読んだサラリーマンの半数は「この野郎は許せない」と不快感を示し、女性は「キャッ、キャー」と楽しむ。ハワイやロシアへの旅を通じて、著者の独特な視線で語る、サラリーマン論や地質の世界、笑えるリストラ体験談。
写真という「自然の鉛筆」。そこに、潜在する数多の未知の物語。「撮る」「撮られる」「見る」-三つの視線はけっして収斂しない。宙づりの視線たちが紡ぎだす多義的な物語とは?カメラ・アイに潜む「匿名の視線」とは?「写真行為の哲学」が、あらたな視線の倫理(エートス)を要請する。
映画会社が製作の現場から興行の末端まで丸抱えにしたスタジオ・システムの時代、1930年代末〜40年代のハリウッドでは一本のフィルム成立に複雑怪奇な手順、障碍が関与した。世界大戦を背景に、文書資料、インタビュー、映像分析等を駆使してハリウッド映画の生成過程を追跡する気鋭の論考。「映画製作倫理規定(プロダクション・コード)」全訳を付す。
小林優子は三十三歳の人妻。子供は手を離れ商社マンの夫は出張がちの退屈な日々。夫のいない夜には女盛りの躰が火照り、欲望をもてあます。自然と指が自からを慰め…。そんな時、優子は誰かが覗ているような視線を感じた。筋向かいのマンションに住む青年らしい。期待に胸をふくらませる優子。が、電話をかけてきたのは中年の男だった(「夜の視線」)。表題作他、現代の不倫妻たちの妖しい性態を描く。
’80年代文学の精密な解読を試み、言葉と言葉の群れのあいだに潜む、未知の作品を予感した新評論集。
あなた、人妻と、火アソビしたことあります?そんなうまい話、現実にあるわけない。そんな風にあきらめているんじゃ、ありませんか?この本は、そういうあなたに読んで欲しい。ごくごく普通の人妻、これが意外と不倫願望のかたまりで…!隣りの奥さん、街ですれ違う人妻、みんなそもそもはオンナ。あなたが奥さん一人じゃ我慢できないように、彼女たちだって、たまにはパァッと遊びたい。これ、理の当然。だから、チャンスはいくらでも転がっている。官能ときめきロマン。
『脱がせた女より美しい』女性ヌード専門の写真家、小沢息吹。気高い美貌と豊かな才能を持つ彼に、人気急上昇中の俳優・千住誠が写真集の撮影を依頼してきた。年下のくせに横柄な千住に苛ついた息吹は、「寝た相手しか撮らない」と断ろうとするが…。強引な千住に抱かれ、その情熱的な愛撫に喘がされ続けてしまったため、撮影を承諾するハメに。息吹は、千住と2人だけで南の島へロケに出る。撮影の合間に、互いに焦がれるように身体を重ね合う2人はやがて-!?熱い視線が絡み合う、真夏のラブストーリー。
はじめにコミュニケーションがあった。自己・羞恥・贈与・社会を論じてヒト社会と「私」の結び目を解く新しいネットワーク理論の試み。
近代国民国家は、「文明」の名のもとに新たな差別を創りだす。しかも、その差別の眼差しは、権力からだけでなく、民衆のなかからも生まれてくるものだった。近代日本の社会秩序と規範は、いかにして形成されたのか。民衆意識と差別構造、「女性らしさ」という規範、「日本文化」というもののイデオロギー性など、近代を相対化する視点を提示する。