名主の書役として暮らすお麓の閑居へ、能天気なお菅と、派手好きなお修が転がり込んできた。ふたりとも、いわば幼馴染である。お麓は歌を詠みながら安穏の余生を送ろうとしていたのだがー。ある日、お菅が空地で倒れた女と声が出せない少女を見つけてきた。厄介事である。お麓にとって悪夢のような日々が始まった。直木賞作家が描く痛快時代小説。
湯屋を愛する少女が、初めての仕事に挑戦する(「晴れ湯」朝井まかて)。小間物屋が仕入れた奇妙な守り刀の正体は(「月に叢雲、花に風」梶よう子)。付喪神になって逃げ出したという根付けの行方を追う(「利休鼠」畠中恵)。三流料理屋が人気役者の接待に挑むが…(「千両役者」西條奈加)。材木問屋に伝わる掛け軸に隠された秘密とは(「坊主の壺」宮部みゆき)。人気作家5人による、豪華過ぎる時代小説アンソロジー。
「夜の銀座」専門の託児施設を立ち上げた行動力を買われて出馬、初当選した芹沢小町。現役キャバクラ嬢でシングルマザーという経歴、物怖じしないキャラクターがメディアで話題となり、働く母親達を中心に熱い支持を集めている。ひとり親家庭、貧困、埋まらない男女格差。“ジェンダー不平等国”ニッポンに、小町のパワーは風穴を開けられるのか!?
拝み屋の少年、日道が何者かに襲われた。日頃から日道を気にかけていた岡っ引きの茂七は下手人を探そうとするが…「遺恨の桜」(宮部みゆき)、元旦に垢抜けない少女が国見屋に迎えられた。主人夫婦は賓客として遇するが、息子の央介は彼女の目を見て怯える。じつは少女は、相手の罪を映し出す力の持ち主だった…「睦月童」(西條奈加)他、書き下ろし含む五編を収録。江戸のふしぎな物語を集めた短編集。
「雪の形をどうしても確かめたくー」下総古河藩の物書見習・小松尚七は、学問への情熱を買われ御目見以下の身分から藩主の若君の御学問相手となった。尚七を取り立てた重臣・鷹見忠常とともに嬉々として蘭学者たちと交流し、様々な雪の結晶を記録していく尚七。だが、やがて忠常が蘭学を政に利用していることに気付き…。蘭学を通して尚七が見た世界とはー。
繁盛している料理屋の息子が、出入りの職人に自分の誘拐を依頼する「かどわかし」(宮部みゆき)、互いに支え合って戸外で暮らす子供たちの一人に殺人の疑いがかかる「初雪の坂」(澤田瞳子)、これまで可愛がってくれていた継母が出産することになり、複雑な思いを抱く末っ子が安産祈願の絵馬を無くしてしまう「安産祈願」(諸田玲子)など、江戸に生きる様々な子供たちを描いた珠玉の時代小説アンソロジー。
門外不出の味が麹町の菓子屋に登場し、思わぬ騒動を招く(「カスドース」西條奈加)。花見弁当屋が夏場に店を閉める理由とは(「食客ひだる神」宮部みゆき)。減量に励む役者に、御薬園同心が供した心と体に効く一品(「大根役者」梶よう子)。宴会で突如起きた老武士の刃傷沙汰の謎を追う(「真桑瓜」青山文平)。剣を持たぬ新選組の賄方が、間諜をするはめになる(「ぜんざい屋事件」門井慶喜)の全5篇。食と“謎”の絶品アンソロジー。
近未来の日本に鎖国状態の「江戸国」が出現した。競争率三百倍の難関を潜り抜け入国を許可された大学二年生の辰次郎。その請け人は身の丈六尺六寸、目方四十六貫、極悪非道で鳴らし大盗賊も思わずビビる「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守だった!ゴメスに致死率百パーセントの流行病「鬼赤痢」の正体を突き止めるよう命じられた辰次郎はー。日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
人気女性時代作家が贈る、さまざまな動物と人間との交流を描いたアンソロジー。出奔した女中が可愛がっていた鳩をきっかけに、事件が解き明かされる「迷い鳩」(宮部みゆき)、新たな店子が入らず、取り壊しの危機に陥った長屋のために三毛猫“サバ”がひと肌脱ぐ「色男、来たる」(田牧大和)、動物の言葉がわかる修行僧の少年と、彼に拾われた犬が禅の公案に挑む「犬に仏」(小松エメル)など、珠玉の五編を収録。
百年続く「椋屋」の娘・お凛は、女だてらに密かに銀線細工の修行をしている。跡目争いでざわめくなか現れた謎の男・時蔵は、江戸では見られない技で簪をつくり、一門に波紋を呼ぶ。天保の改革で贅沢品が禁じられ商いが難渋するなか、驚天動地の大注文が入る。江戸の町に活気を与えたいと、時蔵とお凛はこころをひとつにするがー。職人世界の粋と人情を描き切った本格時代小説。
人が月に住む近未来の日本に、独立を宣言し、鎖国状態の「江戸国」が出現した。上質の阿片が海外に出回り、その産地として日本をはじめ諸外国から槍玉に挙げられた江戸国。老中から探索を命じられた「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守は、阿片を祭祀に使用する異人たちが住む麻衣椰村に目をつけ、辰次郎や松吉に真相の究明を命じるがー。
「もう、嫌だ!」定職にもつかず浮気と借金を繰り返す亭主の元を飛び出した絵乃は、ひょんなことから離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」の手代見習いとなる。そこに舞い込んでくるのは、いずれも家族の“情”がこじれた難題ばかり。果たして絵乃は一人前の公事師となり、自身の離縁も成し遂げられるか!?
小さな幸せが暮らしの糧になるー当代一の売れっ子作家・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路。横暴で理不尽な舅、病持ち、癇癪持ちの夫とそんな息子を溺愛する姑。日々の憤懣と心労が積もりに積もって家を飛び出たお路は、迎えに来た夫に「今後は文句があればはっきりと口にします。それでも良いというなら帰ります」と宣言するが…。修羅の家で、子どもを抱えながら懸命に見つけたお路の居場所とは?直木賞作家の真骨頂、感動の傑作長編。
江戸の世で仕事に生きる女たち。人気女性作家による豪華競演。珠玉の時代小説集。
豊富な知識と聡明さで人々の悩みをときほぐす薬師・真葛。亡き母の仕込みを継ぐ色酢の麹造り職人・沙奈。木肌の魅力に惹かれ根付職人に弟子入りするおりん。妹の亥とともに秩父の峠で茶屋を切り盛りするそば打ち職人・蕗。その身に霊を降ろす「口寄せ」を使う市子。身体のみならず心の凝りもときほぐす揉み屋・梅。時代小説の名手六人が女性職人の働く姿を活写する競作集。
神田明神の裏参道の石段を後ろ向きに降りて足を滑らせた老人には、他人には言えない秘密があったー。宮部みゆき「三島屋変調百物語」シリーズの最新作「氏子冥利」など、練達のベテランから新進気鋭の若手まで5人が、“江戸の祭り”をテーマに競作した出色のアンソロジー。時代小説の粋を味わえること請け合いの一冊!
最も伝統ある上質なエンタテイメント小説誌第一特集 藤沢周平の思い出 生誕九十年
初公開 父が遺した手帳 遠藤展子
新人賞でデビューするまでの苦悩を綴った手帳が残されていた!
江夏豊 藤沢文学から学んだこと
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