本書は、米国の第一線で活躍している65名の神経リハビリテーション専門家による、神経疾患のリハビリテーションについての意欲的で包括的な記述である。神経機能の原則に従って障害された機能を回復しつつある患者に、再構築された自己と環境との調和をはかる道を示そうとしている。
外来語研究の集大成!外来語の現状と問題点、南蛮船時代(室町末期)〜現代の外来語の歴史、日本語のなかの外来語と外国語のなかの外来語の比較対照など、研究史を踏まえて総合的に論述。
進行するEU統合のなかで、欧州各国は、自国の多言語・多文化状況に対応する環境・法整備をせまられてきた。欧州審議会および全欧安保協力機構で策定された言語的少数者関連の憲章・条約・勧告、ならびに主要14カ国における言語関連法規を解説とともに紹介し、ヨーロッパにおける多言語主義の現在を見る。
言語の「自然」視によって貶められた少数言語。日常的な言語使用から言語復興運動まで、少数言語の言語活動の分析から、意識性を不可避的に含む「人為性」によって、社会制度としての言語がいかに構築されるのかを明らかにし、言語現象を把握するための新たな視点と、その理論的枠組を提示する。
本書は、人間社会の格差の構造について、人の移動と定着の地理学の視点から解明することをめざす試論である。ただし、国籍や宗教のように、明白な基準で区別される人々の関係に注目するのではない。本書が投げかけるのは、一つの国の内側でも、言語や文化を異にする人々が集まる都市産業地域には、複合社会に特徴的な格差の構造が存在するのだろうか、という問いである。そこでは、生活戦略を立てようとするニューカマーが遭遇するホスト社会との隔たり、つまり、やや木目の細やかな日常性の相違というべきものが問題になる。スペイン各地の言語や文化を背負って移動する人々に光を当てながら、地域間に存在する格差が人口移動を媒介としてホスト社会の中に織り込まれ、新たな格差の構造となって立ち現れるプロセスを解き明かすこと、それが本書の中核をなす目標である。
分子生物学、考古学、言語学の学際研究により明かされる日本人と日本語の成立の真相。Y染色体、ミトコンドリアDNA、成人T細胞白血病ウイルス、ピロリ菌、すべての分析が、日本人集団の移動が北ルートであることを示し、後期旧石器時代、新石器時代の文化的多様性を証明している。日本列島の多様なヒト集団のルーツとルートを解明し、従来の定説を覆す。
南太平洋の島々には消滅の危機に瀕した多くの言語が存在する。その一つツツバ島の固有語の体系を、厳しくもロマンに満ちたフィールドワークの末に記述した大作。
幾多の思想家を触発してきた稀代の言語学者エミール・バンヴェニスト(1902-76年)。『一般言語学の諸問題』第1巻の邦訳(みすず書房)から30年の時を経て、待望の第二論文集、完訳なる。