矢田堀鴻挿訳『英華学芸詞林』(明治13年刊)は英語・中国語・日本語の3か国語を用いて編纂された辞書で、明治時代以降の日本人が欧米の学術用語をどのように消化・吸収して自らのものにするに至ったかを知るための最適の書物である。
本書は、中田祝夫氏が、漢文訓読によってもたらされた語法・措辞を「漢文直訳語脈」と言われたように、欧文を訓読することによってもたらされた蘭語・英語その他の外国語学習のための訓読の語法・措辞を「欧文の直訳語脈」、略して「欧文脈」と呼んで採集することとし、その発生、成立、特徴および現代日本語に与えた影響を研究しようとするものである。
本書は、1960年代の終わりに彗星の如く日本の言語学界に現われ、1970年代を疾駆して夭折した天才的言語学者の著作集である。音韻論関係二編と、本来の専門である統語論・意味論関係の論文で、公刊されているものを、ほぼ全て収録し、解説的論説に関しては、代表的と思われるいくつかの論説を収め、「インタビュー」、「座談会」の類を収録した。
言語学の研究者・鈴木康之氏の業績は、連語論研究と、日本の学校文法を批判した上での新しい文語文法の構築である。本書は、鈴木氏の教え子たちによる論集である。
失語症と高次脳機能障害のリハビリテーションに関する基礎概念、症候、分野別のリハビリテーション各論、社会的支援に関する包括的教科書。社会的行動障害と発達障害に関する神経心理学的観点からのアプローチを加えている。
認知言語学の黎明期から現在に至るまで言語学の第一線で活躍しているロナルド・ラネカーが認知言語学の研究プログラムを包括的かつ体系的に解説したCognitive Grammar:A Basic Introduction(2008)の翻訳。ラネカーの認知言語学の単著の翻訳としては本邦初。日本人研究者待望の一冊。
世界の大言語にして最重要言語のひとつであるアラビア語。その歴史と現在を、はじめて総合的に解明した画期的名著の完訳。言語学のみならず、歴史、宗教、文学、社会、政治など、多分野のイスラム理解に欠かせない基本の一冊。
龍谷大学仏教文化研究所の研究プロジェクト「龍谷大学図書館蔵中世国語資料の研究」を契機として展開された最新の研究の成果を集成した論文集であり、「言語文化」を表現の文化ととらえ、中世におけるさまざまな表現の営為とそれを支える言語(言語資料)・言語意識を考察する論文を収めるとともに、中世文学についての後代の言説を論じた論文も加えた研究書である。