いかにして正しく古典を読むかー古典を実証的に解明するためには、そこに記された文字、それが示す言葉、その発音と意味との関係性を明らかにせねばならない。古代における音韻体系の把握から経書テクストの読みの刷新を目指した、戴震・段玉裁・王念孫らによる「古音学」の歴史と方法を精緻に論じる画期的成果。
本書は37年にわたり、教育、研究に没頭され、多くの教え子を育てられてきた熊本大学登田龍彦教授の定年退職を祝し、友人、同僚、教え子が寄稿した40篇から成る研究論文集である。論文の内容は統語論・意味論・語用論・機能論・語法・音声学・音韻論・形態論・言語習得・英語教育・方言学・文体論・文学と多岐にわたり、登田教授のことばの研究と教育を通してつながった学徒が教授への思いを込めて丹念に編み込んだ1冊である。
日本語では、主語がしばしば言語化されずに発話がなされる。いわば、非言語状態で概念化がなされないままの主語と、発話された述語との組み合わせでコミュニケーションが行われるのである。西洋の言語ではなく、そうした日本語の本質にそって、言語行為や文法についての考察を行った。さらに小説、映画、演劇、落語などに至る広いジャンルに及んで調査分析をして、日本語教育、国語教育のために具体的、実践的に考察を行った。
山口昌男にして「傑出した知の編集者」松岡正剛にして「学者10人分」といわしめた高橋秀元が東西を繋いで言語を解説。
東京大学大学院教授伊藤たかね先生が2021年3月末で退職されることを記念し、長年にわたり先生と言語研究の楽しさと楽しみを共有してきた研究者、元指導学生、現役大学院生などによる46編の論文が収められた論文集。テーマは形態論、語彙意味論から統語論、心理言語学まで多岐にわたり、分析対象言語も日本語や英語にとどまらず中国語、韓国語、ドイツ語やスラヴ諸語と多様で、先生の研究教育領域の幅広さが反映されている。
ひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字等、世界的にも珍しい多文字種環境を有する日本語。古来、日本人にとって「文字」は、意思疎通のための情報ツールであると同時に、彼我の文化に架橋するための媒体であった。古代から現代までを視野に「書く」「読む」「学ぶ」「残す」という文字の諸機能に着目し、日本語における「文字論」の豊穣な世界を示す初めての一冊。
“ことば”が“意味”をもつとはどういうことか。“ことばと世界”“意味と信念”は、それぞれがどのような関係にあるのか。こうした基礎的問題を、フレーゲはじめ近年のデイヴィドソン、ダメット、パトナム、クリプキ、カプランらの所論を検討しつつ、合わせて、固有名・指示詞や人称代名詞「私」、また「可能」「必然」などの様態的表現、「信じる」といった動詞についての著者独自の意味論的解明を通じて、探求する。