最高の音で楽しむために!
シェイクスピアの文学作品はなぜすばらしいのかーこれに一つの解答を与えようとするのが本書である。これまでのシェイクスピアの言葉を扱った本では、シェイクスピアの語彙、文法、統語法、音韻といった主要な要素を詳しく論じている。しかしながら、こういう要素が、どのようにして文体上の効果を成し遂げるに至るかを説明することはほとんど試みられていなかった。本書では、こうした言語学的な観点を軸としつつ、文学的感性をも駆使して、言葉が劇中で生み出す効果を探るという、まったく新しい試みを行なっている。
名作絵巻が繰りひろげる華やかな饗宴、絢爛たるオールカラー決定版全集。源頼義・義家父子が、陸奥に力を振い乱を起こした安倍氏と戦う姿を描く「前九年合戦絵詞」ほか合戦絵巻の名作収録。
都ぶりの兄、武芸一途の弟とその娘たちの物語により地方武士の生活をいきいきと描く「男衾三郎絵詞」ほか名品収録。
『想像の共同体』で日本の思想界にも強い衝撃をもたらしたベネディクト・アンダーソンの重要論文集。現代世界が直面する最大の問題である民族とナショナリズムを考えるとき、ベネディクト・アンダーソンは最も注目される思想家であろう。本書はその思想形成をあとづける、30年に及ぶインドネシア研究に基づく八本の論文で構成。国民国家という虚構はいかにして生まれたのか、そのとき言葉(国家語)は出版資本主義とどう関係し、どう変容したのか-。
古典からポスト構造主義へ、中世の恋愛詩から世紀末万博へ、美と合理の循環する「ファンタスマ」という文化表象の時代的相貌を、縦軸に言語的-視覚的想像力を、横軸に記号論-精神分析-芸術論-テクスト理論を据え、アリストテレスから、マルクス、ボードレール、ベンヤミン、フロイトへと追うクロスオーヴァーな文化表象論の精華。エロスとメランコリーとフェティシズムの渦巻くポスト現代の万神殿を縦横無尽に脱構築する壮大な知的試み。
日本では類書の少ない言語聴覚士のための医学・解剖の基礎知識を網羅した、米国でも定評のあるテキストの邦訳である。言語臨床の場で不可欠な解剖学・生理学についての図表を多載し、難解な専門用語にも一つ一つていねいに解説を加えている。練習問題も掲載し、この分野の入門書として最適の書である。言語聴覚士必携。
迫害と殉教の歴史からキリスト教の社会基盤が形成され、その存在が認められはじめた3世紀後半、多くの信仰者が自ら隠棲の場を求めてエジプトを中心に砂漠の中での生活を始めた。かれらは過酷な自然環境とともに欲望や虚栄といった内なる自然との壮絶な戦いをとおしてキリストと出会い、真実の道を歩んで行った。本書は隠修士たちが残した、素朴な語り口のうちに深い知恵を湛える透明な言葉の数々を集めた、珠玉の作品集である。祈り、働き、聴従する、試練と悔改めの禁欲的修行は、人間の自然・本性の可能性を開花させ、キリスト教的霊性の源泉となって後世に大きな影響を及ぼした。それらの言葉と振る舞いは、喧噪と虚飾のなかであえいでいるわれわれにとって、謙遜で真に人間的な生とは何かを根源から問い掛ける。簡潔でしなやかな訳文は、本格的な解説や訳注とあいまって、人生の座右の書として長く親しまれるに違いない。