ドイツを介して見えてくる激動の東アジア史の真実。19世紀末以降、ドイツ・中国・日本の間では外交や軍事面以外でも各国の戦略に基づいた様々な関係が構築された。官僚、経済人やジャーナリストらの動向から、戦争の世紀における「ドイツ=東アジア」関係の再構成を試みる。
中国において、16世紀以降の急激な人口増大は開発と移住の流れを大きく加速した。本書は、清代にかかる開発の波に洗われていた四川省の事例を取り上げ、人の移動という観点から「地域」の生成と変容を微視的に検討すると共に、かかる「地域」=基層から伝統中国の「秩序」を照らし出す。
1903年に開催された第5回内国勧業博覧会。「文化」と政治が絡み合った国民国家形成期、植民地パビリオン台湾館などの「異文化」展示が果たした役割とは。帝国意識とナショナル・アイデンティティの問題を考察する。
絵画の中に永遠に封じ込まれた空想建築。その世界は、独特の繊細かつ緻密な表現による具象画のリアルな空気をもつ一方で、常に静寂に満ち、現実の世界とは相容れない不思議な時空間を作り出す。そこに建ちそびえる建築の姿は、建造と修復、そして解体が同時進行し、終わりのない未完の印象を私たちに与える。過去、現在、未来が混在し、完成=誕生せぬまま生成しつづけ、同時に解体しつづける、「永遠の時間」-。1986年のSTILL-静かな庭園ーから、2004年POINTS OF VIEW-視線の変遷ーに至るまで、ドローイング等を含む、画家自選による約200点を収録。
日本資本主義史研究、自由民権運動研究、近代日本地方自治史・財政史・都市史研究ほか幅広い分野で多大な業績を残した碩学の研究と人柄を中心に構成。後進はそこから何を学ぶか。
古代の律令軍事体制はどのような過程を経て成立し、法によって管理・運用されたのか。主に地方軍事力に着目しつつ、唐制との比較史的視点・手法にもとづき考察をくわえ、日本の律令法における軍事力の特色を浮かび上がらせる。
貴族集団における人的結合原理の内部に、官僚制システムと人格的結びつきとの相矛盾する二重構造を的確に指摘。権力者層の感性や、社会の聖性にまで及ぶ神事の詳細と併せて古代社会における支配層の実態を重層的に幅広く考究する。
律令国家の中央財政機構を論じつつ、国家が土地所有の主体となることの歴史的特質を解明。さらに、律令財政研究に新展開をもたらした出土木簡について、独自の視点から考究し、租税制度から国家の成立までを示唆する重要諸論考を収録。
紀伝道・医道・陰陽道など国家統治に必要な学問や知識を司った技能官人。技能を獲得し官職を家業化した氏族の成立と変遷、諸道の構造と秩序を解明し、平安貴族社会における技能官人の存在形態を論究する。