しを迫る。印西の目的は江戸国深くに眠る白緑石で、この資源を元にロケット燃料を開発し暴利を貪る算段だ。拒絶すれば江戸国は消滅ー。建国以来の危機に襲われる江戸国をゴメスは守り切れるか。書き下ろし長編。