今夜はお疲れ様な自分を癒す、とっておきの一杯を。麗しい女性バーテンダーと下戸の青年の想いを繋ぐカクテル、本音を隠した男女のオイスターバーでの飲み食い対決、父の死後に継母と飲み交わす香り高いジン、少女の高潔な恋と極上のテキーラ、不思議な赤提灯の店で味わう日本酒…。大注目の5名の作家が「お酒」をテーマに描いた、心満たされる短編小説集第2弾!
「夜の銀座」専門の託児施設を立ち上げた行動力を買われて出馬、初当選した芹沢小町。現役キャバクラ嬢でシングルマザーという経歴、物怖じしないキャラクターがメディアで話題となり、働く母親達を中心に熱い支持を集めている。ひとり親家庭、貧困、埋まらない男女格差。“ジェンダー不平等国”ニッポンに、小町のパワーは風穴を開けられるのか!?
騙されて江戸に来た13歳の少女・お末の奉公先「鱗や」は、料理茶屋とは名ばかりの三流店だった。無気力な周囲をよそに、客を喜ばせたい一心で働くお末。名店と呼ばれた昔を取り戻すため、志を同じくする若旦那と奮闘が始まる。粋なもてなしが通人の噂になる頃、店の秘事が明るみに。混乱の中、八年に一度だけ咲く桜が、すべての想いを受け止め花開くー。美味絶佳の人情時代小説。
武家出身の職人・治兵衛を主に、出戻り娘のお永、孫娘のお君と三人で営む「南星屋」。全国各地の銘菓を作り、味は絶品、値は手頃と大繁盛だったが、治兵衛が手を痛め、粉をこねるのもままならぬ事態に。不安と苛立ちが募る中、店の前に雲平という男が行き倒れていた。聞けば京より来たらしいが、何か問題を抱えているようでー。
掏摸に騙りに美人局。住人が全員悪党の「善人長屋」に紛れ込んだ本当の善人・加助が、またしても厄介事を持ち込んだ。そのとばっちりで差配母娘は盗人一味の人質に。長屋の面々が裏稼業の技を尽して救出に動く中、母は娘に大きな秘密を明かす。若かりし頃、自らの驕り高ぶった態度が招いた大きな罰のことをー。流れゆく大川が静かに見つめた、縺れた家族の行方を丹念に描く人情時代小説。
繁盛している料理屋の息子が、出入りの職人に自分の誘拐を依頼する「かどわかし」(宮部みゆき)、互いに支え合って戸外で暮らす子供たちの一人に殺人の疑いがかかる「初雪の坂」(澤田瞳子)、これまで可愛がってくれていた継母が出産することになり、複雑な思いを抱く末っ子が安産祈願の絵馬を無くしてしまう「安産祈願」(諸田玲子)など、江戸に生きる様々な子供たちを描いた珠玉の時代小説アンソロジー。
被害者の記憶を加害者に追体験させることができる機械“0号”。死刑に代わる贖罪システムとして開発されるが、被験者たち自身の精神状態が影響して、成果が上がらない。その最中、開発者の佐田博士が私的に“0号”を使用したことが発覚し、研究所を放逐された。開発は中止されたと思われたが、密かに部下の江波はるかが引き継いでいた。“0号”の行方は!?
なぜ、侍は、首だけになってしまったのか?なぜ、少年は、ひとりぼっちになってしまったのか?なぜ、二人には記憶が無いのか?ともに諸国を巡るうち、明らかになる哀しい事実。直木賞作家が描く愛おしくも切ない恐ろしくも哀しい人の心。
小さな楊枝屋の四男坊・鈴之助は、相思相愛のお千瀬の生家、大店の仕出屋『逢見屋』へめでたく婿入り。誰もが羨む逆玉婚のはずだったが…。祝言の翌日に、隠居の申し渡し!?料理が取り持つ情けと縁。くすっと笑って、ほろりと泣ける感動の夫婦奮闘記!
結婚して五年、定職にもつかず浮気と借金を繰り返す夫に絶望した絵乃は、身ひとつで家を飛び出し、離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」に流れ着く。夫との離縁を望むも依頼できるだけの金を持たない彼女は、女将の機転で狸穴屋の手代として働くことに。果たして絵乃は一筋縄ではいかない依頼を解決しながら、念願の離縁を果たすことができるのか!?
横暴な舅、病持ち・癇癪持ちの夫と姑…修羅の家で見つけたお路の幸せとは?当代一の人気作家・曲亭(滝沢)馬琴の息子に嫁いだお路。作家の深い業にふり回されながらも己の道を切り開いていく。直木賞受賞後第一作。
長唄の師匠であるお蝶は三味線の腕前と美声で気性も粋な弁天との評判。お蝶の兄嫁の沙十はたおやかな色白美人で観音のたたずまい。人呼んで“弁天観音”美人姉妹は、頼まれ事を抜群の機知で解決していく。にぎやかな日々の裏で、お蝶を狙う影が大きく動き始める。凛とした痛快時代小説。
人気女性時代作家が贈る、さまざまな動物と人間との交流を描いたアンソロジー。出奔した女中が可愛がっていた鳩をきっかけに、事件が解き明かされる「迷い鳩」(宮部みゆき)、新たな店子が入らず、取り壊しの危機に陥った長屋のために三毛猫“サバ”がひと肌脱ぐ「色男、来たる」(田牧大和)、動物の言葉がわかる修行僧の少年と、彼に拾われた犬が禅の公案に挑む「犬に仏」(小松エメル)など、珠玉の五編を収録。
不美人な妾ばかりを囲う六兵衛。その一人、先行きに不安を覚えていたりきは、六兵衛が持ち込んだ張形に、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして…(「閨仏」)。飯屋を営む与吾蔵は、根津権現で小さな女の子の唄を耳にする。それは、かつて手酷く捨てた女が口にしていた珍しい唄だった。もしや己の子ではと声をかけるがー(「はじめましょ」)他、全六編。生きる喜びと哀しみが織りなす、渾身の時代小説。第164回直木賞受賞。
拝み屋の少年、日道が何者かに襲われた。日頃から日道を気にかけていた岡っ引きの茂七は下手人を探そうとするが…「遺恨の桜」(宮部みゆき)、元旦に垢抜けない少女が国見屋に迎えられた。主人夫婦は賓客として遇するが、息子の央介は彼女の目を見て怯える。じつは少女は、相手の罪を映し出す力の持ち主だった…「睦月童」(西條奈加)他、書き下ろし含む五編を収録。江戸のふしぎな物語を集めた短編集。
「雪の形をどうしても確かめたくー」下総古河藩の物書見習・小松尚七は、学問への情熱を買われ御目見以下の身分から藩主の若君の御学問相手となった。尚七を取り立てた重臣・鷹見忠常とともに嬉々として蘭学者たちと交流し、様々な雪の結晶を記録していく尚七。だが、やがて忠常が蘭学を政に利用していることに気付き…。蘭学を通して尚七が見た世界とはー。
大坂堂島の紙問屋・嶋屋を営んでいた秋成は、町一帯を襲った火事によって店を失い幼なじみの雨月が結ぶ香具波志庵に居候することに。ところがその雨月、飄々とした性格ながら妖しを引き寄せる体質で、しだいに彼らの周りには、憎まれ口をたたく兎やら、成仏できぬ人の怨念やらが溢れ出す。さらにその先で待ち受けていたのは、世界の成り立ちを根本から変える驚くべき真実だったー江戸怪異譚の傑作『雨月物語』に大胆な現代的解釈を試みた、珠玉の連作短篇集。
思わぬなりゆきから箱根の関守となった若き小田原藩士・武一。彼の前には、切実な事情を抱える旅人が日々やってくる。西国へ帰る訳ありげな兄妹、江戸から夜逃げした臨月の女…やがて命を懸けて一人の男にこの国の未来を託さんとする者たちを知ったことで、武一の身にも人生最大の岐路が訪れるー!
差配から住人まで全員が悪党の長屋に引っ越してきた新住人をめぐる騒動(「善人長屋」)、人の縁を取り持つ“結び屋”が出合った、見合い相手に不可解な態度を取る娘の哀しき真実(「まぶたの笑顔」)、つらいお店奉公に耐えかねた幼い丁稚に、大旦那さまが聞かせた不思議な話(「首吊り御本尊」)など、書籍未収録作品や書き下ろし作品を加えた時代小説アンソロジー。ほろ苦くも心を揺さぶる珠玉の六作を収録。
武家の庶子でありながら、家族に疎まれ寒村の寺に預けられた久斎は、兄僧たちからも辛く当たられていた。そんななか、水汲みに出かける沢で出会う村の娘・しのとの時間だけが唯一の救いだったのだが…。手ひどい裏切りにあい、信じるものを見失って、久斎は寺を飛び出した。盗みで食い繋ぐ万吉と出会い、名をたずねられた久斎は“無暁”と名乗り、ともに江戸に向かうー波瀾万丈の人生の始まりだった。